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夫婦の日常

夫婦の日常 #6 〜 満点じゃなくても。 〜

作者:
掲載日:2026/02/07

「じゃあ、今日は一緒に買い物に行きますか。」


何かするなら、今日しかない。


「いつも一緒に行ってるよ。たまには、出前でいいじゃん。」


「昨日は出前したでしょ。というか、ゲームやってるだけでしょ。」


「はい、行きます。」


夫は名残惜しそうに、パソコンを閉じた。


実は、私が夫を連れ出したのには、理由がある。

今は3連休の中日。


そして、明日は夫の誕生日。


食事に行ったり、ケーキ屋にケーキを買いに行ったり、

そういうことはできない。


なぜなら1週間後は、私の誕生日。


私たちの誕生日は、いつもまとめてお祝い。

誕生日の曜日や気分?によって、そのお祝いの仕方も違う。


ある時は、——


「恵、お誕生日おめでとう。」


「ありがとう。陽ちゃんも誕生日おめでとう。」


「今日は、コースで予約しといたから。」


——という時もあれば、


自宅で、


「焼きそば?」


「恵の誕生日だからね。」


「ありがとう……。」


「あとケーキもあるよ。あそこの店は、恵が生クリームが軽いって、

いつも美味しそうに食べてるから。」


——こんな具合に、自分の誕生日ではなく私の誕生日を中心に、

お誕生日イベントが進んでしまう。


だから、今日は私が " 逆お祝い "をしようという計画。


地味なやつだけど。


派手だと、やり返されちゃうし。


スーパーに着いたところで、まずは希望を聞くところから。


「ねぇ、何食べたい?」


「なんでもいいよ。カレーとか?」


んん……カレーは美味しいよ。でも、誕生日だし。


「他にはないの?ハンバーグとかぁ、餃子も好きだよね。手作りのやつ。」


「いや、鍋にしよう。あっさりしたのが食べたいよ。」


なんか、特別感足りないんだけど。


まぁ、いいけど。


「了解。じゃあ、鍋にしよう。お腹に優しく鶏団子入りの鍋にしよう。」


「鶏肉入れないの?」


「じゃあ、鶏肉も入れようか。」


「……」


不満そうだけど、まぁいいや。


鍋の材料を一通り揃えた後、


「後は、何か甘いものとか食べたくない?」


「んん……ケーキは、予約してあるしなぁ。」


うんうん、わかるよ。私も楽しみにしてるよぉ。


「じゃあさ、まだ時間も早いし、お昼は軽めの昼食と、

デザートも作ろうかな。」


「え、いいよ。そんなお腹減らないし。

何を作るの。」


え、なんか拒否られてるの……?


「パンケーキは?

フルーツとか生クリームとか、

チョコレートソースとかかけてさぁ。」


「おぉ、恵のパンケーキかぁ。美味しいよね。

まぁ、ソースとか生クリームとかはいらないなぁ。」


いいのね。


よくわかんないけど、決まったぁ。


「じゃあ、帰ったら作るね。」


パンケーキだけだと味気ないので、添える用のフルーツに、

バナナといちご。

やっぱり、ちょっと豪華がいい。


帰宅して、昼食には麺の量を少なめに、

簡単な和風パスタを作った。


まだ誕生日ではない、普通の休日という感じ。


お腹も満たされて、今は13時半。


その後の家の中は、何も動いていないみたいに、

なんだか、大人しい空間になっていた。


夫はゲームをしたり、パソコンをいじっている。

私は、少しの洗い物をしたり、本を読んだり。


それぞれの時間を、自由に、静かに過ごした。


きっとこれが、夫への一番のサービス。


そしておやつの時間には、予定通りパンケーキが焼き上がった。

もちろん、クリームとソースはのせない。


フルーツを盛り付けて、パソコン中の夫に差し出す。


「おぉ。いいね。」


「お誕生日、おめでとう!明日だけど。」


「ありがとう、恵。

最高ー。」


夫が嬉しそうに、私を抱きしめた後、

パンケーキを一口。


「美味しい。

フルーツはねぇ、なくてもいいかな。」


まだ言うか。

豪華にしたかったの!


「フルーツも体にいいから食べて。」


少し不満そうに、バナナを食べている夫は、もうパソコンに向いている。


私は、焼き上がったパンケーキにクリームとソース、

フルーツを添えて、出来栄えに満足。


「撮っとこうかな。」


パシャっ。


「いいね。」


んん、私のパンケーキの方が誕生日っぽくなっちゃったよ。

誕生日だから、いっか。


そして、夜はご所望の鍋を作った。

鶏団子を食べた時の反応は、


「うまっ。鶏団子鍋。

何これ?何入れたの?」


一つだけじゃ、味は決まらないよ。


「生姜が効いてるのかも。美味しいね。」


「ふーん。これさぁ、餃子鍋とかも美味しそうだね。」


「じゃあ、来週は餃子鍋にする?」


「来週は恵の誕生日だから、俺が何か作るよ。

焼きそばとか。あ、茶碗蒸しも作ろうか。」


「美味しそうだね。」


特別なことは何もない。

ただの休日。


それでも私たちには、

こんな日々が、少しずつ積み重なっていく。


その中の、たった1日の出来事。

忘れてしまってもいい、そんな1日。


でも、いつか思い出せる日になるかもしれない。

もしかしたら——


生姜が効いて、体があったまるなぁ。


「あ、焼きそばもいいけどさ、来週出かけるって、言ってたよね?」


「そうだね。ちょっと、一緒に見に行きたいものがあるからね。」


「うん、行こう。」






誕生日前から張り切ってしまう妻は、

少しから回ってますが。(笑)


ないと思って過ごしている時、

そこに何かが起きるって、

私は、すごく嬉しいです。

忘れられないくらいに。


もう少しサプライズ寄りなら最高でしたね。(笑)

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