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森勝蔵長可 転生者は家族を守りたいが為、狂い笑う。  作者: 確かな嘘
第2章 出会いと内政チートと敵対
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叔父上 問答

林秀貞が登場

ここから勝三君の規格外が出てきます。


2019/10/07 一部変更しました。

そうそう、叔父上のお屋敷に伺うまでに気づいたことがある。

転生初日に、父の後ろにいた人、

家来だと思ったんだけど、小者といって身の回りをする方らしい。

父上が領地の村で、人手不足だからと雇ってあげたらしい。


それが、お屋形様の目に留まり、お屋形様つきになり、面白いと言うことで、足軽家臣になされた。転生したすぐ後のことだったから驚いた。

その方の名前が藤吉郎様という。

うん、のちの豊臣秀吉様だ。のちになって上司になります。

父上には感謝しているらしく、私や兄のことを気使ってくれます。

縁は大切にだ。



さぁ、叔父上のお屋敷に着いた。

先触れは出してある。各務だ。彼しかうちの家臣はいない。彼はなぜこんなにも我が家に尽くしてくれるのか。


叔父上の息子、私のいとこが迎えてくれる。林一吉様だ。叔父上について京に行っていたらしい。

「一吉様、お久しぶりでございます。ご健勝のことお噂で聞いております。」

「うむ。勝三も元気そうだ。噂で変わったように、よく学んでいると聞いたが、本当のようだ。」

「はい、自分の不甲斐なさに、心を改めまして、今は習いに励んでおるところでございます。まだ至らぬところがありましょうがご容赦ください。」


「尾張でこのような、話の仕方を聴くとは思わなんだ。まぁ、良い入れ。父上を呼んでくる。父上は少ししたら来るのでな」

「はっ」


叔父上を待つため、応接間に通される。

さすが筆頭家老である。

立派なお屋敷だ。最近になって叔父上に講義していただくようになったが、それは奇妙様の付き添いということだった。しかし、私が変わったこと、熱心に聞くことから個別に叔父上のお屋敷にて問答をしてもらえることとなった。叔父上は母上を可愛がっており、その子供である私も可愛がってもらっている。そのおかげで、もっと話をお聞きしたいと願ったら、今日の運びとなった。京から帰って間もないのに、よく話をしてくれるということになったものだ。我ながら、わがままを言ったものだと思う。


なお、元服した兄上は嫡男なので、父の手伝いで領地経営の勉強中である。

そんな中、次男であるので、ここにくることを許された。父の後継の勉学よりも自身の視野を広げるためにと、奇妙様が元服後に奇妙様の側近になるためということから、後学のための勉学を多く入れていただいている。幸せだ。兄には申し訳ない。


「勝三よ、待たして、すまない。」

「いいえ、佐渡様。筆頭家老であらせられる佐渡守様の貴重なお時間をいただいておるのです。

感謝こそすれ、そのような言葉をかけて頂くことはありません。」

「ふむ、そうか。

しかし、奇妙様よりも、いや他の家臣よりも礼儀作法ができておる。先程一吉も驚いておった。自分の方ができていないと。前から気になっておったが、それはどこで身につけた?」

「佐渡様。奇妙様と共に学んだものを自分なりに使う練習をしております。母上や父上相手につこうたりしております。」

「そうか、まぁそこまで気を使うな。佐渡ではなく叔父上と呼べ。」

渋々と言った様子で納得してくれた。


あぁ、危なかった。一応こういう時のために母上や父上相手に敬語使っておいて良かった。各務にも変じゃないか聞いたんだよね。各務、あの明智光秀とも親しかったらしいから礼儀作法はよくできる。本当に何で森家なのだろう?

各務ほどの者なら引く手数多だろうに。


まぁ叔父上の話だ。面白いことが多く聞けるだろう。


「ありがたき。叔父上、失礼ながら早速、京のことをお聞きしたいのですが」

「京はな、一言で言えば荒れておる。

公方様は殺され、三好らが跋扈し、寺社仏閣は民をないがしろにし、高利貸しよ。

公家の方々は困窮し、何もできぬ。官位を金で売る。どこが偉いのか分からん。

お屋形様に早く天下を取ってもらわなくてはと思うぞ。」

「そうでございますか。公方様は暗殺されましたか?」

「暗殺?」

「違うのですか?」

「いや、合っておる。しかし、なぜ知っておる?三好に殺されたとはいえ、暗殺というのは伏されておる。普通は攻め滅ぼされたとでも思うだろう。」


やばっ。

「えぇ、叔父上の言葉から公方様が殺されたとお聞きし、戦ではない様子でしたから、それに攻め滅ぼされたとなると、流石に織田にもその噂は流れてくるかと。なので暗殺かと推察いたしました。」

