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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第4節
75/159

70.2度あることは3度アレ

「そろそろ畑に行ってきます」

「行ってきま~す」

「ああ、いってらっしゃい」


 朝食を終えた後、私たちは今日の仕事をするために畑に向かうことにした。

 とは言っても、昨日種を蒔いたばっかりだから、水やりくらいしかすることは無い。

 ついでに根荒らしの状況を確認したら、今日のお仕事は終了の予定だ。


「ミラ、体調はどう?」

「うん、大丈夫だよ~。昨日の分までバッチリやれるよ~」

「無理はしないでね。でも、今日はすることほとんどないから、早く終わらせてゆっくりしようか」

「そうだね~」

「そろそろ・・・ほら、あそこ!昨日種を蒔いた畑だよ!」

「お~~、綺麗に植えてあるね~」

「じゃあ道具を借りて水やりしちゃおうか」

「りょ~か~い!」


 さてと、昨日種を蒔いた場所はこの辺りだったかな?

 根荒らしの柵があの位置に見えているし、間違いない。

 ふと畑を見ると、すでに何かの植物の芽が顔を出していた。

 一瞬、取り損ねた草が残っていたのかと思っていたら、そうではなかった。

 それは間違いなく、昨日植えた種から出てきた芽だった。


「あれっ、もう芽が出てる?」

「ほんと~?場所間違えてるだけじゃないの~?」

「そんなことないよ!ほら、昨日私がここで作業していた時についた靴の跡もあるし間違い無いよ!」

「じゃあ、取り除き損ねた雑草とか~?」

「うーん、種を蒔く前に綺麗に取り除いたし、帰る前に見た時も何も生えていなかったはずなんだけどなー」

「じゃあ、昨日何か変ったこと無かった~?」

「変わった事なんて、何もな・・・あっ」

「思い当たる節あり、かな~?」

「うん、実は・・・」


 昨日、種を植える時に手が緑色の光に包まれていたことを話した。

 その時に何か起きたわけでは無かったので、特に気にせず作業を続けていたのだけど。


「ふぅ~ん。じゃあ、これは精霊王さんからもらったスキルの効果ってことなのかな~?」

「多分そうだと思う。他に思い当たる事も無いし」

「ねぇ、もしその手で私の頭をなでなでしたら、大きくなるのかな~?」

「どうだろう?植物ならまだしも、生き物に効果があるのか分からないよ。それに『朝起きたら、おばあちゃんになっていました!』なんてことになったら、ビックリどころの騒ぎじゃないからねー」

「うーん、いきなりおばあちゃんは嫌だな~」

「ちゃんと効果が何か分かるまでは、無暗に使わない方がいいと思うんだ」

「そうだね~。ところで、それって好きな時に使えるの~?」

「そこが問題なんだよねー。畑で土をいじり始めたら勝手に発光し出したんだけど、終わったら消えちゃったんだ」

「それはざんね~ん。”リアに撫でてもらって、みんなすくすく大作戦!”は保留か~」

「何、その怪しげな作戦は?」

「えー、怪しくないよ~?リアの手で植物の成長が早まるんだったら、この村の食糧事情は一気に解決するのになーって思ったんだけど~」


 確かにこのスキルを使えば、収穫は予定よりもかなり早くに行えると思う。

 問題は、このスキルを持っているのは私一人だけということ。

 村中の畑を私一人でやるとなると、かなり時間がかかることは明白だ。

 その間に、最初の方に植えたものの収穫が始まってしまう。

 それに一気に作ったところで、長期間保存が出来る訳じゃないから食べきれなくて腐らせてしまうことになってしまう。

 せっかく作ったものが、誰にも食べられずに捨てられてしまうのは本懐ではない。

 食べられる分だけ、少しずつ成長するというのが一番理想の形だ。


「そうだね。最初の1回目がいっぱい収穫出来て、あとはゆっくりと食べられる量が収穫できるっていうのが理想だと思うんだ」

「最初だけいっぱいか~。・・・あ、アレ使えるんじゃないの~?」

「アレ?」

「うん、あのポーションもどき」

「その言い方ストーップ!せめて、植物用栄養剤って呼んでっ!」

「えー?あれはアレでいいと思うだけどなぁ~」

「ポーションもどきって呼び方だと色々問題あるから、せめて栄養剤でお願いっ!」

「んー、そうだね~。お国の人の耳に入ったら、リアはこれだもんね~?」


 そう言って、ミラは罪人がやるように両手を前に差し出した。

 当たり前の話だけど、牢屋のお世話になんてなりたくはない。

 ただでさえあの魔法のバッグという危険物を持っているんだから、これ以上危険要素は増やしたくない。


「うん、だから今回で最後にしようと思う」

「そっかー。じゃあ今回で作り納めだね~。盛大に、”今までありがとう、君の雄姿は私たちの心の中に・・・グッバイ☆アレ!”みたいな看板作っちゃおうか~?」

「いらないから、そんなのいらないからっ!!」

「あはははは~」

「もー、からかい過ぎー!」

「ごめんごめん~」

「まあ、それでも出来ることがあるならやるべきだよね」

「うん、使えるものを使わないで後悔するのは嫌だもんね~」

「じゃあ決まりだね」


 話の後、私たちは畑にたっぷりと水を撒いた。

 さて、あとは根荒らしの確認だ。

 昨日は遠目にしか見ていなかったので、捕獲後初の対面になる。

 柵は壊されている形跡は無いようだけど、一体どうなっているのやら。

 一抹の不安を胸に、私たちは根荒らしのいる柵へと足を向けた。


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