The Next Episode
晴天の下、緑の鮮やかな草原に、涼しい風が吹いていた。
草原には折り重なるようにして、“かつて人だったもの”が10程横たわっている。
正確な数は判らない。
ただ、“頭部らしきもの”が10程確認できるだけだった。
どれも皆、原型を留めていなく、それらの周囲のみ、赤黒い水溜りができている。
まるで一つの赤黒い塊が、赤黒い液体を滴らせているようであった。
とても人や動物に成せる業ではなく、そこだけ局地的に自然災害が起こりでもしない限り、有り得ない光景だ。
その僅か上空3m程に、一人の男がフヨフヨと優雅に浮かんでいた。
男の名は、シュウ。
この光景を作り出した、張本人だ。
「で、何の話だっけ?――
ああ、そうそう。『もう彼女は死んでいるのではないか』だっけ?
確かにそうかもしれない。
勿論オレも、その可能性は真っ先に考えたさ。
だからオレは、死者も含めて、彼女を探しているんだ」
目の下に濃い隈を作り、
しかし彼はぎらぎらとした目つきで、朗々と語る。
「私が訊きたいのは、その女性がこの世に居ない場合、貴方はどうするのか、ということですの」
彼から遠く離れ、
同じく上空に浮かんでいる少女が歌うように、問う。
「どうする、って意味がわからないな……。
どうもしないよ、生きてようが死んでいようが、それは些細な違いだろ? 俺は変わらず彼女を愛するだけ」
朗々と、朗々と語る彼に、
少女は恐る恐る尋ねる。
「肉体が存在しなくても?」
「勿論。彼女の概念を愛するさ!
肉体の変化なんて――死ぬことなんて、イメチェンみたいなもんでしょ?
でも、
彼女の変化を把握しないと、どうやって愛するか、適切な愛し方を選べない」
――もう、この場に居てはいけない。
そう感じた少女は、彼を刺激しないように、音も無く、
しかし一目散に逃げ出した。
そんな彼女を無視して、
彼はなおも、語り続ける。
誰も居ない、空間に向かって。
「だから俺は、彼女を探し続けるのさ――」
・
彼は探し続ける――
愛する女性を、
ヒルを――
彼女と最後に会ったのは10年前だが、
彼の愛は変わらない、
変わらずに毎日膨れ上がっていく――
だから彼は、生涯彼女を探し求めるのだ――
(シュウサーチへ……)




