長島戦②
前回の続きです。今回の話を読めば前回の話を呼ばなくても続くようにできたと思います。
変なところで切りましたが、理由は前回の前書きに書いていますが、水害を思い起こさせる記述があり、先日の台風を考えるに、記載するか悩みましたが、作品上の重要性から記載しました。そのため今回は中途半端なところからの投稿となります。
はぁ、自分のしたことながら、気分が悪い。
怯えてるんだろうな。苦しんで死ぬ。自分のいく先が死しか思いつかない恐怖に。
うーん、なんか涙が出そう。自分の行動が怖くなって来た。
「各務、勝蔵様をあっちに」
半兵衛さんが各務に言う。
「勝蔵様」
各務が小さな声で、俺の名を呼ぶ。
ヨーゼが手を引く。
でも涙をこらえ、動かない。目を離したらダメだ。
ヨーゼも手を止めた。各務も真剣に敵を見る。慶次兄いはその結末を忘れないかのごとく見る。一太は目を手で覆う。その他の兵も。
見なきゃいけない。自分たちの家族を殺してきた宗教勢。
相手の家族を殺そうとするのに自分は殺されない、ずる賢い宗教勢。
自分たちは安全圏で人を殺すことがどれだけ酷いか、身をもって確認しろ。
まぁこれは俺にも言っている言葉か。
だから忘れない。
そして、家族を守る。
仲間の兵を守る。
そのために殺す。
これだけは忘れちゃいけない。
ちなみに、あそこらの城はあの人数の人を食わせるだけの食料は1日分すらもない。
いるのは数千名。さて、僧は食料を渡すのか。
結局数日で、残りは数十名になり降参。もちろん偉い坊主は殺す。民は逃がそうと思う。あるところに送って。
民のフリした坊主がいたよ。しかもガリガリじゃない。こいつら自分たちだけ食べていたな。
民は数名だけ。多分、人減らしのために殺されたのだろう。
出てきた民は女だけ。こっちを睨む。この女たちもガリガリじゃない。多分、坊主の女なんだろう。
城の中を確認したら、無残な死体が多い。共食いすらしたのかもしれない。
吐き気がする。こんなのが坊主。
こんな坊主を信じている民。
やっぱりこいつらは殺すしかない。
そう思っていると、一人の男が前に出てそいつらを殺した。
誰だ。うちの兵だ。
各務が彼の事について、他の者らから聞いてきた。
彼はある村の出らしい。
その村は一向宗が多くいた村だそうだ。
そこに一向宗じゃない、子供を抱えた家族。
一向宗は織田に刃向かうと決めた。
「しかし、領主たる織田様に!?」
そう驚くと共に、その村の決定を聞いた家族は怒りすら覚え、
その家族は神より領主の織田を選んだ。決して楽じゃない村でも見捨てずに恵みをくれた信長様を。
信行を殺した後、信行の支配領域だったその村を、信長様は見捨てずに、復活の機会を与えたんだと。
しかし、村が選んだのは刃向かうこと。一向宗が嫌いな信長様が信仰を否定したから。
その村で孤立した村人家族は食べ物を奪われ、女は襲われて、男は殺され、家族は末っ子だけを逃したんだと。
その末っ子の男の子は成人になり、今日、降参した一向宗を殺した。
あぁ、彼は夜叉だ。
復讐に身を落とした夜叉だ。
歴史通りなら勝蔵である俺ががああなる予定だった。
こういう者を減らすために狂人だろうと夜叉となる。
家族を守るために鬼になる。
そう俺は決めたんだ。
勝蔵は家族を守りきる、その時まで修羅となる覚悟をもう一度、確認した。
先程の男、拓也という。
この時代の名としては非常に珍しい。
勝蔵は彼の名前を知らない。
彼は長島の戦いの後に消えた。規律違反が理由だった。
これからはできる限り、毎日投稿をしたいと考えていますが、遅れる時はお許しください。




