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s9.ペットの君

更新遅れ気味ですみません。

バチンッ!


「いったい!」


 彼女が大きな声をあげる。そこまで強く叩いたつもりはなかったが、結構効いたようだ。


「数えないと進まないぞ」


 クロを叱責して続けていく。


 バチンッ!


「いちっ」


 クロが痛そうな声をあげる。


 バチンッ!


「にっ」


 彼女の肌はシミひとつなく綺麗だ。それを赤く染めていくということに気持ちが昂る。


 バチンッ!


「さんっ」


 バチンッ!


「よんっ」


 バチンッ!


「ごっ」


 バチンッ!


「ろくっ」


 手が痛くなってきた。少し強く叩きすぎてしまっただろうか。


 バチンッ!


「ななっ」


 けれど、彼女の悲鳴が混じった声を聞くのは楽しくて弱くすることはできない。


 バチンッ!


「はちっ」


 尻が赤くなってきた。


 バチンッ!


「きゅう〜」


 彼女が変な声を出す。


 バチンッ!


「じゅうっ」


 十回叩き終えた。

 彼女のお尻は真っ赤に腫れており痛そうであったが、それを見ていると何か胸の奥が熱くなる。


「よく頑張ったな」


 頭を撫でると喜ぶクロはまるでペットのようであった。




 それからは楽しい時間を過ごした。

 クロにメイクをしてもらったり、アデーレ宅へと向かう途中で話しかけられた生徒にクロが嫉妬していたり。

 ご飯の時間も楽しかった。もちろん、クロがいたからというのもあるが、エルフの国に友人などいなかった私にこのような時間を経験したことはなかった。

 いつまでもこの時間が続けばいいと思っていた。

 人間の話が出るまでは。


 いつかはクロに話さなければなはないと思っていた。

 彼女が知らないこの世界の人間という種族について話さなければならない時が来るのはわかっていた。

 けれど、まだその時ではないと後回しにしていた。

 その結果、私以外の口から伝えられることになってしまった。


 彼女は聡明だ。このまま魔法学校で生活していくことにリスクがあることは理解しているだろう。

 だから、私たちはこれからどうするのか決めなければならない。


「エルフの国に帰るか?」


「…………」


「別に今すぐ決める必要はない」


「……いえ」


 彼女は一呼吸置いて言った。


「僕だけエルフの国に帰ります」




「幸いなことにレア様やクレモン様には好意的に受け入れてもらえると思いますので、お城で使用人として働きながらサラ様の帰りを待ちます」


 クロは自分が帰る前提で話を続ける。


「勝手に話を進めるな、そんなこと許可するわけないだろう」


「ですが……」


「確かにクロだけが帰れば、問題は解決するかもしれない」


「だったら……」


「それでも、私は君と道を共にしたいんだ」


 ここで誤魔化す訳にはいかない。今彼女にきちんと伝えないと道を違えてしまうから。


「…………」


「サラ様」


「何度言っても君だけ帰るというのは認めないぞ」


「僕は男なんです」


「…………」


「僕は今まであなたを騙し続けてきていました」


「いや、前にクロの身体を見た時、きちんと女の身体をしていたじゃないか」


 身体を見た時という言葉にクロの身体がピクリと反応する。


「すみません、言葉足らずでした。前世が男で、今も自分のことを男だと思っています」


「こんなに可愛いのに?」


「褒めて頂けるのはうれしいですが、それでもです」


 真面目な話をしていたのに、クロは私に可愛いと褒められて喜んでいる。こういうところも本当に可愛いと思うが、そこまで口に出していたら話が進まないので黙っておく。


「可愛いって言われて喜んでるじゃないか。それにメイクも好きそうだったじゃないか」


「確かにそうなんですが、それは別の問題です」


「ほう、まぁ君が自分を男だと思っていることはわかった。それがどうかしたのか?」


 私は何事もないように話の続きを促す。


「どうかしたって……僕は自分の心が男であることを黙ってたんですよ?」


「嘘をついていたなら話は別だが、私はクロが男か女か問うたこともない。それに仮に問うていたとしても、今の君が女だと言ってそれを嘘だということはできないだろう」


 私だってクロに黙っていることはある。自分の過去のことや固有魔法のことなど。


「そうかもしれませんけど……」


「それに黙っていることがあったら今までの関係性は嘘になるのか?」


「そんなことはありません」


「私もそう思っている。それに私だって君に話していないことはあるしな」


「話していないこと……」


「聞きたいか?」


「いえ、今は大丈夫です。サラ様から話してくれる時を待ちます」


 クロは本当にできた人間だと思う。彼女みたいな人間ばかりであれば、きっと今も人間と共存できていたのだろう。


「ありがとう、君は本当にいいやつだな」




「あの、サラ様」


「なんだ? まだ自分だけ帰るとか抜かすつもりか?」


「いえ、もうそのようなことは言いません」


「じゃあなんだ?」


「僕は幸せ者だって伝えたくて」


 急に彼女はそんな嬉しいことを言ってくれる。


「なんだそれは」


「気にしないでください」



 寮に近づいてきた頃、クロに聞いてみたかったことを思い出した。


「そういえばクロは心は男なんだよな?」


「はい、そうですけど」


「恋愛対象も女なのか?」


「あー……」


 本当は答えを知っていたが、クロの反応が見てみたかった。

 けれど、私の想像以上に彼女は悩んでしまった。クロは頭が回るのだが、考えすぎてしまうところがある。


「無理に答えなくてもいいぞ。まぁ君の反応でわかってしまったが」


「…………」


「逆にサラ様はどうなのですか?」


 唐突に同じ質問を聞き返されてしまう。


「私か?」


「はい、差し支えなければお聞かせ願いたいのですが」


 彼女の求めている答えは分かっているが、今はまだ与えてやらない。


「……秘密だ」


「そうですか……」


 少しだけ残念そうな表情をしたクロも抱きしめたくなるくらい可愛かった。

ブクマ、評価ありがとうございます。

感想含めてお待ちしております。


今回少しだけ意味がわからないところもあるかと思いますが、多分ミスじゃないです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うんうんサラさんのクロに対する絆の深さが伺い知れた回ですね。クロを引き止めには成功ですあとクロの秘密もゲットサラさん(*≧∇≦)ノやったね♪これで二人の関係も一歩全身、続きがきになってしか…
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