堕天使たちの宴!? 思い出の舞踏会!
「私達の思い出の舞踏会ね、フレデリク」
「そうだね、ユリアンヌ」
お城の舞踏会場は夢のように美しい場所。
私とフレデリクが運命の出会いをした場所。
恋人として婚約者としてダンスを楽しんだ場所。
今宵は結婚相手としてダンスする場所になる――
プロポーズしてもらえる! そんな気がしますわ!
ドキドキしながら二人でダンスフロアへ行くと、
「ダンスの前に話がある」
深刻な声が聞こえてきた。
フレデリクじゃない、隣のカップルからですわ。
「君との婚約を破棄する!」
婚約破棄!?
「君との婚約を破棄する!」
反対側でも!?
「喜んで! 婚約破棄を承諾しますわ!」
そんなすぐ承諾なさる!?
婚約破棄するカップルに挟まれ。
婚約破棄がこだまする会場。
何ですの? ここは?
私は、どうなりますの!?
私達は――まさか、フレデリクも?
「ユリアンヌ!」
勢いが婚約破棄した殿方と同じ!?
「聞いてくれ! 私が君に言いたい言葉を!」
心して聞きましょう。
「ユリアンヌ! 私は君との婚約を破棄する!」
「ええ!? 」
フレデリクまで言ってきた!
私達は結婚すると信じていたのに!
どうして!?
「ええ!? 今、婚約破棄って言った!?」
なぜ、フレデリクも驚くのです?
「間違えた! 周りの婚約破棄の勢いにのまれてつい! 違うんだ! 私は君との婚約は破棄しない!」
この慌てようは真実みがあるから信じますけど。
おっちょこちょいな人。
「私は君と結婚したい! 愛している! 承諾してくれるなら手を取ってダンスしてください!」
やっぱり、プロポーズしてくれた。
フレデリク――あなたがこんな人だったなんて。
間違えて婚約破棄してくる、おっちょこちょい。
一番大事な場面でミスするなんて今後不安ですわ。
ですが……
周りのカップルが次々婚約破棄していく。
こんな地獄のように悲惨な状況のなかで。
まっすぐ私だけを見て手を差し伸べてくれた!
「喜んで! プロポーズお受けいたしますわ!」
婚約破棄を決めた周りの人が退場していくなか。
手を取り合うと私達は抱きあった。
「よかった! こんな状況でどうなるかと焦ったよ。君がもし婚約破棄を即承諾したらどうしようかと」
フレデリクと私は震えて、
「とんでもない思い出になるとこだったね」
「一生、忘れられませんわ」
泣きそうになったけど。
「これからも、どんな状況でも二人で乗り越えていこう!」
「はい!」
天国への道を進むと誓いあい笑いあえた。
さぁ、私達だけになったダンスフロアで。
思い出の舞踏会を始めましょう!




