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第六話 第二アバター

 委員長とビリヤードで沢山お話が出来た事。

 仮想の妹の可愛いが過ぎたので、僕は本格的に"恋AI♡Game”にのめり込むことにした。


 ネットで調べて、声を出しても外に漏れないガスマスクみたいなヘッドギアを買う事にした。

 流石に、ディスプレイに向かって、声を出しているのは見た目に恥ずかしい。


 音声を逆位相の音を出して消音できる物で、声を出してもママに気付かれる事がない。音漏れしないイヤホンの逆だ。

 あと、左右の眼球の視野が左右160度、上下130度。VRの契約をすれば立体視も出来る。


 ネットで購入しようかと思ったが、駅前の家電ショップに在庫があることが分かり、善は急げで、明日買いに行くことにした。

 VRの契約も日付指定で行った。




 その日の夜は、眠る事が出来なかった。

 もう一度、ログインすると、アバターはなんと事も有ろうに勉強をしていた。


 そういえば、こいつの進路はどうなるのだろう。

 大学へ行く? 就職? 引き籠りもあるかも。


 これだけリアリティの高い仮想空間なら、入試とかもありそう。



 だけど、それはひとまず置いておいて、アバターの勉強の邪魔もしたくない。

 と、言う訳で、第二アバターを起動する。


 メインのアバターの周囲一キロ以内なら、具現化出来る。

 それならばと、家の最寄りの駅にした。


 電車が停まる音がリアルに聞こえ、改札口から降りてた人達が、コンコースに流れ出て来る。

 これが全部NPCじゃないかもしれないが、いったいどれだけのリソースを使っているんだろう。


 柱の横に設置されたベンチで、ぼんやりと流れるように動く彼等を見ていた。

 人の顔かたち、年齢はランダムで如何にかなるかもしれないけど、服装や持ち物、職業や住んでいる所など、全部を定めるには普通のサーバとかじゃあ無理ではないだろうか。

 スパコンかなにかを使わないと。


 そんな事を思いつつ、人々を眺める事一時間。

 徐々に電車が到着しても降りて来る人は減ってきて、一時間もすると人はまばらになって来た。


 そろそろログアウトしようか。

 でも、このベンチでぼんやり人を眺めるのも嫌いじゃない。




 「次が最終となります」


 十二時前が終電とは、設定は田舎か?

 なんて思いながら見ていると、三人の人が降りてきた。


 彼等が、降り切るとエスカレーターは停まり、ホームの灯りが消えたようだ。

 直に、コンコースも灯りが消えるか、弱められるかだろう。


 そろそろ、ログアウトか。

 ベンチから立ち上がったところへ、人がぶつかって来た。


 終電で降りてきた三人のうちの一人。

 赤い薄手のコートを着たひとが、僕に抱きついて来ていた。


 経験値が無いから、メインでないアバターは言葉を発する事も出来ない。

 抱き着かれた勢いで、ベンチに再度腰を下ろした。


 「あら、かわいい子ね、お姉さんは、可愛い子が好きよ」


 三十代前半と思われる女性。

 顔が近い。


 どうしよう。


 思った瞬間、キスをされていた。


 「経験値千二百ポイントを獲得しました」


 システムの音声が聞こえ、お姉さんの頭の上に「♡スザンヌ宮本」が緑の文字で浮かんでいる。

 これは、もしかして。


 「恋愛モードになりました。相手様がPlayerなので、双方の同意が無いとリセットは出来ません」


 システムの音声ガイドを聞かなくても想像はつく。

 このお姉さんの名はスザンヌ宮本? Playerで、酔っているみたいだけどLogin中なのか。

 ♡のマークが付いていることは恋愛モードに入ってる意味なの?


 どうしよう。

 リアルでもキスなんてしたことが無かったのに。




 翌日、昨夜のキスの事は消化しきれないのだけど、とりあえず仮想空間用のヘッドギアを買いに、駅前のビルにある家電ショップへと、二月の寒い朝に自転車で向かった。

 十時の開店を待って、直ぐに入る。


 ネットで在庫は確認していた。


 「あの、八重洲口無線の、MRギア6080を買いたいのですが」


 近くにいた店員さんに言って、即購入。


 この80は、80デシベルまでなら音声を逆位相の音を出して消音できる物で、声を出しても家の人に気付かれる事がない。音漏れしないイヤホンの逆だ。

 あと、左右の眼球の視野が左右160度、上下130度。VRの契約をすれば立体視も出来る。


 ちなみに60は、リフレッシュレートだ。

 本当は、その上の120を買いたかったのだが、椅子のひじ掛けに装着する、VRゲーム専用のコントローラの左右も買ったので、予算オーバーしてしまった。


 それでも、嬉しくてゲーム内の学校が放課後になると、速攻でログインした。

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