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来世は魔王側につきました。  作者: らん
始まり 〜魔王様。乞うご期待下さい〜
4/15

序章

ギャォォォォォォォォォォォォォォォォンン!

この叫びを聞くのは2回目だ。

だけどさっきの叫びと今の叫びじゃ怖さが違う。

「残念だけど俺はさっきの俺とは違うよ」

そう。俺は魔法を覚えた。

魔法が使えなかったさっきの俺とは別人だ。

『来るよ。気をつけて』

エラがそう言うとドラゴンは俺たちに向かって炎を吐いてきた。

「はぁ!」

俺はそれを水属性魔法で跳ね返す。

やっぱり。

さっきは火だったけどどうやら水でも大丈夫っぽい。

「なら、これはどうかな」

俺はドラゴンの足元に向け氷属性魔法を放った。

ギャォォォォォォォン!

ドラゴンの足元は凍った。

「どうだ、これでもう身動きはとれないだろう」

こうなってしまったらもうこっちのもんだ。

ゲームではだいたい光属性のモンスターには闇属性が効く。

多分こいつも例外じゃないはずだ。

「さっきエラが言ってた上級魔法、使ってみるか」

正直ちゃんと使いこなせるかどうか分からないが。

「エンドストーム」

俺がそう言うとドラゴンの下に紫の魔法陣が展開された。

そして、

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォンン!!!

ドラゴンを漆黒の嵐が飲み込んだ。

ギャォォォォォォォォォォォォォォォォ!

ドラゴンの叫びが響く。

今までの叫びの中でおそらく1番でかかっただろう。

ズドォォォォォォォォォォォォン。

そして叫びが終わると同時にドラゴンは倒れた。

「討伐完了、でいいのか?」

パチパチパチ

そんな手を叩く音が後ろから聞こえてきた。

『討伐完了だよ。それにしてもいきなり上級魔法を使うなんて。技名は自分で考えたの?』

技名か…

そういやあの時は無意識に技名が出てきた。

「エンドストームって魔法今まで聞いたことある?」

『いや。ボクはないけど、君が考えたんじゃないの?』

「いや、あの時はなんか自然に出てきたんだ。なんというか本当に何も考えなくても口が動いた」

どうして口が動いたんだろう。

これも魔法適性と関係あったりするのか?

『それは不思議だね。まぁいいや。君はドラゴンの討伐に成功した。これって結構すごいことなんだよ。実はあのドラゴンは僕達魔族が自由に行動できないように勇者がここに置いた見張り役なんだ。それを君はデビュー戦で倒した』

おい、ちょっと待て。

あのドラゴンが見張り役ってことはそんな強力なモンスターをこいつは俺にデビュー戦で討伐させたってことか?

ていうかサラッと言ってたがやっぱりこいつ魔族だ。

「一応聞くけど俺って世界のために戦ってるんだよね?」

『うん。当たり前でしょ?』

世界のために勇者の仲間を倒し魔族の味方をするのか。

本当にこれは世界のためなんだろうか。

実は俺がやってることってすっごい悪いことだったりしない?

『とりあえず街に帰ってこのことを知らせよう。きっと祝福されるはずだよ』

魔族に祝福されてもあまりいい気はしないが。

ひとまず俺は勇者の味方を倒した英雄として街に帰ることになった。



〜暗黒郷 魔王城前〜



わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

俺街に帰ってドラゴンを討伐したことを伝えると街の人達は一斉に俺を祝福し始めた。

見てーあの人がドラゴンを倒したんですって。

キャーかっこいい!!

あちらこちらから色んな賞賛の声が聞こえてくる。

前の世界では非モテだった俺だがどうやらこの世界では違うらしい。

「前言撤回。悪い気はしないな」

むしろいい気分だ。

異世界最高!

『賞賛の言葉に浸ってるとこ悪いけど君にはまだやることがあるんだよ』

そう言ってエラは俺の手を引っ張りお城の方へ連れていく。

「やることって?もう十分仕事したと思うけど」

『リアム王への挨拶だよ。ボク達はこれから旅に出るからね』

旅って…

俺に休む時間はないのか。

「リアム王に挨拶って王は封印されたんじゃないのか?」

封印されてるやつにどうやって挨拶しろってんだ。

『まぁ来てみればわかるよ』

そう言ってエラは俺をお城の地下室へ引っ張って行った。

それから数分たっただろうか。

俺たちは今、王が封印されているというクリスタルの前にいる。

「これが王か?」

『うん。封印されてるといっても死んだわけじゃないから。でも最近はずっと動かないまま』

俺にはこれが王には見えなかった。

何故かって?あまりにもイメージと違いすぎたんだ。

てっきり髭の生えたおっさんかと思っていたがそうじゃなかった。

クリスタルの中にいたのはおれと同い年くらいであろう金髪の好青年だった。

服を全く着ていないので正直目のやり場に困る。

「この人がリアム王…」

『そう。彼がリアム王。この国の王にしてボクの育ての親だよ』

育ての親…そうか、だからこいつはこんなに王を解放したがってるのか。

『ボクも昔はよく一緒に遊んでた。でも最近は声だって聞いてない…』

エラは悲しげな顔で呟いた。

「解放しよう」

『へ?』

「王を解放しよう!俺たちの手で」

さすがにこんなに悲しい顔をした少女を放っておくことは出来なかった。

「エラ。次の目的地はどこだ?」

『あ、えーっとここ!』

そう言ってエラはポケットから取り出した地図を広げて指を指した。

「ニュー、ビクトリア?」

『そう、ニューヴィクトリア。ここから1番近い勇者派の街で…』

「なんだ?勇者の街で?」

『大量に魔族が殺された場所』

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