無口な妹がエロイ子になりました
「………」
「………」
よし、落ち着け? というか落ち着いてる。うん。
いきなりなんだけど、今私がいるのは自分の部屋かつ、プライベートルーム。うん、間違いない。間違いないけど、なんかさっきからものすごいプレッシャーを感じるんだけど。しかも背後から。なんかこう、眼力で穴開けようとされてるみたいな感じ。
「……あー、衣織? さっきからそこにいるけど何か用?」
「………」
天野衣織、天野紫織こと私の妹。スペックとしては無口。喋ることに労力を使いたくないから喋らないらしいけど、これはキツイ。だって後ろかガン見されてるんだもん。
「……お姉ちゃん」
「何?」
「……」
だーかーらー、なんで黙るの?
「……エッチしたい」
「……………………」
why? 今うちの妹はなんとおっしゃいましたか? なんかものすごい生理的欲求を投げかけられた気がするんだけど。
「……シャワー、浴びよう?」
「取り合えず衣織、そこ座りなさい」
「……はい」
円テーブル越しに向かいあって座る。ふう。
「まずどっから話せばいいかなぁ……、とりあえずしないから」
「……お姉ちゃん、私の事嫌いなの?」
いや、少し饒舌に喋り出したのはいいけどそんなうるんだ目を向けられても……。
「好き嫌い以前の問題でしょ。姉妹って言うのもあるけど、女同士でしょうが」
「……近頃じゃ女同士でもするよ?」
「それ一部の人だけだから」
というか私は百合じゃない。いたってノーマルです。というか衣織にこんな知識吹き込んだのは誰だ。
「……未華に聞いた」
未華というのは衣織の数少ない友人の一人。よし、今度うちに来た時しばこう。
「取り合えず未華は今度しばくとして、衣織なんか言うことある?」
「……優しくしてね」
「いーおーりー? 人の話聞いてたー? そもそも聞く気ある?」
あれ、衣織ってこんな子だっけ。久々に長話してるけど衣織がずいぶんオカシイ子になってる気がする。というかオカシイ。
「……私から襲った方がいいの?」
「……」
誰か、誰かあの純情だった頃の衣織を返してください。こんなエロイ子になっただなんてお姉ちゃんショック死しそうです。
「……襲うね?」
「へ? あ、嘘ッ!?」
衣織が、衣織がぁぁ……とか思ってうなだれてたら、押し倒された。え、何? 貞操の危機? きゃっ。
「じゃなくて、衣織何してるのッ」
「……何って、襲ってるの」
「そうじゃなくて、なんで襲ってるわけ?」
「……だって」
「だって?」
「……そうでもしないと、お姉ちゃん『見て』くれないでしょ? 既成事実さえ作れば、嫌でも見てくれるでしょ?」
「……」
そう言ってくる衣織の目はたんたんと者を言ってる目じゃなくて、どんどん潤んできてる。もう少ししたら涙落ちてくるかも……あ、落ちてきた。
「あー……」
「好きじゃなきゃ、こんな事しないよ」
珍しく、衣織がすらすらと喋った。それと同時に押し倒してきたときに肩に置かれた手にも、力が増した。
「ねえ、お姉ちゃん」
「な、何?」
「私、このままだとお姉ちゃんの事めちゃくちゃに犯すよ?」
「ッ――」
耳元に顔を寄せてきた衣織が言った言葉は、私の中に強烈に響いた。そして、重たくのしかかった。
「ねえ、好きだからこんなことしてるんだよ? なのに、お姉ちゃん真剣になってないでしょ? ねえ――」
「私の事見てよ。見れないって言うなら無理やりにでも見れるようにする」
衣織はそう言って大粒の雫をこぼしながら耳元から顔をあげると、唇を重ねてきた。
そう、キス。
……って、実の妹とキスッ!?
「ん、んぐっ」
「ん、んはぁ」
衣織を引き離して衣織の下から抜け出すと、とりあえず衣織から離れた。壁におもいっきり背中を打ちつけたけど気にしない。痛いけど気にしない。
「どう?」
「どうって、実の妹とキスしてどうって」
「欲情した?」
「しないッ!!!」
「……未華の嘘つき」
「……キスしたらどうたらってのは未華から聞いたわけ?」
こくりとうなずく衣織。うん、よし。
「いおりー、ちょーっと出かけてくるから……留守番、いい?」
「……ッ」
上下に激しく首を振ってる衣織を置いて、私は急用を済ませるために家を出た。行先はもちろんきまってる。
*** *** ***
「ちょ、紫織姉っなんか怖いんだけどッ!?」
「んー? そりゃ人さまの妹を誑かしたあげくけしかけたんだから……ねえ?」
「あ、いや、ちょ、ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁッ」
*** *** ***
未華とちょーっとオハナシをしたその日の夜、というか家に帰って衣織を正常化させるのに気を取られて気付いたら夜という、まあ……私の休みを返せ。
どっかの誰かのせいでぐったりとした体をベッドに沈めていたら、部屋の扉が開いた。当然、というかそこにいたのは衣織。
「衣織? どうかしたの?」
「……」
そして何も言わずにベッドサイドまでてとてとと歩いてきた。
衣織はベッドサイドで立ち止まると、もじもじとしながら
「……一緒に寝ちゃ、だめ?」
視線は足元を見たまま、まあ俯いてるわけだけど。未華に毒される前にはなんとか戻せた衣織は、戻ったかわりに少し甘えん坊な感じになったようで。
「ん」
そう返事を返すと、ぱぁぁっと笑みを浮かべてベッドにもぐりこんできた。そして少し甘えん坊になった衣織は私の手をまさぐって……じゃなくて、私の手を探し出しておずおずと握ってきた。まあ、私もこのくらいなら別にどうってことはない。
「おやすみ」
「……おやすみ」
それはそうとして、ファーストキスの相手が妹ってどうよ。ねえ?
はい、短編です。
今回はエロイ感じに進化した妹とその妹に陥落された姉の話です・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、盛りました。
気を取り直しまして、今回は無口な妹が姉に迫って再教育? を受ける感じっぽい感じです、はい。
未華があのあとどうなったのかは紫織のみが知りますwww
あと、別件ですが短編リクあったら活動報告の方にでも~