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加藤良介 エッセイ集

しばらく近平に転生して国防を考えてみた

作者: 加藤 良介

 さて、これまでで最大に炎上しそうなネタをぶち込んでみました。

 茶番と風刺であることをご理解した上で、お読みいただけると幸いです。

 僕は突然、パンダの国の国家主席になって国防会議に出席することになってしまった。

 そして、僕はその会議で愕然としてしまった。


 「やばい。俺の国、防衛能力めっちゃ低い」


 おかしいな? 飴公や恐ロシアほどではないにしても核戦力を持っているし、地上軍の近代化も順調だ。空軍も、みんな大好きヨシフおじさんの国からパク、教えてもらった戦闘機や攻撃機を続々と配備している。海軍も、つい最近世界第二位の戦力を保持できたはずなのに。

 どうしてこうなった。

 僕は地図の前で頭を抱えた。

 気分は首に縄をかけられた死刑囚の気分だ。

 突然、足元が開いて虚空に漂えば、あっというまにあの世行き。


 どこが問題なのかは地図を見れば子供でも分かる。

 我が国は仮想敵国の飴公に対して、ノーガード戦法なのだ。

 仮に飴公が殴りかかってきたら、ほとんど反撃することなく国が半壊する。

 流石に滅亡まではいかないだろうが、ここ20年で勝ち取った成果が泡になるのは明白だ。


 「どうしたらいいんだ。国防委員長。答えてくれ」


 僕の問いかけに国防委員長は下を向いて沈黙する。


 「おい、黙っていては分からんぞ。海軍司令官。我が海軍は精強なのだろう」

 「・・・・・・・」


 矛先を変えて煽って見ても効果なし。

 

 「そうだ。確か空母を破壊できるミサイルがあったな。あれならどうだ」

 「主要港湾都市への防衛展開は完了しております」

 

 ミサイル軍の司令官が重々しく口を開いた。


 「よし。それなら、奴らは近づけないな」

 「閣下。空母キラーはあくまでも抑止戦力であります」

 「 ?   ミサイルで空母の活動を抑止できるのだろう」

 「抑止は、相手の行動を躊躇させるものです。躊躇しなかった場合は・・・」

 「躊躇しなかったらどうなる」

 「・・・・・・・」

 「おい」


 どうやら、期待したミサイルも完全とは言えないらしい。


 「空母はどうだ。新型を開発しているのだろう」

 「はい。次世代型空母の開発は順調です。それに合わせて艦載機の開発にも力を入れております」


 おお、さっきまで下を向いていた海軍司令官が誇らしげだ。


 「よしよし、開発資金は惜しむつもりはないぞ。どんどん使え」

 「ありがとうございます」

 「空母とミサイルで何とかなるだろう」

 

 僕は一安心してお茶を飲んだ。


 「閣下。申し上げにくいのですが・・・」

 「ゲホッ・・・なんだ。まだあるのか」 


 人がお茶を飲んでいる最中に妙な事を言うなよ。お母さんに教わらなかったのか。

 どんな教育を受けてきたんだ。僕が若いころは農村でだなぁ。 


 「新型空母の配備が完了するのは10年以上先の話です。そして、残念ですが配備が完了しても安全とは申し上げられるかどうか」

 「なんでだよ。なにか、お前さんたちは膨大な予算を使って国防一つ成し得ないのか」

 「閣下。やはり、最低でも台湾は・・・」


 首相が上目使いで、恐る恐る話しかけてきた。


 「それは、君に任せていたよね。どうなの」

 「一時は、我々に融和的な風潮もありましたが、最近は・・・」

 「最近は? 」

 「言いにくいのですが、敵対的です」

 「なんでだよ。その筋には資金はじゃぶじゃぶつぎ込んだし、経済の依存度も上がってきただろう。あいつら、もう俺ら無しでは生きていけないだろう」

 「依存度は上がっていますが、致命的とは言えません」

 「あれか、飴公と梅干のせいか」

 「はい」

 「めんどくさいな」

 「飴公はともかく、梅干し野郎には圧をかけているんだろう」

 「かけてはいますが、嫌がらせ程度で、本格的には、まだ」

 「いつ本格的になるの」

 「新型空母の配備が必要最低限かと」

 「早くても10年後じゃん。それまでに奴らが襲ってきたらどうするんだよ」


 僕の言葉に首相は黙ってしまう。


 「あれは、どうだ。南の島に基地を作ってるよね。南は万全なんだから、南から攻めていくのはどうよ」

 

 僕は南の島のサンゴ礁にバカでかい滑走路を造ったことを思い出した。

 真東が、無理なら南から行けばいいじゃない。


 「閣下。あれらは基地ではありません」

 

