3.苦さを克服?
「こんな感じかな?」
「色んなのできたねー」
試行錯誤の末、今回は料理という形で苦さを克服するという形を取ることにした。
「しかし、意外だったなぁ」
「そうだねー、油で炒めたら味もまろやかになったねー」
持ち運び用のパンやジャム、それと食堂で出す料理類ができた。
ミラの家とのコラボで、『薬草フェア』という形でメニューを出せることになったのだ。
これで薬草のイメージの改善になるはず!
「いらっしゃいませ、今日から新作の料理が始まりましたのでぜひお試しください」
「薬草フェアかぁ、普段の料理にも食べ飽きてきたしちょっと頼んでみるか」
初日ということもあり、物珍しさから注文するお客さんもいた。
パンやジャムも、冒険のお供にと買っていく人もいた。
しかし、それも1週間も持たなかった。
「飽きた」
その一言である。
「冒険でも薬草、村に帰ってから薬草もなぁ、違うものが食べたい」
「パンとかジャムの味はまあまあなのだが、薬草としての効果はほとんどないし、嵩張るんだよなぁ」
予想以上に厳しい回答だった。
結局、何を食べても薬草の味。それ以上でもそれ以下でも無いと。
そう、材料が同じである以上、それ以外の味にはならないのだ。
『苦い』ことがネックではなく、代り映えのしない『味』が問題だと。
つまり最初から勘違いしていたのだ。
「ごめんね、ミラ」
「ううん、最初のほうに結構売り上げ良かったから1週間通していつもと同じくらいだよー」
今回のことで思い知った。
自分の願望だけで他人を巻き込んで、相手にリスクを押し付けるようなやり方はダメだと。
今回は、たまたま首の皮一枚で繋がっただけのこと。
下手をすれば、ミラの家を潰しかねないと。
このままではダメである。これは私の野望だ。他人を巻き込んじゃいけない。
―――私だけで解決するべき問題だと。