書きたいのに書けなくなった……。スランプからの脱出について
「やべえ、このシーンどうしよう……」
みたいな経験。作者ならあるはず。
だいたいの展開を考えられても、それを文章で表そうとすると、なんだかうまく書けない。
ここでは、そのスランプの原因の1つかもしれない体験についてお話ししよう。
* * * *
あるシーンを書こうとして書けなくなった。
その理由は主人公が戦う場面の、その周囲の状況が不鮮明だったり。あるいは主人公と戦う敵の姿が不鮮明だからかもしれない。
自分の場合、それは後者の理由からだった。
新しい化け物を登場させ、それと主人公が戦うシーンなのだが、この新しい敵は、ちょっと事情が違う怪物であり、いわゆる「ドラゴン」とか、「悪魔」といった、単純な表記では済まされない敵だった。
そのバックボーンを考慮した姿にしたいのだが、どうも考えがまとまらない……
それで、急に書けなくなってしまった。
だいたいの展開は考えてあるのに、その敵の姿がイメージできず、筆が進まないのだ。
足の形や腕や頭を細かく設計しようとしても、なんだか「これだ」という物にならない。全体像を漠然と考えようともしたが、これも失敗した。
「いっそ派手にして、どっかで見たようなモンスターにしてしまえ!」
というのはしたくない。
地味で、陰湿で、ダークな物にしたかった。
バックボーンを持った敵の醜悪さを表現した姿にしたかったのだ。
自分はその敵の姿を決定するのに思い悩み、そしてついに「これでいこう!」という形に思い当たった。
それは別段すばらしいアイデアでもなく、独創性にあふれているわけでもなかった。
けどその敵の形状は、そのバックボーンを持った敵にふさわしい姿であり、醜さや、おぞましさを表現するのにふさわしいと(作者は)思えた。
敵の姿が決まると、すぐに戦いが再開された。
この醜い化け物と対峙する主人公と、相手とのやりとり。
そんなものがすぐに思い描けた。
なぜ物語が書けなくなったかというと、そのシーンに必要な情景や、主人公と戦う相手の姿に具体性がなかったからだ。
それらを事細かに頭の中で描けないからこそ、それを言葉にすることができなかったのだ。
やはり具体性がないといけない。
イメージする物が具体性のないものであれば、そこから生まれる文章は、おそらく何かの模造品のような、代わり映えのないものになってしまうだろう。
まあ、そうやって文章化したものがいいものかどうかは、別なんですがね……(涙)




