53.クラス分け
100年ぶりくらいにどちらも予定通り更新できました。明日以降も頑張りたいです。
「ふわゎぁ〜」
僕は流石にそろそろ見慣れてきた天井で目を覚ます。
いつも通り、朝のシャワーを浴びて、制服に着替え、メイクをして、朝食の用意を始める。
昨日は疲れていたりして、そこまで考える余裕がなかったのだが、二つ気がかりなことがあった。
一つは昨日クラスについて話している時のアデーレの曇った表情についてだ。
いつもの彼女であれば自分より強い炎の魔法を使う者がいたとしても、それを打ち倒してエレメンタルの席を奪ってやるとでも言っていそうなものなのに。
その席についている者が彼女の知り合いで、倒す自信がなかったりするのだろうか。それとも、僕が見落としている何か他のことが気がかりなのだろうか。
「おはよう」
そんなことを考えながら朝食の準備をすると、サラ様が目を覚ましてきていることに気づかなかった。
「おはようございます」
「アデーレのことでも考えていたのか?」
「え、えぇ」
あまりにもドンピシャな質問に驚きを隠せない。
「昨日は私が振り回してしまったからな」
彼女が申し訳なさそうにそう言う。
「いえ、サラ様のせいではありません。クロは昨日のこと今でも嬉しく思っていますから」
サラ様が暗い表情をしているのが嫌だという気持ちが先行して、僕は余計……ではないけれど、言わなくてもよかったかもしれないことまで言ってしまう。
「そう言ってもらえると助かる」
その甲斐あって彼女の表情は明るいものになる。
「アデーレの表情が晴れなかったことに一応これではないかというものはあるのだが、聞きたいか? すぐ後でわかることではあると思うが」
「……いえ、それなら大丈夫です」
何故かわからないが今ここでサラ様に教えてもらうのは何か違うと僕は感じたのだ。その衝撃を後で自分で受け止める必要がある気がした。
彼女に触れられなかったもう一つの気がかりなこと。それは昨日の試合、どうして途中から僕の放出量が段違いに上がってサラ様に火力負けしないくらいになったのかということ。
今まで何度か魔法を使う機会はあったが、調子の良い時と悪い時は半々くらいであったイメージだ。
しかし、途中から調子が変わるということは昨日が初めてであった。
僕がサラ様に負けない魔法を使うために何か必要なスイッチがあるなら知っておきたいとは思う。
サラ様だったら何か知っているのだろうか?
けれど、もし彼女がそれを知らないならば、僕の力が不安定なものであると彼女に知られたくないとも思ってしまう。
今の僕はサラ様を守ることが許されているが、彼女がそのことを知れば僕が守られるようなことになってしまうかもしれない。
僕はサラ様の荷物になりたくない。
だから、この疑問は口には出さない。
「準備はできたか?」
「はい、大丈夫です」
僕たちは魔法学校の授業初日へと向かう。
特に用意を促されたものはないため、制服に身を包んで貴重品を持った以外特に用意はしていない。
部屋のドアを開けるが、そこには誰もいなかった。
いや、いないのは当然だ。ただ、一昨日のようにアデーレとパオラさんがいたりするのではないかと心のどこかで期待していたのかもしれない。
校舎の入り口には生徒が集まっていた。
どうやらクラス分けが書かれた紙が貼られているようだ。
魔法学校であるというのにこういうところは普通なんだなと感じる。
一人の男子生徒に声をかけられる。
「あ、クロ様とサラ様じゃないですか!」
「おはようございます」
しかし、残念ながら僕は彼の名前を知らない。
「お二人ともエレメンタルクラスですよ! 当然ではありますが」
近くにいた女子生徒が僕たちに教えてくれる。
そして残念ながら彼女の名前も知らない。
「す、すごいですね……」
そう弱々しい感じで僕のことを褒めてくる生徒も……彼女は知っていた。
「おはようございます、ノアさん」
「覚えててくれたんですね……おはようございます」
彼女は嬉しそうに僕に挨拶を返してくれる。
「まさか君にアデーレたち以外にも知り合いがいるとはな」
サラ様が少し面白くなさそうに僕たちの会話へと混ざってくる。
「こちらはサラ・ド・ブルゴーニュ様。クロの主人です」
僕が紹介するとサラ様が続く。
「紹介に預かったサラだ。ここの生徒ということは今後も関わり合いになることもあるかもしれないな。よろしく」
少し圧があるような感じでサラ様が言う。
「あ、はい。ご、ご丁寧にありがとうございます。私はノア・シュミットと申します。よろしくお願いいたします」
対照的にノアさんはかなり怯えているようで、丁寧に挨拶をする。
あまりエルフの印象が悪くならないように、サラ様には少しだけ慎ましくして欲しいとも思うが、それを決めるのは僕ではないので何も口出しすることはできない。
「ノアさんのクラスは?」
「私は選抜クラスです。いつかエレメンタルクラスに上がれるように頑張ります!」
両手を握って答える彼女は可愛かった。
「クラスに上下があるんですか?」
「はい。年に二回ですが、成績優秀な生徒に試合を行わせて合格点を得るとクラスが上がることがあるといいます。下がることはほとんどないらしいです。相当なことをやらかさない限りは大丈夫らしいです」
「なるほど……」
「一応、自分の目で確認しに行かないか?」
「はい」
僕たちが寄っていくと、道が開き、クラス分けが見えるようになる。
そこにはエレメンタルクラスに割り振られる者の名が書かれていた。
エレメンタルクラス
アデーレ・デッラ・スカラ
クロ
サラ・ド・ブルゴーニュ
以上。
ブクマ、評価ありがとうございます。




