聖属性から邪属性
ハイ、こっちも時間が有り余ってたので投下します。
俺は有給休暇の条件を思い出したのでダブラーヌに告げた。「それは素晴らしいものですね」
相変わらずこの制度については興味の尽きないダブラーヌだった。
「で、その話がおいとくとして」俺は横に何か物を置く仕草を見せて話を切り出す。
[なんで聖剣の色が変わったんだ?」
「ふむ、それはですね…… 簡単に説明させてもらうと。魔王様が勇者から魔王になったからです」
「俺が勇者から魔王になったから?」うーん説明してもらったが全く理解できない。
「魔王様が聖剣とお呼びになっている剣は元々は干渉の剣と呼ばれるものでした」俺の傍らに突き刺さっている聖剣___いや、干渉の剣を指さしながら説明を続ける。
「その剣の名前の由来はあらゆる出来事から干渉を受けてしまうからです。例えば、聖属性を持つ勇者が持てば聖属性の魔力に剣が干渉を受けて魔王様がよくしる聖剣へと姿を変えます。
火属性を持つ人間が干渉の剣を持てば火の剣に姿を変えていきます。なら、魔王が干渉の剣に触れれば?」
「そりゃあその属性に変化するんじゃないか?」
「そうですね」
ダブラーヌは首を縦に動かして俺の言葉を肯定する。
「俺は聖属性を持ってるんだろ?」
「いいえ」ダブラーヌは今度の言葉は否定する。
「魔王になった時点で、魔王様の属性は聖属性から邪属性に変化しています」あれ?闇属性じゃないのか?俺が疑問に感じたと同時にダブラーヌが補足の説明を開始する。
「ちなみに魔王様は邪属性がどんなものか理解していないようなので説明しておきます。邪属性というのは闇属性を極めし者だけが使用することが出来るのです」
「俺、一度も闇属性なんて扱ったことないんだけど……?」
ダブラーヌはかぶりをふった。
「人間……いえ、悪魔、獣、虫。すべての生物が一度は闇属性を扱っております」
「へえ。今の言い方だと誰でも使えるみたいだな」
「ええ。誰もが潜在的にですが闇属性の適性を持っているのですよ。恐らくですが、闇属性を生まれて全く使ったことのない生物は生を受けて数日のものに限られるでしょう」
今、とんでもなく恐ろしいことを聞いた気がする。闇属性は基本的に相手を殺すために使われることはない。闇属性の使い道は主に敵の足止め、戦意喪失、洗脳、意識消失など相手を殺すのではなく生きたまま動けなくするというのが主だ。一応例外もある。
そして、敵が動けなくなったところを武器で殺す。
それが闇属性に適性がある者の戦い方だ。闇属性は誰にでも適性があるわけではない。
闇属性、聖属性以外は努力次第で後に適性を取得することが出来る。
しかし、二つの属性はその例外に漏れる。
二つの属性は生まれながらにして適性の有無が確定しておりいくら努力しようが取得できないとされていた。
今のダブラーヌの言葉が真実だとすれば何百年もの間ブロートに根付いた属性の適性に対しての研究は間違いだったことになる。
人間は魔王側につく魔人や悪魔を、闇の神に魅入られた畏怖すべき生物と見下しているがどうやら、属性についての研究は魔王側の方が数段階か進んでいるらしい。
取りあえず俺の聖剣が黒い剣に変貌を遂げた理由は理解することが出来た。
「説明とか補足とかありがとう」
知りたいことを丁寧にご教授頂いたのでお礼を述べる。
両親から何かしてもらったらお礼は絶対に述べろと子供の時から厳命されてきた。そのせいからか今では癖になっていてお礼を口にしないと落ち着かないほどになっている。
「いえい__」ザッー、ザッー、ザッ
ダブラーヌの言葉を遮るようにノイズ音が俺たちの会話に入り混じる。
『すみません。借金取りの侵入を許してしまいした』魔王城の天井から女性の声が降ってくるようだった。
「馬鹿者!」即座にダブラーヌの叱責が入る。『申し訳ありません~~』ダブラーヌの叱責に対して反省の色があまりうかがえない気怠そうな謝罪が降ってくる。
ダブラーヌはいきなり俺に向かって深々と頭を下げ始めた。「なっ!?」いきなりのことに今驚愕の声を漏らしてしまう。
「いきなりどうしたんだ?」
「魔王城に借金取りの侵入を許してしまいました。」
「うん、そういってたね」当たり前のことだろう借金取りが金を返すように請求するのは至極当然のことである。
借りたものは返す。これが地球の常識だった。
「何を慌てる必要があるんだ?金の際続に来るのは当然だろう」
バン!と勢いよく俺達のいる魔王城玉座の間の扉が荒々しく開かれる。
扉が完全に開かれると髪形はスキンヘッド、顔にはサングラスがかけている男が出現した。
俺はその容姿を見て思わずつぶやいてしまった。
「ヤクザだ」
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