狂い1
あの日、僕は狂った。
友人に連れられてきた知らないアイドルグループのワンマンライブ。
そこで出逢った彼女に僕は殺された。
正常な僕は殺された。
そのライブが終わった後、すぐ友人と別れた。僕は家に帰る途中も帰ってからも貪るように彼女について調べた。
出身地、血液型、身長、体重、そして好きな食べ物から音楽まで全部、ネットで知れる内容は全部調べた。調べ尽くした。
彼女の写ったポスター、写真集、雑誌は全部買った。1秒でも早く彼女を知りたかった。知り尽くしたかった。
その晩、僕は彼女で逝った。
朝起きると僕はバイトを仮病で休むことにして、今日のライブ会場に急ぎ、当日券の購入列に並んだ。1番目だったから余裕でチケットを買うことが出来た。しかも当日券にしては意外とステージに立つ彼女がよく見えそうな席だ。
彼女のことを思うと欲情して何の刺激を加えなくても射精には十分だった。
汚れたパンツは気持ち悪かったけど彼女を想って出てきた精子を捨てるのはなんだか勿体ない気がした。これも彼女との大切な思い出だ。だから取っておくことにして、ライブまでの時間を待った。