 空軍司令官の答えに首を傾げる。


 「どゆこと」

 「あれらは、滑走路です」

 「だから、それが基地だろう」

 「基地と滑走路は違います」

 「えっ、じゃ南の海に何作ってんの」

 「控えめに言ってモニュメントですな。あれらには小規模な作戦を実行する能力しかありません。グアムやサイパンとは違うのです」

 「ええっ、めっちゃ金使って埋め立てたじゃん。足りないならもっと大きくすればいいだろう」

 「どれだけ大きくしても、本質的には前線基地です。しかも、包囲される位置にある前線基地です。大きな戦力を配備するのは危険すぎます」

 「グアムやサイパンだって前線基地だろう」

 「似ていますが違います。グアム、サイパンはこちらの初撃に耐える力があります。完全に破壊するには核攻撃しか。いえ、恐らく核攻撃にもある程度は対応してくると思われます」

 「なんだそりゃ」

 「一方、我々が作ったのはサンゴ礁の上の滑走路です。滑走路に穴が開いたら終わりです」

 「埋めろよ」

 「限界があります。そして、それはすぐに来るでしょう」

 「マジか」

 「残念ながら」


 おいおい、ため息なんかつくなよ。ため息つきたいのはこっちなんだぞ。


 「みんな、分かってんの。このままじゃうちの国はやりたい放題されるんだよ」


 僕は立ち上がって地図を叩いた。


 「第一列島線。北から朝鮮半島、九州、沖縄、台湾、フィリピン北部、南シナ海。このラインは絶対だ。だいたい、第一列島線とか言うから、意味が分かんないんだよ。絶対防衛線と言い換えよう」

 

 この国の主要都市は海沿い、沿海州に集中している。

 内陸の都市は、これらの港町からの物資で動いているんだ。

 そして、現状ではこれらの港湾都市を防衛するプランはほぼゼロ。

 飴公の太平洋艦隊にいいようにされる。

 出来るのは、反撃が精々。

 奴らの空母一隻沈めても沿海州が壊滅したらゲームセットじゃないか。

 いや、都市が無事でも海上輸送を止められたら、それだけでみんな窒息死だ。

 海軍を増強して正面戦力は充実しているけど、実は致命的な欠陥がある。

 性能じゃない。性能は年々向上しているし、数もそろってきた。

 何が致命的かというと、安全な母港が無い事なんだ。

 今言ったように、全ての港湾都市が飴公の作戦行動半径内なんだ。さらに、これが一番の欠点だ。この国の海軍は逃げ場がないんだ。全ての艦艇がシナ海に展開している。

 前方は太平洋艦隊、後方は本土。

 常に背水の陣。

 背水の陣なんて言うとカッコいいけど、いいかえればセルフ包囲殲滅陣なんだ。一度負けたら全滅までまっしぐら。

 長江の奥に海軍基地を作っても出口は一つだけ。

 河口で待ち構えられたら成す(すべ)ないよ。

 梅干し野郎の海軍だって南方で負けても本国までは退却できた。でも、僕らにはそれすらできない。なぜなら第一列島線から向こうに行けないからね。

 退きたくても背後は本土だ。船を担いで逃げるわけにもいかないだろう。

 海軍を活用するためには、海上作戦時の縦深性が欲しい。だから、何としても第一列島線を確保しなくてはいけない。

 これは、我が国の安全保障上の絶対条件なんだ。

 それが出来てから、初めて飴公と対等に渡り合えるってもんだ。

 しかし、いつになったら出来るんだ。

 最低でも台湾と沖縄は欲しいぞ。欲を言えばマラッカ海峡も。

 そこに、空母キラーと基地航空隊、新鋭空母を投入してなんとか太平洋とインド洋への入り口を手に入れるんだ。

 一体、いつになる事やら。

 ああ、大明帝国の時代はよかったなぁ。

 ヨーロッパの奴らが50トン程度の小舟で大航海時代とか言っているときに、こっちは何倍もの大型船で縦横に交易していたんだからな。



                 終わり

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。


 ご意見、ご感想などございましたらお気軽に。基本的に返信いたしております。

 理性的な意見は大歓迎。感情的なご意見も大歓迎。

 つまり、なんでもOK。( ̄▽ ̄)//

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[一言] 失礼致しました 最近、面白い情報が色々入って来たので 少し舞い上がっていたみたいですね 内容的にミリ系のエッセイかと思ったもので あの様な内容になりました なお米中戦争が核を使用した短…
[一言] パンダの国から見たら梅干の国は太平洋に出るのに邪魔な国でもあるんですが、逆に言うと自陣営に取り込むと太平洋からの防壁になるんですよねぇ 出来るかどうか分からないですけど、近平さんは梅干の国に…
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