18.領主様の課題 その7
「やっぱりちょっと勿体ないなぁ」
私たちは領主様の屋敷から少し離れた草原に来ていた。
例のポーションを捨てる為である。
「でも、仕方ないよね~」
「うん、この臭いだし、飲む方も勇気がいるよね」
「これだけすごい臭いしていたら、魔獣も寄ってこないかもね?」
「あはは、そうかもね」
せめて元の薬草の一部にでもと思い、白い薬草のそばに鍋の中身を捨てる。
「どうか無事、大地に戻りますように・・・」
「キュィッ!」
「ありがとう、ユリもお願いしてくれるの?」
「じゃあ、帰ろっか~?」
「うん」
屋敷の中には大分薄くなったものの、ポーションの残り香が漂っていた。
臭いで鼻の奥がスース―する。
とりあえず、今後の方針をミラと相談して決めよう。
「ミラ、今後の事で少し相談したいんだけどいい?」
「うん、いいよ~」
「じゃあ、私の部屋で」
廊下ほどではないが、部屋の中にも薬草の臭いが残っていた。
念のため、窓を開けて換気をする。
「一応分かっていると思うけど、領主様の課題をまとめておくね」
「よろしく~」
「1つは自分の身を守る術を見つけること。もう1つは旅先での生活手段を見つけること」
「だね~」
「でね、私は全部一人でやらなきゃいけないって思い込んでいたんだ」
「うん」
「でも、領主様は私たちに、って言っていた。だから、二人で出来ればいいと思うんだ」
「私はある程度何とかできるけど、リアはどうするの~?」
「うん、それなんだけど・・・全力で逃げようと思う」
「え~?私を置いて一人だけ逃げちゃうの~?」
「そうじゃなくて、二人で逃げるの」
「どういうこと~?」
「うん、自分の身を守るだけなら、別に相手を倒さなくてもいいと思うんだ。だから吹矢でも煙幕でも、出来ることは何でもやって、相手が怯んだ隙に逃げちゃえばいいんだと思って」
「無茶苦茶だけど、リアらしい答えだね~」
「だから今作っているもの以外で、何か相手を妨害できるものが無いかなって」
「相手の妨害ねぇ。ん~、何か嫌がらせするってこと~?」
「嫌がらせって極端だなぁ。でも、相手を怯ませるってそういうことだよね」
「じゃあ、ベタベタする液体とか~、すごい臭いのする液体とか投げつけてみる~?」
「あー・・・確かにやられたら嫌だなぁ。でも、すごい臭いのするものって例のポーションモドキじゃ・・?」
「ある意味、武器だよね~?」
「作る方にもダメージがあるけどね」
「あはは~」
「ベタベタする方だったら、そういう液の出る薬草があるかもしれないから調べてみよう」
定番になってきた図鑑を開いて確認する。
お母さんから借りてきて本当によかった。
ベタベタする薬草、無いかな無いかなー・・・・と、あったあった。
「これなんかどうかな?」
名 称:スライムトラッパー
効 能:無し。
使用法:茎から出てくる粘液を煮詰めると粘度が高くなる。
単品での効果は無いが、塗り薬・張り薬などにして他の薬草と共に使用する。
「うん、効果はありそうだね~。でも、どうやって相手にぶつけるの~?」
「瓶に入れたら、中から出てこなくなりそうだし、何かに包んでみようかな」
「相手に投げつけたら、簡単に割れるものがいいね~」
「液体、中に入れる、簡単に割れる・・・あ、アレがあるじゃない!」
「アレって・・・もしかして、小さい頃に使ったアレのこと~?」
「そう、”バルーンフラワー”だよ!」
「懐かしい~。夏の暑い時に、中にお水を入れてぶつけてパーン!って遊んだね~」
「確か、うちの村の近くの森になかったっけ?」
「うん、結構強い植物だから残っていると思うよ~」
「じゃあ、決まりだね。早速材料を集めて作ってみよう!」
「みよ~!」
これで一つ目の課題は何とかなりそうだ!
よーし、サクッと終わらせて、もう一つも片付けちゃうぞ!




