3人
ニューヴィクトリアを出発して3日程が経った。
俺は今、モサモッドという街にいる。
どうやらこの街の東部で魔物が大量発生したらしい。
因みに俺がここに着いたのは1日前でそれまでの2日間はほぼずっと歩いていた。
残念なことにこの世界では基本的に移動手段は徒歩しかないらしく、ここまで来るのにかなり時間がかかってしまった。
ニューヴィクトリアを出発する際に葵からはお守りと行く途中に食べる食事、エラからは魔法の杖を貰った。杖は?のような形をしていて紫のキラキラした石が付いていたりして結構かっこいい。
そして今、俺はモサモッド東部の激戦区から少し離れたちょっと大きめの基地みたいなところで魔物と戦う為の知識を身につけている。
魔物にはこんな種類がいるとか、こういう技が効くとか、こいつには気をつけろとか、そういった戦いで使いそうな知識を色々学んでいる。
俺の他にも色んな街から数千人がここに集められている。
明日は1人1人どれくらいの力があるのかを確かめてそれを参考に戦いの際の配置を決めたりするらしい。
最前線とかに送り込まれたらどうしよう。
できるだけ後方がいいなぁ。
「よし、これで魔物の講義は終わりだ。明日は能力をチェックする。しっかり休んでおけよ〜それじゃあ各自部屋に戻れ!」
教官風の男の声が響いた。
ここでの部屋わけは3人1部屋だ。
つまり知らない人と共同生活をしなければならないのである。
最初は変な人だったらどうしようという不安もあったが結構いい人だった。
「ルーカス!お前今日の晩飯知ってるか?肉だぞ肉!オレの住んでるところじゃ肉なんてめったに食えなかったからなぁ、、、」
今喋っているのは俺と共同生活しているやつの1人
ハリー・エドワード。身長が194cmで筋肉ムキムキのマッチョマンだ。
金髪で見た目は超怖いが性格は結構優しく、2人の娘がいる27歳のパパだ。
年齢的には俺より10歳以上も年上だが結構話が合う。
「ルーカス!これ僕の街で流行ってるカード遊びなんですけど後で一緒にやりませんか?」
そして今喋っているのが2人目のジョン・ラッセル。
身長は俺より低く口調も子供っぽいので年下かと思っていたがどうやら俺より8歳も年上の24歳らしい。
顔は赤髪でいわゆる美少年と言った感じだ。
タイプは違えどハリーもジョンも良い奴だ。
〜お部屋にて〜
俺たちは部屋でご飯を食べてその後カード遊びをした。
因みにカード遊びというのは前の世界で言うババ抜きみたいな遊びだった。
そして俺たちは今時間が余ったので就寝時間まで呑気におしゃべりをしているところだ。
「そういや、みなさんは何処から来たんですか?あ、ちなみに僕は最初からモサモッドに住んでました」
「オレはこっから結構離れたオバークって街の北の方に住んでる。ルーカスは?」
「一応ここに来る前はニューヴィクトリアって街に住んでた」
俺がそういうと2人が驚いた顔でこっちを見た。
アレ?
なんかまずいこと言ったかな?
「お前、ニューヴィクトリア出身なのに耳とか生えてねぇじゃねぇか」
あぁ、そういう事か。
「まぁ生まれたのはエンポコ村ってところだからな」
「エンポコ村?聞いた事ねぇな…」
そりゃあそうですよね。今作った村ですもん。
本当は別世界から来ましたすいません。
「にしても、ニューヴィクトリアとはまた結構大変な街に住んでんなぁ」
「大変な街?」
「そうだろ。あそこは元々魔族たちの軍事拠点だったのを無理やり街にしたところだから海もねぇし、近くには魔族も住んでて危ねぇしよ。魔族に近いルーツを持ってるからってあの街に入れられた獣族が可哀想だ」
ほーん。
どうやらこの世界では獣族は差別を受けているらしい。
「明日の能力検査、2人共どうですか?」
あ、そういやそうだ。
明日は能力検査だ。
最前列には絶対に行かないようにしないと。
「オレは魔法が使えねぇから結構前の方になるかもしんねぇけど、戦いには自信があるからあんま心配にはならねぇな」
お〜、頼もしい。
さすがマッチョのハリー。
「俺は魔法が使えるから後ろのほうかな。というか後ろであって欲しい。危ない前線は嫌だ」
「ルーカス、魔物は魔法も使えるので後ろだから安全とは限りませんよ」
あ、確かに。
「僕は魔法は使えますけど自分が周りより全然出来てなかったらどうしようって不安です」
どうやらジョンは結構緊張しやすいらしい。
「大丈夫だ、オレ達は一応街でもそれなりに強いやつだからここにつれてこられてる。心配することねえよ」
流石だ。
ハリーは頼もしい。
「そうだね。気にしてても仕方ないか」
その後、俺達は眠りについた。
翌日、ついに能力検査が始まった。




