表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第2節
25/159

20.領主様の課題 その9

「ということで、交易の事を聞きに来ました」


 今日は朝一番に、交易の事を聞くために領主様の所に来ていた。


「なるほど、それで交易品になりそうなものを探していると」 

「はい、何かありそうですか?」

「そうだな・・うちの領内で採れる薬草のほとんどは、大した金額で取引されるようなものはない」

「はぁ、やっぱりそう簡単にはいかないかぁ」

「まあ待て。()()()()とは言ったが、()()とは言っていないぞ?」

「ということは、何かあるんですか?」

「ああ、庭でボムペッパーの実を干していただろう?」

「ええ、煙幕の材料にしようかと思って」

「薬草の中には”香辛料”という名前で料理に使用できるものがあるのは知っているか?」

「はい、お母さんから借りた図鑑にも載っていました」

「そうか、なら話は早い。香辛料は産地によって味が微妙に違うから、他の地方に持っていくといい値段で買い取ってもらえるだろう」

「なるほど~。そういうものって他にもあるんですか?」

「それだったら、私より適任者がいると思うのだが?」

「適任者、ですか?」


 私以外の適任者って言ったら、ミラしかいないよね?

 ん?

 そういえばここに来てから毎日、ミラの作るご飯って何かしらの薬草が入っているよね。

 ということは、ミラに使った薬草を聞いたら良さそう。


「その顔だと分かった、いや気付いたと言ったほうがいいかな?」

「はい、ミラのご飯は美味しいですからね」

「はは、君よりも使い慣れているんじゃないかな?」

「あはは・・・薬屋の娘としてはちょっと複雑な気持ちですけどね」

「まあ、料理に関してはミラちゃんの方が分があるだろう?」

「ええ、ミラは何と言ってもうちの村一番の料理人ですから!」

「ああ、領主としても鼻が高いよ」

「ところで領主様、一つ聞いてもいいですか?」

「なんだね?」

「領主様からの課題なのに、その、聞いてよかったんでしょうか?」

「なんだそんなことか。私は課題を出したが、相談しに来るなとは言ってないぞ?」

「まあ、そうなんですが・・」

「いいか、お前たちはこれから旅に出るんだ。知り合いが助けてくれるわけではない。先人の知恵でも何でも使って、困難を超えていくしかない。ズルかろうが、生きる為には使えそうなものはとことん使う気でいろ」

「はい、分かりました。ありがとうございます!」

「朝食ができたよ~」

「噂をすればかな」

「うん、今行く!」

「さて、今日の朝食が楽しみだな」



 この3人で食卓を囲むのにも大分慣れてきた。

 領主様って、少し年の離れたお兄さんって感じがする。

 本当にお父さんたちと同い年なのか、ちょっと分からなくなってきた。

 とりあえず、これで両方の課題に目処がついた。

 これからは材料を集めたり加工したりで少し忙しくなりそうだ。

 よし、ご飯を食べて今日も一日頑張るぞー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