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6.答え合わせ

「それで本題だが、良かったのか?」


 今回の叙爵式はおそらく、慣例から大きく外れたものだろう。幾人かの貴族――おそらく貴族派閥の者たち――は今日の詳細な日程すら聞かされていなかった。加えて、フェルペッタ伯爵の連行、平民への侯爵位の叙爵である。


「ええ、全く問題ありません。むしろ本当に招待に応じていただけて安心しました」


 アーデンロイドにとって、今回の顛末は予定だだったようだ。


「念のため、お前さんの考えを聞いておこうか」


 何となく彼の計画や意図はわかっているが、細かいところで認識の差が出ないとは限らない。確認はしておくに越したことはなかろう。


「はい、まず第一に我がウォンカード王国は先生、リュート殿をイガラシ侯爵として扱います。つきましては、貴族号の使用を許可するほか、侯爵位に相当する権利を全般的に保証します。加えてエルヴィナー高原とその周辺をイガラシ侯爵領として認め、自治権を認めます」


 平民に侯爵位だけでなく領地まで与えるなど、歴史的に見ても前例はないだろう。それほどまでに思い切った行動である。


「第二に私アーデンロイド1世は、リュート殿が侯爵位を()()()()()()、という姿勢を黙認しました。それに伴い、我々ウォンカード王家はリュート殿に対し貴族としての義務を課すつもりはありません」

「そこだ。まるでそちらに利がないではないか」


 確かに私は、爵位などという首輪など御免だと態度で示した。しかし、それでいて私を侯爵として扱い、尚且つ義務は課さないなどと、義務と権利のバランスがひどく破綻している。それが分からないアーデンロイドではなかろう。


 しかしアーデンロイドは、少し困ったような笑みを浮かべて答えた。


「確かにこのような暴挙は、愚かしく思われるかもしれません。しかし先生、ご理解ください。先生に身近にいてもらえる、それはこれほどまで身を削ってでも求める価値のあることなのです」

「分からんな。それにこの形式では、私が王国を捨てるのも自由となろう?」

「先生はそんなことなさらないでしょう?ちなみに先日、兄弟子から『上手いこと先生を取りやがったな』と苦情を頂きました。皆、先生への評価は同じなんですよ」


 こう面と向かって言われると、なんというかむず痒いものがある。


「…まあ良い。あとはあの男のことだ」

「フェルペッタ伯爵ですね」


 照れ隠しをするように話題を移してしまった。年甲斐もなく青い態度をとってしまうことに、内心溜息が出る。ここ数年は高弟だけを連れて旅をしていたために、褒められることなど久々なのだ、仕方あるまい。


「あれも伯爵位なのだろう?良いのか、あんな使い捨てのような扱いをして」

「隣国ゼラ帝国への武器の密輸と情報の横流し。フェルペッタ元伯爵にかけられている嫌疑の一部です」

「なに?」

「今日、彼を召喚したのは身柄の拘束と取り調べのためです。尤も、()()()()()()で叙爵式に紛れ込んでいたようですが」


 なるほど、あくまでフェルペッタは捕縛する予定だったわけか。私の態度に対する文句を言った、あのタイミングで捕縛が行われたのは()()だと。あの光景を見た者が、王家は伯爵よりリュートを優先するのだと()()するのは勝手にしたことだと。


「なるほど。黒くなったな」

「ご不満ですか?」

「いや、良い色だ。深く、気品のある王族らしい色だ」

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