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24.スランプ

 魔法学校へと着いた僕たちは校門で呼び鈴を鳴らす。

 すると中から教師と思われる、紫色の髪の毛を生やしたおばあさんと言った見た目の精霊がやってくる。


「お話は聞いてますよ。エルフの国のお姫様とその従者の方ですね。こちらからお入りください」


 そう言うと門の横の扉を開けてくれたので、そこから入っていく。

 再び扉に鍵を閉めると僕たちに向き直って言った。


「試験場にご案内しますので、着いてきてくださいね」


「よろしくお願いします」


 彼女の後ろについて歩いていると彼女の方から話しかけてきた。


「ごめんなさいね、試験なんて受けさせてしまって。国から推薦されたお二人なら落ちることなんてないんだろうけど、一応誰であっても試験は受けてもらう決まりでね」


「別に構いません。私もクロも落ちることがないというのは事実ではありますが」


 サラ様が強気に答える。


「まぁ大丈夫だとは思いますが、頑張ってくださいな」


 簡単に通った場所に何があるのか説明されながら、試験室へと向かう。


「入学したらきちんと説明されるでしょうから聞き流してくださいな」


 そう言ってくれるが、教えられたところはそう多くなく通った部屋のことは大体覚えることができた。


「試験とは一体なにをするんでしょうか?」


 サラ様と違って絶対大丈夫という自信がない僕が尋ねる。


「試験場にある魔力を計測する石に思い切り魔法をぶつけてもらうだけですよ。魔法の形なんかは入ってからの勉強でどうにでもなりますが、魔力の放出量というものはなかなか変わるもんではありませんからね」


 聞いたこと以上に詳しく説明して教えてくれる。


「あんまり喋っちゃいけないのかもしれないけれど、喋っちゃいますね。今年の合格者最低点は250点で平均点は360点、最高点はアデーレ様の2560点ですね」


 やっぱりアデーレってすごいんだなと再認識する。

 僕はアデーレの点数を越えることができるのだろうか。



 試験について思いを巡らせていると、声をかけられた。


「こちらが試験会場になります」


 部屋は二十メートル四方くらいの計測器の石以外何もない部屋だった。


「試験官は?」


 サラ様が誰もいないことを疑問に思ったようで僕も気になっていたことを尋ねてくださる。


「あー、私が試験官をやらせていただきます」


 そう言うとおばあさんはどこからか紙とペンを出す。


「それではどちらの方からでもどうぞ」


 僕が行っていいのかサラ様の方を向いて確認する。


「クロからやってこい」


「かしこまりました」


 石の前に立ち、巨大な氷をイメージする。そしてそれを一気に前に打ち出すようにして解き放つ。

 氷は石にぶつかって、四散していった。


 1240、それが石に浮かび上がった数字であった。


「従者の方、すごい数字ですね。アデーレ様に次ぐ結果ですよ」


 そう言われるが、僕は逆の意味で驚いていた。氷を生成している時にうっすらと気付いていたが、明らかに放出量が先程とは違う。

 こんなことではサラ様に失望されてしまう。

 彼女は僕の方でなはなく、石の方をじっと見つめていた。



 次に彼女が石の前に立つと、突風を発生させる。


 1480、僕より240大きい数字がサラ様の結果だった。


「流石エルフの国のお姫様」


「ありがとうございます。ただ、アデーレさんには負けてしまったので、放出量以外の部分で頑張っていきいと思います」


「頑張ってくださいね」




 僕たちは案内された寮へと来ていた。まだ、寮で生活している者はおらず、貸切状態となっている。

 基本的に寮の部屋はランダムとなるしいが、僕たちの部屋は同じになるように操作されていたらしい。

 部屋にはアガタさんが送っていてくれた、洋服を含む荷物が届いていた。


「……はぁ」


 部屋に入ってから椅子に座ってずっとため息をついていた。


「先程の結果を気にしているのか?」


 1240という数字がどうしても頭から離れなかった。


「はい、先程は申し訳ありませんでした」


「何故謝るんだ?」


「私が不甲斐ないところを見せてしまったので」


「全体三位のあの結果で不甲斐ないのか?」


「でもサラ様にはもっと高い点数を取ることを期待されていたかと思うとやるせなくて」


 サラ様に具体的に指示をされていたわけではないが、彼女の前で格好悪いところは見せたくなかった。


「クロの点数が低かったくらいで私が君に失望すると思うか?」


 そんなこと、思っていません。


「……いえ」


「そうだ、その程度で揺れるほどクロのことを浅く大事にしているわけではない」


 そんなこと、わかっております。


「……はい」


「わかっているなら気にするな、早くシャワーに入って着替えてくるといい」


「シャワーならサラ様がお先に入ってください」


 確かに早く着替えたいが、主人より先に入るというわけにはいかない。


「私なら入ったぞ?」


「え?」


「それにすら気づいていなかったのか」


「すみません、すぐに入ってきます」


 バスタオルと下着と、着替え、と言ってもメイド服しかないのでそれらを持ってバスルームへと向かおうとする。


「クロがシャワーから出たら、街に出かけようか」


「何をしに行くんですか?」


「クロのメイド服以外の服を買いに」


 女の子になってからメイド服は可愛くて好きだったが、ほかの服も着てみたいと思っていたので、サラ様とのお出かけを楽しみにシャワーを浴びるのだった。

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