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雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!  作者: 谷島修一
生徒会長選挙編
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新生徒会長の一存

 木曜日。


 今日も学校を休んだ。

 僕は朝食を食べた後、参考書を読んだり、スマホをいじったりして昼過ぎまで過ごす。

 昼ごはんにはインスタントラーメンを食べ、うだうだしていると、やがて夕方になった。


 また、ベッドに横になる。

 しばらくすると、廊下をバタバタと歩く足音が聞こえた。妹の美咲が中学から帰って来たのだろう。すると僕の部屋の扉をノックする音が聞こえた。


 扉が開くと、今日は妹と伊達先輩が現れた。


「お兄ちゃん、伊達さんだよ!」


 僕は伊達先輩の姿を見てギョッとなった。


「こんにちは」


 伊達先輩はいつものように上品に挨拶をしてきた。


「どうも…」

 金曜、上杉先輩から聞いた話を思い出すと、伊達先輩とどう話をしていいか、かなり戸惑った。


 そんな僕の様子には気が付かず、美咲は、

「お兄ちゃん、モテモテだねー」

 そう言うと笑って出て行った。


 別にモテてない。


「ずっと学校を休んでいるみたいだったから、お見舞いに来たの」

 伊達先輩、ベッドの横に正座をする。

「体調はどう?」


「いえ、良くありません」

 僕は身を起こした。

 生徒会長選挙であんなことをされたので、僕はわざと憮然とした態度で答える。

「僕の体調が悪いのは、伊達先輩のせいですよ」


「紗夜から聞いたわ。全部、話したって。本当は秘密にしておくように言ってたんだけど、なぜか言ってしまったようね」。


「知りたくない真実でした」


「ごめんなさい」


「あんなことまでして生徒会長になりたいんですか?」

 この質問には伊達先輩は無言だった。言いたくないのか。

 ふと、先日、悠斗に言われたことを思い出した。


『伊達先輩を利用する』


 僕は軽くため息をついてから言った。

「でもまあ、これまで勉強を見てもらって、成績も上がって来ていたので、チャラでいいですよ」


「ありがとう」

 伊達先輩は頭を下げた。

「優しいのね」


 優しいわけじゃない。打算的に考えただけだ。打算的に考えることは伊達先輩も得意そうだが。


「お見舞いを持って来たわ」

 そう言って伊達先輩は、カバンから小さな包みを出してきた。

「武田君が何か好きか、わからなかったから百貨店で買ったお菓子よ」


「ありがとうございます。良かったら一緒にどうですか?」


 僕はそれを手にとって包みを開けた。クッキーだった。

 そのタイミングで美咲が飲み物をトレイに乗せて部屋に入って来た。


「ジュースですよー」


 美咲はトレイをローテーブルの上に置くと、僕が持っているクッキーを見て言う。


「あっ! それ今、話題のクッキー!?」


「そうなんだ?」


 僕はそんなことには疎い。


「買いに来る人たちの行列がすごいって」


「30分ぐらい並んだわ」


 伊達先輩が言う。


「兄のためにすみませんねー」

 美咲がなぜかお礼を言う。

「一つください」


 そう言うと、僕の手元からクッキーを一つつまんで口の中へ放り投げた。


「おいしー」

 美咲は両手で頬っぺたを押さえて言った。

「じゃあ、ごゆっくりー」

 そして、部屋を出て行った。


「いつも元気な、妹さんね」


「ええ、最近は上杉先輩と仲いいみたいです」


「ああ、気が合いそうね」


 僕はベッドから降りてローテーブルの脇に座った。

 そして、お菓子の包みをローテーブルに置いた後、伊達先輩に座布団を手渡す。


「よかったらジュースも飲んでください」


「ありがとう」


 僕らはクッキーを一つ食べ、ジュースを飲んだ。

 そして、僕は一息ついて口を開いた。


「本当は体調はもう良くなっています。ただちょっと休みが欲しいなと。学校は来週から行こうと思っています」


「そう、よかった。私のせいで武田君が不登校になったら謝りようがなかったわ。それで、今回のお詫びのしるしに、武田君をお誘いしたいんだけど」


「お誘い?」


「よかったら、土曜日に映画でも見に行かない? 武田君が好きなSF作品が豊洲の映画館でやっているみたいだから。おごるから」


 どうしようか?

 それは、ちょうど見たいと思っていた映画だったし、僕はしばらく考え込んだ後、答えた。


「いいですよ。明後日の土曜日ですね」


「じゃあ、土曜の11時に護国寺駅の改札前で会いましょう」


「わかりました」


 そして僕らはクッキーを食べながら、しばらく伊達先輩から生徒会の状況を聞いたりして過ごした。

 我が雑司ヶ谷高校は、当選した新生徒会長が一存で他の役員を決めることができるシステムだ。

 副会長、書記、会計、庶務。

 来週早々には正式の任命をするそうで、伊達先輩の頭の中では、その人選はほぼ決まっているらしい。


 しばらく雑談をした後、伊達先輩は帰路についた。

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