39.あなたの隣にいる
なんとか昼更新しました
「お待ちしておりました」
僕たちを待っていたのはメイド服姿のパオラさんだった。
彼女も美人なのでこのまま男の前に出たら、ものすごい視線に晒されることになるだろう。
「邪魔をする」
「お邪魔いたします」
僕たちは彼女に中へと案内される。
一度入ったことはあるが、エルフの国の城とは違い、様々なものがスタイリッシュであることを再確認させられる。
「こちらでお待ちください」
そう言って案内された部屋には席が三つ用意されており、その一つには既にアデーレが座っていた。
「お待ちしておりました」
「君がどうしてもというから来てやったぞ」
「なんで招待したのはこちらですのにそんなに偉そうなんですの!?」
サラ様がからかうとアデーレは面白いくらいに噛み付いてくる。
「ありがとうございます、アデーレ様はさっきから来てくれなかったらどうしようと暴れ回っていたくらいでしたから助かりました」
「パオラは何故、根も歯もない嘘をつくんですの!?」
パオラさんにも振り回されている。
その反応が面白いからやられていることに本人は気づいているのだろうか?
「それではお料理の準備をして参りますので、失礼いたします」
僕は出ていこうとしてるパオラさんに買ってきたお土産を渡す。
「あ、すみません。これどうぞ」
先程、サラ様と一緒にケーキを買ってきたのだ。何人分買えばいいかわからなかったので、ホールを一つ購入してきた。
「ありがとうございます」
彼女はそれを受け取ると、部屋から出て行った。
どんな料理が出てくるのかと楽しみにしている時、重大なことに気づいた。僕がテーブルマナーについてほとんど知らないことに。フォークやナイフを外側から使うことくらいは知っているが、確実にヘマをやらかす。
「サラ様……」
僕は小声でサラ様に話しかける。
「どうした?」
「すみません、テーブルマナーとかわからないんですけど、どうすればいいでしょうか?」
「あぁ、私の真似をして食べ進めればいい。それに、ここには私とアデーレしかいないんだ。別に間違えたところで構わないさ」
「わかりました、ご迷惑をおかけします」
一応アデーレは友人とはいえ、隣国の姫君だし、サラ様の名誉を守るためにも変なことはしないようにしなければ。
「…………」
アデーレが僕たちをじっと見つめている。
二人だけで会話をしないでください! と顔に書いてあるが、それを口に出すのもはしたないと思っているのか口には出ていない。
考えた結果、アデーレにも話しておく方がいいと思い、サラ様の方を見ると彼女も頷いていた。
「クロはテーブルマナーというものがよくわからないので、もしかしたらなにかマナーに反する事をしてしまうかもしれません。すみません、アデーレ」
「そんなことでしたの」
アデーレは本当にそんなことかという表情で続ける。
「それなら今日覚えればいいですわ。今日ならわたくし達しかいませんし、誰も咎めたりはしませんわ」
彼女もサラ様と同じように許してくれた。
「ありがとうございます」
しばらくするとパオラさんが料理がを運んできてくれて、食事が始まった。
僕は色々とサラ様たちに教わりながらも、デザート以外をなんとか食べ終えることができた。
「二人ともありがとうございました」
「わたくしはほとんど何もしていませんわ。そもそも、クロがほとんどできていたじゃありませんの」
「アデーレの言う通りだ。全然問題なかったぞ」
二人に褒められ、テーブルマナーに自信はつくが思うところもある。
今回はアデーレの友達として招待されたのでサラ様と一緒の席についているが、今後はこのようなことはないだろう。
僕の立場としてはその方が当たり前なのに、それを寂しいと思ってしまうのは傲慢だろう。
実際、パオラさんが席につくことはなかった。料理を持ってきて、その説明をしての繰り返しであった。
僕は分不相応にもサラ様の隣にいたいと思ってしまうのだ。
「デザートは私も食べますので」
僕たちが買ってきたケーキを切って持ってきたパオラさんが椅子を用意して一緒の席に着いた。
「パオラさんはご飯食べなくていいんですか?」
「もう食べましたよ」
「いつ食べたんですの!?」
僕よりもアデーレが驚いたような反応を見せる。
「皆さんの料理を作りながら、美味しそうなところの三分の一くらいは私が食べました」
「三分の一って……」
「残りはサラ様とクロさんに。アデーレ様にはちゃんと残り物を出しておきました」
「わたくしが残り物なんですの!? というか、ちゃんとってなんですの!?」
「冗談ですよ、冗談」
僕が見ているパオラさんであればやりかねないと思ってしまうので、本当に冗談なのかはわからない。
「それならよかったですわ」
アデーレは信じているみたいだし、彼女がいいならいいだろう。
「それじゃあいただいたケーキを食べましょうか」
「ちょっと待ってくださいまし」
「なんでしょうか?」
「どうしてこんなに大きさがバラバラなのでしょうか?」
アデーレの言う通り、ケーキは四等分から程遠く大きさが四段階に分かれている。一番大きいものは半分近くあるが、一番小さいものは数口で終わってしまいそうだ。
「こういう方が盛り上がるかと思いまして」
そう言うとパオラさんはトランプを取り出して言った。
「ババ抜きをして勝った人から順にケーキを選んでいきましょう」
なんとなくだが、誰が最下位になるかは見えた気がする。
「いいですわね! わたくし幼い頃には負けなしだったのですわ!」
最下位候補筆頭の赤いツインテールがやる気に満ち溢れていた。
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