ニューヴィクトリア奪還作戦 開始!!
魔族のふり?
「私はニューヴィクトリアでもう何年か暮らしてるから近くの人とも顔見知りだし、私が魔族だったとしても私を軽蔑したりはしないかもしれないじゃん。もしそうだとしたらそれを利用して街の人達に魔族自体を受け入れて貰えるかもしれない。上手く行けばかなり状況は変わるよ」
確かにこの作戦が上手くいけば相当でかい。
仲間も増えるし、自分たちの味方ができたとなれば魔族の士気も上がるはずだ。
それに何より犠牲が出ない。
ただそれは“上手く行けば”だ。
失敗すれば最悪の場合、葵の命も危ぶまれる。
おそらくそれは本人も覚悟してるだろう。
「俺はその作戦を否定はしない。明日話してみよう。とりあえず今日はもう寝よう。もう夜遅いし」
そう、今の時刻は11時半。
明日もし作戦を実行するなら夜更かしは良くない。
「そうだよね。おやすみルカ」
そう言って葵は帰って行った。
明日また考えよう。
悩みすぎても良くない。
〜翌日〜
『どう?結構美味しいでしょ?』
昨日の暗い雰囲気はどこえやら。
俺たちは3人仲良くエラの作った料理を食べていた。
どうやら魔族料理というものらしい。
魔族は他の種族に比べて魔法適性が高く魔力も高いため独自の魔法などがあるらしい。
そのうちのひとつが調理魔法と言うやつでその名の通り調理に使う魔法らしい。
その魔法を使って作ったのが魔族料理と言うやつで結構美味い。
魔法を使ってるからだろうが肉なのに甘い味がしたりして見た目からは味が想像しずらいのも面白い。
「料理得意だったりするのか?」
『そりゃあ、ボクだって将来お嫁に行く時のために色々と頑張ってるんだよ』
どうやら魔族にもそういうのはあるらしい。
そんないつものようなゆったりとした雰囲気を壊したのは葵だった。
「ねぇ、ニューヴィクトリアの件なんだけどさ、私はやっぱり昨日言った作戦がいいと思う」
どうやら昨日の作戦はエラにも伝わっているらしい。
『ボクは止めない。ただ葵は失敗した時の覚悟は出来てるの?』
やっぱりそこだよな。
この世界では基本的に魔族が悪い種族という考えが常識だ。
誰もそれに対して疑問を抱いたりはしない。
それが自分の知り合いが魔族だったと言うだけで変わったりするのだろうか。
「大丈夫。一応お父さんは魔族だし少しは魔法も使えるから。失敗しても少しは抵抗できる」
新事実だ。
お父さんが魔族だったとは。
だから魔族の味方についてるというのもあるのかもしれない。
「俺もその作戦は止めない。ただ、無理はするなよ。危なかったらすぐに逃げろ。俺も一応近くで見張っておく」
『そうだね。ボクも一応外から見ておく。いざとなったら飛んで逃げれるようにね』
「ありがとう。2人とも。絶対成功させる」