41.連帯責任って辛いよね
最近遅れ気味ですみません。1日2話投稿は頑張ります。
サラ様と二人で帰路を辿る。
あの後も今日の試合についてなど他の話していたが、全く頭に入ってこなかった。
パオラさんがどう思っているかを聞くことはなかった。
けれど、彼女はアデーレの従者だ。大事なところでは彼女の意思を尊重するだろう。
僕は彼女たちと友人になれたのではないかと思っていた。
いや、向こうはきっと友人だと思ってくれているだろう。現時点では。
けれど、僕の中ではそう簡単にバレるまでは友達でいられますねと割り切れる話でもない。
色々なことを考えてしまう。
バレたらどうなってしまうのだろうか。
姫である彼女にどこまでの権限があるかはわからないが、彼女の嫌いっぷりを見るに、おそらく王も人間を疎ましく思っているのだろう。
バレてしまったら殺されるのだろうか。
殺されそうになっても、逃げることくらいはできるかもしれない。
そこまでは行かなくても国を追い出されるくらいのことはあるだろう。
けれど、その時サラ様はどうなるのだろうか。
彼女は人間を国に招き入れたとして彼女にも罰が降ってしまうのではないだろうか。
もしかしたら、エルフの国と精霊の国の交友関係にまで関わってくるのかもしれない。
そう考えると僕を魔法学校に入学させたことはとてつもなくリスクが高いのではないだろうか。
協力したアガタさんも無事というわけには行かないだろう。
仮にバレなかったとしても、僕は今後ずっとアデーレとパオラさんを騙し続けることになる。
向こうから信頼され、友達だと思われているのに、こちらは一番大事なことを隠しているという裏切りとずっと付き合っていかなければならない。
サラ様のためであれば、それをする覚悟はある。
けれど、アデーレもパオラさんも僕にはもったいないくらいの本当にいい友人だ。
彼女たちを騙し続けるということは、正直に言ってしまえば、とても心が痛い。
「すまない、クロ」
沈黙していた帰り道、先に口を開いたのはサラ様であった。
「どうしてですか?」
「君に、人間という種族がどう思われているかを聞かせてしまった」
「……ここで知らなくても、いつかは知ることになったはずです」
彼女は悲しそうな表情をして言った。
「それでも、少しでも長く、君には幸せな生活をしていてほしかった」
「お気持ちはありがたいですが、僕は知ったことによって不幸になったとは思いません。たしかに悩むことは増えてしまいましたが、僕にはサラ様がいますから」
「クロ……」
彼女がいてくれる。それだけで僕は生きる希望を見つけられる。
「そういえば気になっていたんですが、どうしてアデーレは人間を強く恨んでいたのでしょうか? レア様やクレモン様はそこまで人間に固執していなかったように思えましたが」
僕は先程から疑問に思っていたことを尋ねる。
「彼女のことを全て知るわけではないが、人間によって被った被害が精霊の国はエルフの国の比ではないからだと思う。人間は最初にヴァンパイア、次に精霊を狙った。強い種族から順に潰そうとしていったのだ。エルフは舐められていたということになるが、結果的にそれで助かったとも言える」
彼女は他人事だと思っているのか、淡々と話していく。
「潰すと言っても、ただ国を滅ぼすだけでなく、そこにいる民を攫っていくこともしていたという。ただ、戦っただけのエルフが持つ嫌悪とはレベルが違うのだろう」
想像はしていたが、話に聞くと少なからずショックを受けてしまう。
「彼女が人間を残虐非道と称したのには二つ理由があると思う。一つは今言ったことだ。もう一つは人間とヴァンパイアの間に生まれたダンピールが国を作るほどに数を伸ばしているというのに、最も強いからという理由でそれまで非常に友好的だったヴァンパイアの国を滅ぼしたからだ」
アデーレの言葉を否定できない要素が積み重なっていく。
「すまない、君に対してここまで説明する必要はなかったかもしれない」
「いえ、クロがお願いしたことなので」
「クロは頭がいい。色々なところにまで考えが及ぶ」
「ありがとうございます」
「さっき自分でも言っていた通り、私の口から聞かなくてもどこかで知ることになったのも事実だ。それであれば、少しでも早く人間のことを知り、少しでも長い時間、君に考えて判断を下して欲しいと思った」
彼女は少し間を置いて言った。
「エルフの国に帰るか?」
「…………」
「別に今すぐ決める必要はない」
「……いえ」
そう言われるのではないかと、少し考えてはいた。この国にいる危険性を知ってしまった以上、帰るという選択肢はありだと思う。
自分のことはなんとかなると思っているが、バレてしまった時にサラ様の立場がどうなってしまうのだろうかという不安がある。
しかし、魔法学校で成果を出すことが彼女が王になるための少しでも近道になるというのならば。
僕の答えはひとつしかない。
「僕だけエルフの国に帰ります」
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