Ep.2 異世界高校生コース!?
「...異世界ですか?...」
俺が女神サマから聞いたのは最近アニメでよくやってるアレだ。
そういうのが好きなクラスメイトが近くの席でよく話しているのを聞いた事はある。
これから俺は魔物やドラゴン、しまいには魔王を倒さないといけないんだろうか?
それよりその異世界で死んだらそれこそ終わりなんじゃ?
ただの高校球児の俺にそんな事出来るのか?と不安になっていると女神サマが微笑んで俺に言う。
「大丈夫ですよ。蒼一君はまだ高校生なのでそんなにハードは世界へは行きません」
「高校生だからハードじゃないとかあるんですか?」
そんなルール初めて聞いた。
「ええ。成人されてる方はもっと過酷な環境の異世界で与えられた役割を果たす事になります」
「過酷な異世界って具体的には?...」
参考の為に聞いてみる。
「既に魔族・魔王との戦争の真っ最中だったり、堕天使や邪神が空からやってきたり、
人間・国同士で侵略戦争してたり、悪どい貴族による国家転覆の陰謀だったり、
更には奴隷問題に暗殺者が襲って来たりしますね。
あと調子に乗ってハーレム作りすぎて殺傷沙汰になったというケースもなります。
蒼一君はそんな事しませんよね~。うふふ♪」
女神サマは笑顔のままだけど頷かないと俺の魂は即浄化される悪寒がした。ハーレムは嫌いらしい。
暗殺者とか夜も安心して眠れないしたしかにハードだ。
国家の陰謀とかもたしかに高校生には無理だ。
「ですから此処に来た女性は滅多に異世界に行きませんね。輪廻転生を選びます。
最近は異世界キター!!やらイケメン王子に会いたいとか王子同士を絡ませたいやら興奮気味の女性もいますが」
最後のは腐ってるってヤツですね...なんかスイマセン。
俺のクラスメイトにも一人いました。柿原さん。
「蒼一君に行ってもらう世界は成人コースよりは比較的平和です」
もうコース化されてるんですね。異世界って。
「その世界には魔族やドラゴン(竜族)や獣人、エルフ等様々な種族が居ますが
それぞれの棲み分けは出来てますので大規模な戦争はほとんどないと安心して下さい」
割と安心安全の異世界高校生コース。
ドラゴンにエルフとか本当にファンタジーな世界にこれから行くのか。
ただそれだとそれはそれで不思議に感じる。
「じゃあ俺はどういう理由でその世界に送られるんですか?」
この質問に対して女神サマもどう説明しようか少し言葉に困ったようだ。
「実は私もそこまで詳しく知らないんです。私は地球をメインに太陽系の惑星・生命を管理しているので知り合いの神友からの話だとあの世界は争いは少ないけど活気もないらしいです」
メル友みたいなノリで神友なんて言葉があるのか。
活気がない?
蒼一の基準で考えると活気があるのと言えば地元高校の甲子園出場で街全体が盛り上がったアレだ。あとは夏のお祭り・花火大会とか。
女神サマにもう少し詳しく聞いてみる。
聞かれた女神サマも考えている。
「えーと娯楽が少なかったり、ご飯が美味しくないと言った感じでしょうか?」
...なるほどたしかにつまらない世界な気がする。
「それを改善するために俺は異世界に送られると考えればいいんでしょうか?」
「そうですね。できたら魔王も倒しちゃってくれても構いません。
魔王を倒せば即ミッションコンプリートです。蒼一君の魂も元に戻れます」
やっぱり魔王を倒すのが一番の近道かぁ。でもなぁ...
「高校生が魔王を倒すなんて無理だと思うんですよ」
情けないけど女神サマにはっきり言ってしまった。
またも含み笑顔の女神サマは楽しそうに言う。
「勿論ありますよ。≪異世界転移特典能力≫が♪」
お約束の時間が来たみたいだ。