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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第3節
35/159

30.穏やかな夜

「ありがとうございました」


 今日最後の買取が終わったところだ。

 夜間になると昼間以上に町中を出歩くのはリスクが高い。

 私たちは早めに夕食を取り部屋に戻ることにした。


「お疲れさま」

「お疲れさま~」

「数はそれなりに集まったけど、目標まではまだ遠いね」

「そうなの?横で数えてた感じだと、残り50枚くらいじゃないのかな~?」

「うん、単純な数でいえばそうなんだけど、納品できる品質で考えると残り100枚くらいってところだと思う」

「ふへぇ~、まだ3分の2くらいなんだね~」


 実際、集めた数の半数近くが品質不足で使い物にならないという有様である。

 みんな、もっと薬草を大切に扱ってよね!

 その代わり、買取価格がかなり抑えられているというのが現状で、ちょっと複雑な気持ちではある。


「でも本当にごめんね、私は横で見てるしかできなくて~」

「ううん、一緒に探そうって言ったのは私だから気にしないで」


 二手に分かれて回収したほうが早いのは当然考えていたことだ。

 しかし、気の立っている冒険者の多い中で何か問題が起きても対応が難しい。

 どちらかと言うと、対応が出来ないのは私の方なんだけど・・・


「リストの他の物もダメそうなのかな~?」

「そっちは大丈夫。残りの分は明日で回収できそう」

「それは良かった~」

「ところで寝るには早いけど、ミラはどうする?」

「うーん、今のうちに道具の手入れをしておきたいんだけど、ちょっと騒がしくなるよ~?」

「私も傷薬を作るから、大丈夫だよー」


 私は傷薬を作る調剤器具を、ミラは刃物を研ぐ準備をする。

 さて、集中してやるか!


 ゴーリゴーリゴーリ。

 シュッシュッシュッ。

 ゴーリゴーリゴーリ。

 シュッシュッシュッ。


 部屋の中にお互いの作業の音がテンポ良く交互に響き渡る。

 なんだかちょっと楽しくなってきた。


「キュ~?」


 どうやらユリが作業の音で起きてしまったらしい。

 『何をやっているの?』という顔でこちらを見つめている。


「あ、ごめん起こしちゃった?」

「ごめんね~」


 普段から静かな子のせいか、時々居るのを忘れてしまうことがある。

 採集の時や戦闘中も邪魔にならない場所に居たりして、気が付いたら戻って来ている。

 でも、ご飯を欲しがっている時はすぐ気が付くんだよね。

 色々と分からないことの多い子だなぁ。


「よし、完成!」

「こっちも終わったよ~」

「いい時間になったし、そろそろ寝よっか?」

「うん、そうしよう~」



 試験の課題は早ければ明日にでも終わるのかもしれない。

 でも課題ではないけれど、別の大きな問題が残っている。

 今はまだ大きな動きは無いけれど、魔獣がいつ町に入ってくるは分からない。

 もし討伐隊が到着する前に町の中に入られてしまったら全てが終わってしまう。

 私たちが出来ることはあまり多くないかもしれない。

 だからと言って関係無いからと何もしなかったり逃げてしまうのも違うと思う。

 なら私たちの取るべき行動は決まっている。



 徹底的に抗うまでっ!


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