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地球侵略計画  作者: 蹴沢缶九郎
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三時間後

田中は友人である鈴木の家に遊びに来ていた。通された部屋で何時間か談笑した後、ふと外を見ると既に日が暮れている。


「おや、話に夢中になってつい長居してしまったな。また遊びに来るよ」


田中はそう言いながら自分の腕時計で時間を確認すると、時計の針は四時を指していた。


「おかしいな。四時でもうこんなに暗いのか」


部屋の時計を見るが、部屋の時計もやはり四時を指している。その様子を見ていた鈴木が説明した。


「驚かそうと思って黙っていたんだが、実はこの部屋の時間だけ他より三時間ほど遅れているんだ。それが磁場のせいか、はたまた空間の歪みといったものか、原因は私にも分からないんだが…」


「そんなバカな…」


と、田中は部屋を出て、腕時計で時間を確認する。先ほど四時を指していた時計の針が七時を指している。今度は携帯電話の時間を見ながら部屋に戻った。すると携帯画面上の時間が七時から四時へと表示が変わった。どうやら鈴木の言っている事は本当らしかった。


「こんな事があるのか…」


田中は狐につままれた気分だったが、そもそも腕時計や携帯が嘘をつくはずはないし、信じる他なかった。


「なかなか不思議な体験をさせてもらったよ、それじゃあまた」


田中が鈴木宅の玄関を出たところで突然、胸を押さえ苦しみ出した。持病である心臓病の発作だった。田中はその場に倒れ、死んでしまった。

驚いた鈴木は咄嗟に田中を例の部屋へと運ぶ。部屋で息を吹き返した田中は、訳も分からず鈴木に聞いた。


「一体どうなったのだ? 突然胸に激痛が走って、そこから記憶がない…」


「驚いたよ、突然倒れてしまうんだから。でも君をこの部屋に運んだので助かったんだ」


「そうだったのか、助かったよ、ありがとう」


田中はそこで、ふと思った疑問を鈴木にぶつけてみた。


「ところで、今から三時間後、つまり私が死ぬ時間にこの部屋の時間が追い付いたら、私はどうなるんだ?」


しばらく考えた後、鈴木は答えた。


「たぶん、また死ぬだろうな…」

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