眩い日差しの中で Ω
名もない作家が殺された。大魔女の怒りを買ったのだ。
件の作家が描いたのは、ウィズの物語のアレンジと呼べる、脚色された三冊の物語。
魔女はその本を見て、その不運な結末に激怒して作家を焼き殺したのだが、不思議と、再びあの三冊を読む。
やつはどうしてこんな本を書いたのか? 彼女はひどく気になった。
彼女の執筆の手は止まり、考え続ける。
その物語から何を伝えたかったのか、なぜこんな結末なのか、何か意味があるはずなのだと。でなければ、意味がなければ、意味のない結末など、最愛の友人、ウィズにはふさわしくない。
ふと、そういえば今まで、結末を意識したことはなかったことに、彼女は気がついた。
名もない作家の書いたそれは、誰が見ても稚拙な駄作であったが、まるで、終わりのないことへ結末を与えてやろうとしたふうに見える。
生き続ける虚しさは、終わりのない寂しさは、誰よりもよく知っていたから、彼女は乱暴に与えられた結末を指でなぞって、呟いた。
「お前も、本当はもう生きたくない?」
それから、ウィズの物語が世に出ることはなかった。
忽然と姿を消した大魔女の行方ももちろん、誰も知る由はない。
ただこの現は、天高く日が昇り、眩い日差しに包まれて、其処に在るものだけを照らし続けている。
次回はエピローグという名の蛇足です。