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2024のお部屋

カロリーメイトチョコ味

作者: スタジオ めぐみ

これは私が20代の頃の話である。


当時、私はジムで働いていた。

そこでは、バレンタインにお客様にミニチョコレートを配るというイベントがあった。

(ちなみにホワイトデーは飴を配る。)


「痩せにきてるのに、チョコなんて。いらない。」

「チョコもらっていいの?ラッキー。もう1個くれない?」

「これ何カロリー?これ消費するのにウォーキングはどれくらいやればいいかな?」


接客業は大変だ。

全てのお客様に応えなくてはいけない。

お客様をたらい回しにしてはいけない、間違った情報を伝えてはいけないとその会社では教わった。


入社したのが4月。

接客を繰り返す度に、少しずつ受け応えが上手くなりコミュニケーション力が上がっていった。


そして、私はいつの間にか憧れのマッチョのお兄さんと話すことができるようになっていた。


そして今が2月。

バレンタインにお兄さんにチョコあげたいなと私は思っていた。

憧れは恋に変わったのだ。

だけど、バレンタインに来るだろうか?

チョコは好きだろうか?

情報がなさすぎて、悩んだ。

彼女がいない情報しか手に入れてなかったのだ。


そして、私はカロリーメイトチョコ味に辿り着いた!


甘いものが苦手でも、食事を気をつけている人でも、カロリーメイトならもらってくれるのではないか?

また料金も手頃であまり気を使わせずにすむのではないか?

もしバレンタイン当日こなくても、日持ちするし遅れてあげてもいいんじゃないか?

私の脳みそは、フル回転した。


そして、バレンタインに筋トレに来たお兄さんにカロリーメイトチョコ味を渡すことができたのだ。


ドキドキした。


お返ししますねと言っていて、嬉しかった。


ホワイトデーのお返しは、カロリーメイトメープル味だった。

初めてのメープル味は甘く美味しかった。

しばらく空箱が捨てられなかった。

宝物のようにとっておいた。


その後、仕事の都合でジムを退会してしまったお兄さん。

メールのやりとりとデートを1回した。

何もなかった。ずっと平行線の関係のまま。


そして、その平行線だと思っていた線は1ミリずつ間を広げていった。

時間が経って、片方の線は見えなくなった。


私にとってカロリーメイトチョコ味とメープル味は、平行線の思い出の味だ。


今もきっとどこかのジムであのお兄さんは筋トレしているだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 切ないです(´;ω;`) でも勇気をだしてカロリーメイト渡せてすごいです! 映画かドラマのようなエッセイでした!
[良い点] これはいい思い出話! 「あげたい」という気持ちばかりではなく「どうしたら受け取ってもらえるか」という相手のことを考えた答えがカロリーメイト。 まあ、カロリーメイトで恋心が伝わったかは疑問で…
[一言] せつないメープル味……
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