コイにまつわる二人の顛末
糖分過多注意!
前回の活動報告で触れたモノとは別物です…(__*)
「キライ。アンタなんて大ッキライ」
ぷいと横を向く彼女も可愛くて愛おしい。
「僕は大好きだけど」
「キライだもん」
僕の言葉に耳を赤くしていては、説得力なんて皆無だ。
「ねぇ、大好きだから、機嫌を直して?」
何で拗ねてるのかも正直分からないんだけど。
「キライキライキライキライキライキライキライキライ止めて!」
近づけた鼻先を、払いのけられてしまった。
「ねぇ、本当に僕が嫌いなの? 違うでしょ? それともこのままお別れしたい?」
立ち上がる素振りを見せると、彼女がハッと泣きそうな顔を上げた。
「黄色い花が……」
そう言って俯いて、黙り込む彼女。さっきまで太くピンと立っていた尻尾もヒゲも、しょんぼりと垂れてしまった。
「黄色い花? 公園の?」
彼女が小さく肯いた。
……どうやらさっき、僕が格好つけて鯉を狙ったのが良くなかった様だ。その時、彼女が好きな池のほとりに咲く黄色い花を、踏み荒らしてしまっていたらしい。
「それは……ごめん。これからは気を付けるよ」
鯉に夢中で気付かなかった。
でも。
「嫌いって言ったのは撤回してくれるよね?」
君だって、僕のこと、大好きでしょう?
「しない!」
「僕とお別れするのが嫌なくせに?」
「キライだもん!」
やっぱり耳が赤い彼女。尻尾を絡めると、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「はいはい。もぅ、大好き! って書いてあるから、許してあげる」
また、「キライ」と言いながら顔を背けられた。
キライって言われるのはちょっぴり傷つくけど、良いんだ。
僕は彼女に夢中だから。
それに照れ屋なところも、可愛いからね!
君だって僕に夢中、でしょう?
黄色い水仙の花言葉は
「うぬぼれ」
なかなか素直になれないけど、アンタは、ずっとうぬぼれてて、良いよ。
ずーっとね。
ニャ~。
end。