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 ソレの目覚めを知ったとき、誰もが世界の終わりを予感した。


 あらゆる邪悪を集めたような最悪の存在。


 恐るべき魔力をまとい、戦闘においては他者を圧倒する。


 終焉の魔王と、ソレはそう呼ばれていた。


 魔王は無限に魔物を生み出す力を持っており、世界を滅ぼすのにそこまでの時間を必要としていなかった。


 名立たる英雄たちが集結し、魔王を打倒しようとしたが、くつがえせない戦力差の前には歯が立たず、敗北を喫した。


 このとき勇者は禁じられた鎧をまとっていたので自我を失っており、魔王との決戦に駆けつけることができなかった。


 英雄たちが倒れたことで、誰もが諦めようとしていた。


 終わりの瞬間を、受け入れようとしていた。


 そのときだ。


 黄金の光が戦場を駆け抜けていき、終焉の魔王を斬り裂いた。


 生み出された無数の魔物たちも、光の斬撃によって瞬く間に焼き払われていった。


 黄金に輝く剣を持った少女が、厄災である終焉の魔王を葬り去ったのだ。


 戦場にいる一部の者たちは、彼女のことを知っていた。


 魔道王であると。


 気まぐれに人を救うこともあれば、世界をもてあそび混乱をもたらす。常人には到底理解できない人物だ。


 しかし、このとき確かに、魔道王によって世界は救済された。


 多くの人々が命を助けられ、魔道王に賞賛と感謝の祈りをささげた。


 のちに異なる世界へと渡り、自我を取り戻して帰還した勇者は語る。


 魔道王というのは、偽りの名であると。


 あの少女は、別の世界からの渡り人であると。


 そうして帰還した勇者は口を閉ざすと、なぜか多くのことを語ろうとはしなかった。


 だが、勇者の口から語られずとも、一つだけ真実がある。


 世界の終わりを防いだあの少女こそが、真の英雄であり、もう一人の勇者であることだ。


 あの少女がいなければ、世界は終わりを迎えていたであろう。


 故に誰もが、彼女の本当の名を忘れはしない。感謝の想いを込めて、いつまでも覚えつづけている。


 帰還した勇者が伝えたその名は伝説となり、後の世にまで語り継がれていく。


 この世界で生きとし生ける者たちの胸に、永遠に刻まれる。


 世界の終わりを救った少女。


 異なる世界からの渡り人。


 その少女の名は……。


 ――――こば。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


少しでも楽しんでもらえたのなら幸いです。

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― 新着の感想 ―
完結おめでとうございます。 歴史書に 偉大なる救世主・魔導王ダークネスカイザー・こば と書かれてそう
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