表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第3節
53/159

48.森の洞窟 その3

「・・ん~~~?」

「どうした、何かあったか?」


 何かを発見したリースさんに警戒して、ブロウさんは腰の剣に手を当てた。

 私たちもすぐに応戦できるように身構える。


「この先に分かれ道があるよー!」

「分かれ道、か」

 

 洞窟に入ってから初めての分かれ道だ。それぞれ右奥と左奥へと続いている。

 ここに来るまで結構歩いたと思うんだけど、外の様子が見えないせいで時間の感覚が無い。


「リース、道の先の様子はどうだ?」

「んーとねー、左の方は魔獣が居そうでー、右の方はしばらく何もなさそうーだよー」

「そうか。なら左から行くぞ」

「えっ、そっちって魔獣がいるんじゃ・・?」

「だからだ。どんな魔獣が徘徊しているか、一番近いところで確認しておく必要がある」

「それって必要なんですか?」

「ああ、俺たちが依頼されたのは”調査”だからな」

「は、はぁ・・」


 冒険者って思ってた以上に危険に突っ込んで行くんだね。

 私だったら安全そうなほうから確認しようとするのになぁ。


「分かれ道にマーキングしたから、踏むんじゃないぞ」

「・・え?あ、はい」


 足元を見ると、分かれ道と同じ形に書かれた線がある。

 どうやら入り口側に書いてある丸印が来た方向で、これから行く方向に矢印が描かれている。

 もし行き止まりだったらバッテンとか書くのかな?


 左の道をしばらく行くと中型の蜘蛛の魔獣がいた。

 魔獣の脚に生えている、なんかふさふさした毛を見ていると背筋に寒気が走った。

 同じふさふさでも、ユリとはえらい違うなー。

 とにかく、いざ戦闘開始!と思ったが、私が身構える前に終わってしまったようだ。

 ギーダさんが火の玉を放ち、魔獣が怯んだところへブロウさんが剣で一刺し。あっという間の出来事だった。

 分かっていたことだけど、私たちって足手まとい?

 結局、道は魔獣のところで行き止まりになっていたので、さっきの分かれ道まで戻ることにした。


「リースさん、どうして魔獣が居るって分かったんですか?」

「んー?あれはねー、左の道はキレーでー、右の道はそうじゃなかったからだよー。それと左の方は嫌な臭いがしたくらいかなー?」

「臭いはちょっと分からないけど、道が綺麗ってどういうことですか?」

「リース、それだと理解できないと思うぞ」

「そーなのー?」

「そうだ。まあ、さっきの場所に戻れば分かると思うがな」


 よく分からないけど、何か見落としてたのかな?

 さっきの分かれ道まで戻るとブロウさんが簡単に説明してくれた。

 右の通路には蜘蛛の巣が張っている。つまり、ここ最近で使われた形跡が無いということ。

 左の通路はそれが無いので、使われているということ。

 そして、ここ最近でここまで入ってきた冒険者もいないから巣穴として使っている生物がいる、ということらしい。

 なるほどと納得する私の横で、ブロウさんはさっきの目印に何かを書き足している。

 さっき進んだ道にバッテン、もう一つの道に矢印を書き足したようだ。


「よし、探索を続行するぞ」


 再び一本道が続いた。

 なんか少しずつ下がっている気がするような?

 もうどのくらい歩いたのか分からない。今が昼なのか夜なのかも分からない。

 足の感覚が無くなってきた頃に洞窟の様子が一変した。

 通路の先に明かりが見える。

 もしかして出口?!

 そう思ったのも束の間、広い大きな場所に出ただけだった。

 どうやら部屋全体が淡い緑色の光で包まれているようだった。


「なんだここは?」

「なんかきれーい!星空みたーい!」

「・・・」

「何か幻想的な場所ですね」

「何だろう~、壁とか地面とかあちこちが光っているね~?」

「あ、ほんとだ。何が光っているんだろうね?」


 興味を惹かれて、光っている壁に近寄ってみる。

 ん?この植物、ギルドの秘密の部屋で見たのと同じものじゃないのかな?

 改めて周囲を見渡す。

 壁や天井には所々、例の発光植物が生えているようだ。

 地面にはぼんやりと緑色に光るキノコもある。

 ここだと暗くて辞典が見えにくい。


「うーん、明かりが欲しいなぁ」

「はい、どうぞ~」

「え?」


 ミラが横から光の玉を出してきた。

 小さいけれどもさっきより安定しているようだ。

 飲み込みが早いと感心する反面、置いてけぼりを食らったみたいで複雑な心境だ。

 まあそれはそれ、これはこれ。便利なものは使ってナンボだよねっ!

