離婚に踏みきるが?
「離婚しよう」
「はい」
美咲はなんの感情も感じさせずに返事をした。
「え、その、なんかないの?」
あまりにもあっけない返事に俺は聞き返した。
「え、別に。あんたと真紀ができてたの知ってたし」
驚きで一瞬息が止まった。なんで知ってる?
「でも証拠が集められなくて離婚を言い出せなかったし、慰謝料を請求できないのは残念だけどなんの問題もなく別れられるのはいいなって思ったから」
その発言の冷静さに俺は思わず口にでた言葉を言った。
「俺のこと好きじゃなかったのか」
「今この流れでそれ聞く?結婚した当初は好きだったよ」
好きだったのに、俺と離婚するのか?そう思ったら許せなかった。
「お前、俺のことを騙してたのか」
「うん?騙していたのはそっちだよね?不倫してたんだから」
「いや、あれは騙していた訳じゃ、不倫したくてしていた訳じゃない」
そう、美咲が構ってくれてないから俺は仕方なく真紀のところにいっていたんだ。悪いのは美咲で俺じゃない。
「そうなんだ。でもなんでもいいじゃない。これから真紀と結婚できるんだから」
俺は悪くないのにどうしてわかってくれないんだと思っていたのに、美咲は今まで見たことのないような晴れやかな笑顔で出ていった。