どうやら俺はとんでもない世界に来てしまったようです。
「赤黒い空に、霧がかった街並み、そして向こうの山の上には赤レンガでできた大きな城、空には沢山のコウモリが飛んでいる。どう考えても魔王が住んでるところじゃねえか!」
多分100人この街を見た人がいたとしても100人全員がこの街を魔王の街だと思うはずだ。そんくらいTHE魔王の街という感じなのである。
『そう!ここは我らが魔王様、リアム王の街さ』
やっぱりそうか。
『ボクの名前はエラ・クロウフォード。よろしくね!』
「俺は西宮玲。よろしく」
『あ、そうそう君は今日からルーカスって名前だから』
「あぁ。りょうか…え?」
今なんて言った?
俺の名前がルーカス?
玲じゃなくてルーカス?
なんで?勝手に決めないで欲しい。
『君にはこれから勇者を倒して貰いたいんだ。この街も昔はもっと活気溢れた街だった。だけど勇者が来てリアム王を封印したせいでこんな薄暗い街になってしまったんだ』
色々言いたいことはあるが状況は把握できた。
俺の仕事は勇者を倒してこの街をもとの活気溢れた街にする的なことだろう。
「勇者の仲間って何人くらい?」
『勇者支持派はだいたい1億人』
「魔王支持派は?」
『この街にいる55人』
・
・
・
何言ってんのこいつ?
55対1億?
不利ってレベルじゃねえぞ。
「ねぇ今から辞退するのってあり?」
『なし』
ですよね。
おわた。
完全に終わった。
『まぁ安心して欲しい。君は魔法適性が常人のレベルを超えているんだ。だから僕がスカウトしたんだよ。君なら勇者なんてデコピンで倒せる!』
なんかすごい不安だ。
騙されている気分だ。
『よし!まずは試しに戦ってみよう!最初の目標はライトドラゴンだ!』
ドラゴン?
最初に倒すやつドラゴンなの?
『行くぞ!』
そう言ってエラは奥の方へ走って行く。
俺のデビュー戦はどうやらドラゴンでほぼ決定らしい。