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異世界怪盗★調ちゃん 〜職業冒険者ときどき怪盗〜  作者: 椎茸大使
第1章 異世界怪盗調ちゃん誕生?
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第4話

着いた町、その名はリテリナ!

リテリナ山の近くの町だからリテリナなのか、リテリナの近くの山だからリテリナ山なのか……まあ、ここの地名を決めた人が面倒だから一緒にしたんだろう。


「ん〜、やっと着いたかー。」

「やっと着いたって、アンはずっと遊んでいただけでしょうが!」

「別にいいだろ、ずっと座ってて体が固まっちまったんだよ。」

「あなたは……ウタイは変わってくれたっていうのに……。」

「まあいいじゃねーか。」


カラカラと笑い飛ばすアンに対し頭が痛いと言わんばかりに額に手を当てるリーシャ。

あんまり気にしないほうがいいのに。

どうせ治らないんだから。

アンも御者を出来るけど、やりたがらないんだから諦めたほうが気が楽だよ。


「それで、宿はどうするの?」

「それならお風呂付きのいい宿があるって話なのよ。しかも露天よ?」

「露天風呂! それってひょっとして、温泉? ねぇ、温泉よね!?」

「そうらしいわ。」

「すぐ行きましょう! 早く行きましょう! 今行きましょう!!」

「え、えぇ……そうね。」


温泉、温泉〜♪

まず宿に着いたら一回入るでしょ〜?

それで夕食を食べて少ししたらまた入って〜、翌日夜明けごろにもう一回入って〜ウフフ。

楽しみ。


「満室!?」


すごく楽しみにしていたのに出鼻を挫かれた……。

宿に入って宿泊しようとしたのに満室なんて……私の温泉……ぐすっ……。


「い、いえ、満室というわけではありませんが……その、今空いている部屋は最上階のVIPルーム二部屋のみでして、その……お値段が一泊50万リムとなっておりますので……。」

「50万……しかも一泊で……。」


一泊50万……ちょっと……いや、かなり高くない?

言っちゃあ悪いけど、ここって領都や王都じゃないんだしそんな高くなるなんて普通ないと思うんだけど。


「それどういうことなの?」

「その……空いている部屋がやんごとなきお方が湯治などで使用する部屋でして、部屋の細部に至るまで全て高級なもので揃えており、その結果その値段となっているのです。更に、薬草の群生地に魔物が現れるようになり、薬湯に使う薬草の値段も高騰し、値段が更に上がっております。」


王族貴族が使うような部屋なら分からなくもないか。

薬草の群生地が近くにあるからこそ薬湯とかもあり湯治に来る事もあるのか。


「そのやんごとなきお方が今日泊まる予定は無いのよね?」

「はい。本日は他に予約は入っておりません。」

「ではその部屋に泊まらせてもらうわ。一部屋なら50万で済むのよね?」

「そうですが……。」

「なら大丈夫です。それに、もしもお忍びで……という事もあるから一部屋は空けといた方がいいでしょうし。」

「分かりました。ご配慮ありがとうございます。ではそのように。」


50万ははっきり言ってかなり高い!