「ふむ、そうか」

「はぁ。では叔父上はどなたと京でお会いしたのでしょうか?」

「公家の山科様と関白近衛様だ。」

「近衛様?」

「何がおかしい。近衛様は公方様を支援なされていた。公方様亡き後、お会いするのはおかしくないだろう。」


近衛様といえば摂政にて公方様を支援しておる公家だ。そして足利義昭のバカと共に信長様包囲網を築いたやつだ。。災厄だよ。いや最悪だよ。どうせ裏切られるのに金出してどうすんだ。歴史好きには無能とか老害という言葉が義昭と共に囁かれる。

史実でも、今まで、京の話を聞く限りでは、実際になにもしてないくせに偉そうにするだけの無能な摂政だ。

まぁ今の公家にこの時代をどうにかできる状況じゃないが、せめてまともな見識ぐらいは持って欲しい。

そうすれば織田が京に上洛する際には支援を宣言するだろう。史実通りの京での織田の様子ならね。


「どのようなお話を」

「うむ、流石に言えぬな。次は教えてやることができよう。」

まぁ言えないわな。一子供に勉学のために教える程度で外交の話を教えてたらいつ情報が他国に流れるかわからんだろう。そう思うのが普通だ。ここで教えてもらえないことを嘆いてもしょうがない。


「左様ですか。では、京ではどのようなものが流行っておりますでしょうか?」

「ふむ、流行り物か。特に変わったものとかはなかった。京も荒れておるからな、むしろ物資不足かのぉ。

あぁ、近衛様のご紹介で面白い絵師に出会ったぞ。」

「絵師?ご紹介で?それまた不思議なことで。」

「変わった絵を描いておった。そもそも絵と言えるのかのぉ?、それに自分のことを画家とか言っておった。」

「画家?なんでしょうかそれは?

変わった?とはどのような?」

「画家はまぁ絵師の別の呼び名と言ったところだろう。絵の方は、なんじゃ模様が顔にあるというのか、わしには全然分からん。」


キュピズムか?ピカソはまだ生まれていないはず。

そんな現代芸術がこの時代に?

それも日本で?

転生者の匂いがする。でもなんで画家?


「南蛮人でしょうか」

「いや、堺の出らしいぞ。」

「そうでございましたか。南蛮の絵師かと推察しましたが、堺で南蛮人にでもなろうたのかもしれません。」

「わしもそう思うの」


「京のことはわかりました。では他国の状況はいかがでしょうか?」

「ふむ畿内は荒れておる。闇の関所も多く、出るのに苦労した。三好、松永、根来に雑賀衆、あとは本願寺勢と困ったもんじゃ。畠山や筒井ものぉ。勢力争いで互いに牽制し合って、なにも上手くいかん。結果が公方の死だからな。まぁ奴らの気持ちもわからんではない。現状では動くだけ損だな。」

「左様ですか、畿内は大変そうですね。」

「うむ。あれは当分は荒れるな。

思い出したが、覚慶様が生きておられて、将軍になられる覚悟とのことだ。」

「覚慶様ですか」

覚慶ね。あいつは後の義昭だ。バカが動き出した。


ここは知らんフリ。さっきと同じミスはしないよ。知らないふり。


「覚慶様は、前将軍義輝様の弟様であらせられる。次の公方様とも言われる方だ」


あぁ、あのクズでバカが将軍になる気満々だ。義輝と一緒に死ねば良かったのに。

公方の護衛も仕事すんなよ。三好らは仕事しろ。

これで、明智光秀のキンカン頭が織田家に来るし、包囲網始まって父上と兄上が危険だ。

あのクズは森家にとって死神以外の何物でもない。貧乏神で死神。超嫌われ者だ。しかも超絶の無能だよ。


これは、近衛の老害とあのバカを仲違いさせて被害を減らす方向にしたいな。


「その覚慶様はどんな方でしょうか?」

「あまり評判が良くないのお。兄の前将軍に比べるとかなり落ちる。まぁそもそもその兄とて、幕府をどうすることもできんのだから、まぁなぁ」

「そうですか、覚慶様はどのようにして京にて将軍になられるのでしょうか?」

「ふむ、先ほどの話から、よく覚慶様が京の外におられるとわかったな?」

「まぁ、前将軍様ですら暗殺される状況ですから、京にはおられないと思いました。」

「ふむ、そうか。まぁ、自分を京に連れてきて守ってもらえる大名に頼んで京にて将軍になられるのだろう。」

「誰かを頼るわりに将軍職にこだわるのは、前の将軍と変わりませんね」

「全くだ。今のところは朝倉のところに身を寄せているようだ。ただ、あそこものお。

将軍家とさして変わらず。国に引きこもって出てこんわ。そのくせ、守護だなんだと威張りよる。」

「覚慶様は朝倉にそのままいてもらい、他の方を将軍になされた方が良いのでは?どうせ神輿は神輿なのでしょう。ならば欲の薄い方に任せて、担がられるのをよしとする方が、京はもとより畿内も荒れないのでは?」

