勝三会議③
きました勝三会議です。
作者の筆はノリノリでした。
ここは楽しい。
昨日は忙しく、あげれなかったので2話投稿します。
尾張に勝三らが戻ってから3週間。
またいつものメンバーで勝三会議が始まる。問題児にもほどがある。
まぁ、むしろ皆成長が楽しみなのだ。必ず織田家のためになる。だから情報共有と育成の方法を考えるのだ。
「して、あやつはどうだ。」
「まぁ私から。道の整備について上申いたします。ヨーゼ殿から聞いた話と勝三殿が熱心に語っておりました。ヨーゼ殿にも聞いたところヨーロッパというところでは当たり前だとのこと。全ての道はローマに通じるだそうです。」
「どう言うことだ?」
「田を整備して、道を整え、尾張の街々の間および他国からの道を作るそうです。関は道の途中に作らないこと、道を真っ直ぐ広くすることが大事だそうです。」
林は
「そんな道の整備をすれば、お屋形様様のところに敵が来るぞ。危険では?」
「勝三殿曰く、『それよりも利がある』とのこと。」
「それよりもだと。勝三め」
「林、まぁ良い。それよりも利というのは何だ?竹中」
「まず、輸送です。」
「ほう」
「戦争を支える物や事前準備を合わせて、これを兵站と呼びます。兵站によって継戦能力が上がるそうです。継戦能力とは戦を続けられるために必要な物資や期間又はそれら全てなどを指すそうです。そして、継戦能力がなくなると、兵は戦を続けられないので逃げ出し、降参するしかなくなるとのこと。
兵も兵糧も鉄砲も多く早く運べることが大事です。」
竹中半兵衛はまず、兵站について説明した。
次に道の重要性。
「道が狭く曲がりくねっていたり、そもそも道がなかったりすると兵も兵糧も運べません。
そうなると戦に少数しか兵を連れていけない。多く連れて行っても戦を続けられない。
逆に広く平らな道があれば、兵も米も武器も早く運べる。
道をよくすることが短期戦も長期戦もできるようになる。」
最後に林の反論に対する答えを
「また、例え、お屋形様を狙おうとも織田軍が先に着くことができる。また見通しも良いので、敵の発見も早く、対処しやすい。」
これらは勝蔵に教えてもらったことを省略して話した。全ては竹中でも理解に苦しみ、理解するまで時間がかかった。
この場で簡単に説明できない。
信長は少し考え。
「ほう。それは理にかなっている。」
「さらに、輸送が早いということは平時にも良いと。簡単に言うと商売もしやすくなるとのこと。道が安全に広くなると、多くの商人が入って来る。その際に荷物を運びやすくなる。すると多くの商人が多くの商品を持ってくる。それは、京より東国への要衝である美濃を取れば、これほど重要なことはないと熱弁されておりました。」
「ふむ、サル、堀、出来るだけ早く計画しろ。やる時は佐久間や犬も使え。」
「「はっ」」
「奴は、戦だけではなく、商売にも詳しいのか?」
竹中はさらに続ける。この時点でやることが決まるほど利がある。
「さらには、もう一つ利があるそうです。田を四角く整備することで、効率が良くなったり、場所による収穫量の差も少なくなり、尾張の米の収穫量が上がるとのこと」
「何、本当か?」
信長もこれには唸る。林らも。
勝三の話をしたことは織田家にとって死活問題だった。
もともと尾張下四郡という狭い地域が支配地域だった。それが、尾張が領地となったのだ。
必要なコメの量も、各村や各農民間の格差による争いの調停も煩わしくなった。それを解決できるということは美濃攻めに集中できるということ。
その功績は計り知れない。これが8歳の子供だから頭が痛い。
しかし信長はニヤリと笑った。林、森の両名は背筋に汗をかいた。
そしてさらに竹中の話は続く。
「さらに塩の増量方法についても、ヨーゼ殿と話をして見つけたようです。」
「塩だと」林は驚く。
「塩か」
これに信長はまたニヤリ。
これは説明など必要なかった。
「よし。それについては、すぐに始めるとさせよう。」
「ですが、京に行きます。」
「ぬっ、勝三を京に連れて行くんだったか。林よ、急ぎか?」
「いえ、少しは延期しても大丈夫です。」
「では、先に塩の量産だ。」
「勝三殿は、靡くだろう堺商人に優先的に売れば良い。そこで得た金で、安藤守就を内応させて裏切らせ、武田には塩と同時に金を貢ぎ婚姻関係を結ぶのが良いと」
「ははは。そこまで考えているか。武田との同盟で後願の憂いをなくし、美濃を分裂させ、堺を手中に収める。どこまで先を見ておる?」
「よし、勝三に塩を増産させろ。その後に奇妙と佐々らに塩の管理、森、お前は安藤守就を内応させろ。さらに村井を使い信玄と同盟を結ばせろ。妹でも何でも使え。
林、お前は、堺に大橋らを使って塩を少し安く流通させろ。」
「はっ」
この策は結局、美濃攻略を推進した。
塩の増産により、織田家の財政が潤った。
その結果、
美濃三人衆の中でも安藤守就は件の竹中半兵衛とした稲葉城簒奪で義興に睨まれており、冷遇されていたため、そんな折に金を得られる話が来たことで織田に与した。そして、安藤は他の美濃三人衆も説得して織田に与させた。これが美濃斉藤家の崩壊の最後の一手となる。
さらに武田と織田の同盟は尾張近辺の状況を大きく変え、織田の飛躍と繋がることになる。
塩一つで状況を変え、織田の飛躍を齎したことがのちに勝三の策と知られると塩一粒の策と言われて、有名な軍師の仲間入りすることになることを、勝三はまだ知らない。
そんなこととはつゆ知らず、勝三は部屋で京への妄想にふけていた。
もう織田家の軍師は勝三だと言ってたとて不思議でない。
件の会議中に森可成は唖然とする。
自分の子供が天才すぎるのだ。
会議では、勝三の軍の運営の上手さなどどうでもよくなる話だった。
またも柴田は話すことが無くなり、壁になる。
(クククハハハヘッヘッヘッ。『今日は活躍があると思ったのに。』柴田様、心の声が漏れて…。プププ。)笑い方の三段変化からの悪口。本当に笑い方のレパートリーが多い。性根はもう元の形がわからないほどねじれている堀。
こうして問題児にして、織田家の軍師に仲間入りした、8歳児の勝三に関する会議は終わった。
成長?どうでも良い。森と林と竹中に任せたというところだ。
堀はどんどん悪い奴になります。
堀ファンがいたらすみません。
イケメン憎し




