24.商人ギルド
「失礼します」
ギルドの中に入ると、テーブルを囲んで商談らしき事をしている人や、書類を書いている人が数名いる。
カウンターに受付らしき人がいるから、ちょっと聞いてみよう。
「えーと、すみません。今日はギルドに加入する手続きに来たのですが」
「ギルドに加入ですか?面会のご予約か紹介状はお持ちでしょうか?」
「ええと、この仮許可証でいいですか?」
「この印は領主様のですね。今ギルド長に伝えてきますので少々お待ちください」
そう言うと受付の女性は後ろのドアの中に消えた。
「ギルド長ってどんな人だろうね?」
「うーん、会ってみないと分からないね~」
「髭もじゃの怖いおじさんとかだったら嫌だなぁ」
「案外優しい人かも~?」
ドアが開いて受付の女性が戻ってきた。
「そちらの階段の上の部屋でお掛けになってお待ちください」
「はい、ありがとうございます」
言われた通り受付カウンター横にある階段を上がる。
部屋の中にはテーブルが一つに椅子が4つ、あとは綺麗に整頓された本棚があるくらいだ。
「じゃあ、座ろうか」
そう言って適当に奥の椅子に手を掛けた。
「リア、待って」
「ん、ミラどうかしたの?」
「そこはダメだよ~?」
「どうして?」
「そういう奥の所は偉い人が座る場所なんだよ~」
「ふーん、そうなんだー」
「座るならこっちだよ~」
ミラに言われるまま座席に座る。
これも商人の心得とかなのかな?
座ったのを見計らったように奥のドアが開く。
「とりあえず、ギリギリ合格かなってところかな。そっちの嬢ちゃんに感謝した方がいいよ」
うわぁ、すごい綺麗な人。それにちょっと凛々しくてカッコイイ感じだ。
でも、ギリギリ合格って何のことだろう?
横でミラが椅子から立ち上がる。
私も慌てて同じように立つ。
「本日は忙しい中、ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
とりあえずよく分からないけど、ミラに合わせておこう。
「いやいいよ、座っててくれ」
「はい、では失礼します、ギルド長」
・・・え、ギルド長?
ギルド長って女の人だったの?!
「はは、そっちの嬢ちゃんはちょっと鈍い子みたいだな。顔に書いてあるよ」
「えぇっ?!」
あぅぅ、完全に読まれてる。
なんかこういうの前にもあったような・・・
「紹介が遅れました、メディア村から来ましたミラと申します」
「あ、えーと、同じくメディア村から来たアメリアと申しますです」
「ちょっと緊張しすぎだな。商人には冷静さも必要だよ?」
「す、すみません!」
「あー、謝らなくてもいい。アタシはギルド長のブレンダだ。あとアタシは髭もじゃのおっさんじゃないよ」
「・・え?」
カウンターの会話もバッチリ聞かれてる?!
「儲け話も悪口も誰かがこっそり聞いているかもしれない。だから迂闊に声に出すもんじゃないよ?」
「う、以後気を付けます」
「はは、素直な子は好きだよ!」
なんというか、この人ちょっと苦手だなぁ。
ギルド長だけあって、全然隙っぽいのが無いよ~。
「まあ、あんたらの事は大体使いの者から聞いているよ」
あれ・・屋敷に使いの人って来てたかなぁ?
「領主様から聞いていると思うが、これから二人には適性試験を受けてもらう。まずは筆記からだ」
「筆記・・ですか?」
「なに、難しいことは無い。思った通りに書いてくれればいい」
えーーーーーーーーっ!
来て早々、筆記なんて聞いてないよ?!
薬屋の仕事の手伝いをやっていたから、多少の計算と読み書きは出来るけど、それ以外の問題が出たら答えられないよ?!
これってピンチじゃない?!
くぅ、こうなったらやれるだけやるっきゃないよね!