「ふむ、確かに。変に欲のあるものより、神輿としていられるものの方が良いか。」

よし上手くいった。これで公方が変われば歴史も変わるはずだ。


「話は変わりますが、美濃はいかがでしょう?」

「ふむ、義龍殿が亡くなり、龍興殿になってもうダメだな。ついぞ、お屋形様が奪うだろう。先日も竹中半兵衛殿という御人に城を奪われたようだ。」


竹中半兵衛が出てきた。あの3兵衞の竹中半兵衛様だよ。私が一番好きな軍師。戦国時代のファンでも、半兵衛好きは多い。三英雄と3兵衛、これこそが戦国時代なんだ。

叔父上が言っているのは稲葉山城の簒奪だ。史実では奪ったとも、戒めたとも言われる。城取りだ。この世界ではどっちだろう。俺は戒め派だ。その方が、竹中半兵衛が処刑されていない理由や安藤守就がそのあとに信長様と戦う理由が明確になる。


戒めと言うならばこうだ。

竹中半兵衛はこの時、寡兵の十数人で城に乗り込み、龍興らのいぬ間に、稲葉山城を奪取する。方法は色々と言われている。


龍興は稲葉山城は落ちぬ。最強の城と宣っていたから、そんなことはないと戒められたという。

恥ずかしい。まさに無能を絵に書いたような人だ。

信忠様もそんな人にならんといいが。


竹中半兵衛については生きてるのも、住んでる場所も知ってます。

死ぬ前にもその辺を旅行でいきました。

あれ、あの時そういえば小牧長久手も行ったような気がします。


あれ何の話?そうそう竹中様が稲葉山城を落とした話。

でも、引っ掛けには乗りません。

「では、斎藤家はなくなったのですか?」

「いや、奪ってすぐに返したそうだ。」

「また、よくわかりませんね。取ったのに龍興殿にお返ししたということでしょうか?」

「ふむ、主君を諌めるためだ。落とせぬ城はないとのことだよ。」

「そういうことですか。落とせぬ城はないか。

では、奇妙様に竹中様の戦略を仕掛けてみましょう!

それは、良い薬になられるでしょう。」

「何をする気だ。いずれ、お前に取って主君になるのだぞ。

わからぬが、何をするにしても、ほどほどにしておけ。」

「諫言ですよ。身をもって、勉強させますが。」

「はぁ、ほどほどにな。

こういうところは子供らしいのお。」


叔父上の許可もいただいた。

お屋形様はまず怒らないだろう。よし行ける。

明日は奇妙様と共に叔父上の勉強や習いごとだ。

最近、本当に調子乗ってるんだ。

ここらで、一発かましておこう。

そして身をもって学んでいただこう。

面倒なことも減るだろう。

叔父上もほどほどにといっておられるしな。


ほどほどにを拡大解釈する勝三は話を変える。


「そういえば、南蛮船が津島の港付近に来たとか?」

「うむ、堺に行く予定だったのであろう。先日の嵐で煽られて、湾内に逃げ込むために、こっち側に来たのではないかとのことじゃ。」

「どのような船でしょうか」

「南蛮船を知っているのか?」

「小さい漁師が使うのとは違うので?」

「もちろん違う。どんなものかは後日調べるらしい。」

「左様ですか。」

「うむ、まぁ見たければ、いずれ見れよう。まぁ今日はここまでだな。」

「本当ですか。ご教授ありがとうございました。」

「うむ。気をつけて帰るように。誰か供となる者を出すか?」

「各務に送ってもらうので大丈夫です。ご心配いただきありがとうございます。」

「わかった」


林秀貞は、勝三が帰ったあと、1人茶を飲みながら先程の話を振り返った。

「なんと賢いものだ。

あの歳で、あれほどの礼儀作法を身につけ、京の話を理解する。

ときどき子供であるという装いをする。たまに子供らしいところもあるが年齢にそぐわぬ落ち着きと考え方だ。

末恐ろしいとはこのことだ。

そして何より将軍家に関する提案は面白い。ロクでもない者を担ぐなら、無意味な者の方がよいか。

明日、お屋形様に提案してみよう。あの話もイイかもしれん。

京に…。」


林は予定では、帰領は昨日だったが早く戻ってこれ、2日前には京のことについては報告を済ませていた。

信長様の後に、すぐに勝三に話をしていた。それほどに勝三を買っていたが、今日の話し合いには、また驚かされた。


「一吉、話すことがある。こっちに来なさい。」

一吉はこの後、もっと勉強するようにと説教を受ける。可愛そうだが、これがのちに一吉を飛躍せしめる。それは別の話。


そして、林秀貞には勝三の知らないふりはバレていた。


こんな子供は怖いよ普通。

天才すぎる。作者すら思います。

でも、織田家は人材不足ですので、いい人材なら…




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