 バッグから辞典を取り出して、同じものが載っていないか確認する。

 発光性の植物・・・っと、あったあった。


「これ、壁にあるのがヒカリゴケで、下のキノコがヒカリダケみたいです」

「へー」

「そのままだな」

「ちなみに、ヒカリゴケの偽物とかヒカリダケには毒があるので無暗に触らないで下さいねー」


 リースさんの方に視線を向けると、寸でのところで手を止めている。

 もう少し遅かったら、ちょっと危なかったかも。

 ともあれ薬の材料にもなるみたいだし、ついでに採集しておこう。

 でも、花の咲いているのって意外と少ないなぁ。天井付近だとぜんぜん手が届かないし。

 とりあえず、下の方のだけ集めようかな。


「・・おい」

「何ですか?」

「さっき毒だと言っていたようだが、お前は大丈夫なのか?」

「ええ、ちゃんと扱えば薬にもなりますし、これも”調査”の一環ですから」

「・・ふん、物は言いようだな」

「あ、もしかして心配してくれました?」

「・・・下らん」


 再びギーダさんは黙ってしまった。

 取っつきにくい人かと思ったけど、案外気遣いの出来る人なのかな?


「とりあえず危険は無さそうだな。ここからは常に戦闘になることを意識して進むことになるから、今のうちに準備をしておけ」


 理由はよく分からないけど、冒険者としての勘や経験なんだろう。

 でも何だろう、この洞窟に入ってからずっと見られているような感覚。 

 テレジアさんに魔法を教えてもらった時くらいから、更にその感じが強くなった気がする。

 まさか、ここの主みたいなのに目を付けられていたりして・・・?

 うーん、暗いせいか考えも悪い方に向かっちゃうなぁ。


「じゃあ、戦闘前に腹ごなしでもいかがですか~?」

「・・・はぁ?」

「戦闘になったら、ゆっくりご飯も食べられないからね~」

「腹が減ってはなんとやらか。そうだな、時間的にそろそろ食事もしておく方がいいな」

「わーい、ごっはんごっはん~~~!」

「では、火の準備をしますね」

「じゃあ、お湯も一緒にお願いします~」

「私も手伝うよ」

「じゃあ、これお願いね~」


 ミラのバッグから少し大きめの葉っぱに包まれたものが出てきた。

 結構ずっしりとしていて、隙間から美味しそうな匂いが漏れ出してきている。

 そいうえば、朝早くにどこかに行ってたみたいだったなぁ。

 聞いても『お楽しみは後に取っておくほうがいいよね~、んふふ~♪』とか言って教えてくれなかったし。

 

「もらってない人はいないですね~?」

「もらったよー!」

「じゃあ、葉っぱから少し出すような感じで召し上がれ~」


 言われた通りに葉っぱを開いていく。

 中から出てきたのは、肉や野菜を何かで挟んだものだった。

 ん?これって・・・!

 パンで具材を挟んであるのは見たことあるけど、これ”米おやき”だ!

 しかも中に入っているのは、野菜と屋敷で作っていたミラ特製のピリ辛干し肉!

 肉は炙られていて、調合された薬草のいい香りがしている。 

 薬草がいい感じに馴染んでいるせいか、少し冷めているのに柔らかくジューシーに仕上がっている。

 これ、絶対間違いないやつだよね!

 いただきまーす♪

 うん、米おやき自体にも味が薄めに付いているんだけど、干し肉の塩加減と野菜とが調和してちょうどよくなってる!

 そして仕上げに、この荒めに砕かれたボムペッパー!

 ピリッとしていて更に食欲が湧いてくるよっ!


「ふむ、携帯食でここまで美味しいのは初めてだな」

「じゅわっとピリピリでおいしーー!」

「・・ふむ、悪くないな」

「初めて食べる味ですね。後からくる刺激が癖になりそうです」

「朝早くに何をやっているかと思ったら、これを作っていたんだね」

「うん、サプライズ成功~だねっ!」


 やっぱりミラのご飯は美味しくて元気が出るよ!

 おかげでさっきまでの暗い考えも吹っ飛んじゃった。

 さあ、魔獣でも何でもやってこいっ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