表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第2節
20/159

15.領主様の課題 その4

「ということで外出してきます」

「なるほど、吹矢か」


 庭の手入れをする領主様に、外出する理由を伝えに来たところだった。


「だがそれなら40、いや30点だな」

「え・・・どうしてですか?!」

「考えてみろ。相手が厚めの服や鎧を付けていたらどうする?魔獣の皮や毛だってそれなりの強度がある。それに、かわされた後のことも考えていない」

「そ、そうかもしれないですけど!」


 もちろんそれも考えてはいた。

 しかし、思っていた以上に辛辣な評価だった。


「一応外出の許可は出すが、別の方法も考えておくことだ」

「・・・はい」

「じゃあ行ってきま~す」

「ああ、気を付けてな」


 屋敷付近の草原で、材料になりそうなものを拾っていく。

 途中小型の魔獣が襲ってきたが、ミラがあっという間に退治してしまった。

 そのまま腰につけていたナイフを取り出し血抜きをしている。

 きっと夕飯に使うつもりなんだろう。

 手際はいいのだが、長時間見ていて気持ちの良いものではない。

 あまり注視しないようにしよう。

 日が傾き始めた頃には、十分な材料が溜まっていたので屋敷に戻ることにした。 


「じゃあ、私は作業してくる」

「ご飯できたら呼びに行くね~」


 早速部屋に戻って、試作品を作り始める。

 領主様に借りた道具を使い木を削って形を整えていく。

 発射するための筒と矢が10本ほど。

 それに鳥の羽を付けて紐でぐるぐる巻きにしたら完成!

 試作品なので毒はまだ塗らない。


「できたー!」

「リア~、ご飯だよ~」

「うん、いま行くー」


 夕飯は朝と同じく3人。

 お皿の一つにはコロコロに切ったステーキのようなものが乗っていて、ほんのりといい香りがする。

 今朝のとはまた別の香りだ。

 きっと使っている薬草の種類が違うのだろう。

 口に入れて噛みしめると、肉汁がジューシーに口いっぱいに広がる。

 肉の臭みが薬草の香りに包まれていい感じに溶け合い、鼻からいい香りが抜けていく。

 うーーーーん、し・あ・わ・せ!

 あれ・・・もしかして、私より薬草の扱いが上手なのでは?

 自分の立ち位置が揺らいでいない?

 

 食事も終わり、各々の部屋に戻ってそれぞれの時間を過ごす。

 私も明日の準備をしている最中だ。

 準備を始めようと道具を並べていると、ドアをノックする音がする。


「リア~、まだ起きている~?」

「うん、起きてるよー?」

「入ってい~い?」

「大丈夫、入ってきていーよー」

「お邪魔しま~す」

「何かあった?」

「うん、ちょっとお願いにきたの~」

「お願い?」

「リアの持っているあの分厚い薬草図鑑を借りれないかなーって思って」

「いいよー、今日はもう使わないし」 


 バッグの中から図鑑を取り出しミラに渡す。


「ありがと~、明日の朝に返しに来るね~」

「うん、わかったー」

「じゃあ、おやすみ~」

「おやすみー」


 ドアが閉まったのを確認して、作業に戻る。

 でも、ミラが薬草図鑑なんて、何に使うんだろうか?

 気になるところではあるんだけど、私も今するべきことをしないとね。

 忘れる前に、近くで見つけた薬草も、図鑑に書き留めておこう。

 ページはまだ始まったばかり、もっともっといっぱいの薬草を探さなくちゃ。


 さあ、もうひと仕事だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