でも今更温泉無しなんて考えられないし、5人で割れば1人10万だし。


「いや私そんなに持ってきてないぞ?」

「私も……。」

「私もそこまでは持ってないの。」

「私は持ってきてるが……残念ながらこれは孤児院へのお土産代だぞ?」

「…………分かった。私が立て替えとく。」

「恩にきるぜ。」

「ごめんね、ウタイ。」

「絶対後で返すの。」

「感謝する。」


これも温泉の為……それに、後で返してもらうし……。

ロップルはお金の分だけ耳と尻尾をモフらせてもらおう。


「ではお部屋に案内致します。手荷物は彼等にお渡し下さればお部屋にお運び致しますがどうなさいますか?」

「大丈夫です。」

「そうですか。ではこちらへ。」


ボーイさんに案内され最上階へ登ると、階段のあるフロアから左右へと道が分かれその先にはそれぞれ扉と壁があるのみ。

どうやらVIPルームはフロアの半分を使っているみたい。

もしも両方使っててそういう人来たら一悶着ありそうだし……いや、そもそも100万も払いたくないわ。


「何かありましたら部屋のテーブルの上に置いてある魔道具をお使い頂ければすぐに専属の者を寄越しますので気軽にお呼び下さい。では、ごゆっくりどうぞ。」


部屋に入るとまず通路があり、その左右に簡素な部屋が4つある。

その部屋は簡単なベッドが2つあるだけ。

多分護衛の人達が泊まる部屋なのだろう。

そして通路の先には大きなリビングルームがあり、立派なソファーに高そうなテーブルに観葉植物、上を見上げればシャンデリア、壁には綺麗な風景画と如何にもな部屋になっている。


「見晴らしがいいわね。」

「私も見たいの。」


リーシャがテラスに出ると自分も景色が見たいとロップルがとてとてと見に行く。

今夜はあのうさ耳をじっくりたっぷりと楽しもう。

それくらいいいよね?

だってここの宿代払ったの私だし。


「っ! ? ? ?」

「どうしたの?」

「変な悪寒がしたの。」

「風邪でも引いてるの?」

「大丈夫なはずなの……でも今日は早めに寝るの。」


勘付かれた?

でも、諦めないから。



宿を出てまずは情報収集。

露店で色々買いながら聞き込みでもしよう。

本当は温泉に入りたかったんだけど、時間がね。

今お昼頃だから調達がてら情報収集をする。


獲物が何処にいるかとかを冒険者がこぼしてたかもしれないし、こういう時は露店が結構知ってたりするのよね。

ちょっと商品買えば簡単に話してくれるし。

まあ、あくまでも噂なのでそこまで信用はできないけど、数を集めてそこから推測したらある程度精度の高い情報になるから馬鹿にできないのよ。


「おじさーん。串焼き15本下さいな〜。」

「随分とたくさんだな。なんだ、友達と一緒に食べるのか?」

「うん!」

「そっか。じゃあ、友達思いの嬢ちゃんのために一本10リム合わせて150リムのところを130に負けといてやるよ。」

「本当!?」

「ああ。」

「ありがとう!」

「いいってことよ。」


使えるもんは使っとかないとね〜。

私は少しばかり小柄だからちょっと言動を幼くすればこの通りよ。

焼いている間の時間を使って情報もちゃんと集める。


「そういえば、薬草のところにブラッドダイナソーが出たって聞いたけどおじさん何か知ってる?」

「ああ……そういえば冒険者が言ってたなぁ。なんだ嬢ちゃん、そんなことが知りたいのか?」

「うん。私お小遣い稼ぎに薬草集めてるから早く退治されないかなって、気になっちゃったの。」

「そうか、それじゃ早く退治されて欲しいよな。俺が知ってるのは大きな街で高ランク冒険者が依頼を受けたって話だから、今日明日あたりにでも来るんじゃないかって話と、群生地から少し西に行った所にある小川で見かけたって話を聞いたくらいだ。」


その高ランク冒険者って私達よね?


「そっか。でも、高ランク冒険者が来てくれるなら安心だね!」

「ああ。俺も元冒険者だから知ってるけど、高ランクの奴らは化け物みたいにつえーからな。すぐに倒してくれるさ。ほら、焼けたぜ。」

「ありがとう、おじさん!」


……誰が化け物よ。


その後、色々な露店で子供のフリをして情報を集めた結果、間違いなくブラッドダイナソー薬草の群生地周辺を縄張りとしている。

そして近くの小川で水を飲み、寝床は恐らくその近く。

この周辺の地図を見れば小川の近くに何も出なくなった廃坑があるから、多分そこだと思う。

他にもいくつか候補があるけど最有力はそこかな。


そんな情報と一緒に露店の食べ物をみんなが待つ宿へと持ち帰った。

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