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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第3節
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47.森の洞窟 その2

「目印目印・・・無いなぁー」


 洞窟に入ってから結構経っているはずなのだが、行けども行けども岩の壁ばかり。ここまで目立った目印どころか分かれ道すら無かった。

 うーん、あの話は私の妄想だったのかなぁ。

 せめて薬の材料になりそうなものでもあればいいんだけど。


「この先におっきー空間があるよー!」

「そうか、なら一度休憩を取ろう」

「え、先を急いだほうがいいんじゃないんですか?」

「暗闇での探索は、外での探索と違って集中力の消耗が激しい。だから休める時に休んでおかないと、いざという時に判断が鈍って危ない」

「へぇー、そうなんですかー」

「そうだ。あと、焚火をするから薪を出しておいてくれ」

「はい」


 私たちは出発前にブレンダさんから探索用品一式を受け取っていて、ミラと半々に分けてバッグで運んでいる。パーティーが分断されたときの予防策だ。

 少し進むとリースさんが言ったように、少し天井の広い空間があった。

 周囲に危険が無いことを確認すると、リースさんは『ちょっと寝るから、出発するときに起こしてー』と言って、すぐに寝てしまった。

 他の人は戦闘になってもすぐに動けるように、休憩の準備を始めている。


「焚火の準備が出来ました」

「ギーダ、火を付けてくれ」

「・・了解した」


 ギーダさんは明かりにしていた炎を小さくしていく。同時に、炎の色が赤から白へと変化していく。

 白くなった炎を薪に近づけると、あっという間に火が付いた。

 今の何だろう?


「魔法が使えると便利ですね」

「・・・」

「そういえば、ギーダさんって”炎の”魔法使いなんですよね?」

「・・・」

「”温度変化の”じゃないんですね」

「・・・」

「さっきのって・・・あのー、聞いてますか?」

「・・・」

「ちょっと!人が話しかけているのに・・」

「無駄だからやめておけ。ギーダは元々無口だ。俺たちと一緒にいる時でもあまり会話に参加しない」

「え、そうなんですか?」


 ギルドでブレンダさんと言い合っていたから、てっきり悪態を付きつつも普通に会話してくれるのかと思っていた。


「では、私が代わりにお答えしましょう」


 どうやらテレジアさんが教えてくれるらしい。


「温度変化の魔法はプラスとマイナス、それぞれ炎と冷気を生み出す魔法です。そして人によって得意なタイプがあるのです」

「ということは、ギーダさんはプラスの温度変化が得意なんですね」

「その通りです」

「だったら、両方が得意な人っていうのもいるんですか?」

「結論から言うといますよ。ただ、賢者と言われるくらいのかなり高位な魔法使いなので、お会いする機会はほとんど無いと思いますけどね」

「へぇ~、賢者かー」

「ふふ、勉強熱心ですね。私はそういう方は好きですよ。もしかして魔法がお好きなのかしら?」

「あ、いえ、何というかですね・・」


 テレジアさんの笑顔を見ていたら、思わず全部話してしまいそうだ。

 何だかお母さんと話しているみたいな気分になる。

 私たちが魔力を持っていることを言ってしまっていいものかと迷ってしまう。


「私たち、魔力があるかもしれないんです」

「え、ミラ?!それ言っちゃって・・」

「ええ、そのようですね」


 ん?もしかして、私たちが魔力を持っているって分かるのかな?


「もしかして、魔法使いに会うのは初めてですか?」

「ええ、まあ」

「そうですか。魔法使いは相手が魔力を持っているかどうかが分かるんですよ。もっとも、感じ方は人によって違うみたいですけどね」

「そうなんだー。ってあれ?だとすると、私たちが二人の魔力を感じられないのはなんでだろう?」

「原因はよくわかりませんが、魔力を感じ取る力がまだ弱いのかもしれませんね」

「それって鍛えれば強くなるんですか?」

「魔法を使い慣れてくれば、自然と魔力の流れみたいなものが見えてくるとは言われていますけどね」

「そっかー。私たちあの町のギルドで指南書通りにやってみたんだけどうまくいかなくて、他の指南書を探しているんです」

「そうでしたか。では、光の魔法もお試しにはなっていますか?」

「いえ、あの町には温度変化と水と風だけでしたので」

「なら、光の魔法も試してみますか?」

「いいんですか?!」

「はい、一番初歩の簡単な魔法であれば指南書が無くても教えられますよ」

「じゃあお願いします、先生!」

「先生、ですか。ふふ」

「あれ、私今何か変なこと言いました?」

「いいえ、ちょっと昔を思い出しましてね」

「テレジアさんって先生だったんですか?」

「そうでは無いんですが・・・そうそう、魔法でしたね」


 テレジアさん、今一瞬暗い顔をしていた。

 もしかして聞いちゃいけないことだったのかな?


「まずは光の魔法の基本から始めましょうか」

「はい!」

「お願いしま~す」


 テレジアさんの教え方は本当に分かりやすかった。

 なんとなくだけど、魔力が集まってくるのを感じられるようになった。

 しかし、それ以上はダメで魔法の発動には至らなかった。

 うーん、光もダメとなると残りは土と闇しか無い。なんかどっちも地味そう。

 そいうえば、一緒にやっているミラはどうなったかな。


「あ、ちっちゃいけどなんか出たよ~!」

「ホントだ!小さいけど光の玉になってる!すっごーい!」

「あら、どうやらミラさんは光の魔法に適性があるみたいですね」

「えへへ~・・・あ、消えちゃったよ~」

「大丈夫。ミラさんは筋がいいみたいだから、何度か練習したら上手に扱えると思いますよ」

「いいなー、私はぜんぜんダメだったのにー」

「アメリアさんは別の属性が得意なのかもしれませんね。それに・・」

「それに、何ですか?」

「いえ、何でもありません。ミラさんには初歩の回復の魔法も教えてあげましょう」

「そろそろ休憩を切り上げて先に進みたいのだが?」

「少し待っていただけませんか?この先何があるかわかりませんし、戦力が強化できるなら探索の効率も良くなるでしょうし」

「・・分かった。なら基本だけ教えたら、あとは歩きながら練習させておけ」

「ありがとうございます。では、ミラさん、こちらへ」

「はい、せんせ~!」


 ミラが回復魔法の基礎を教えてもらったのを確認すると、休憩を終えて再び洞窟の奥に進むことにした。



 この洞窟は何か違和感がある。

 今までずっとこの洞窟の付近で伐採していたのに最近になって発見されたこともそうだ。

 ここに来るまで分かれ道は無かったし、ここだって都合が良過ぎる休憩場所だ。

 それに、洞窟の壁。あまりにもきれいすぎる気がする。

 長年ここにあるなら、苔の一つもあってもいいはずなのに。

 誰かがきれいにしている?何のために?

 疑問は山のように湧いてくる。

 この洞窟の先にいったい何があるというのだろうか?

 分からないことをあれこれ考えていても仕方がない。

 この先に答えがあるなら、進むしかないよねっ!


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