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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第5節
109/159

104.真実へと続く道 その6

「状況は分かったわ。でも、もう一つだけ質問させて」

「何だね?」

「私が知りたいのは、お父さんが殺された理由と遺体の場所よ」


 私が山から戻った後に派遣された調査隊が見つけたものは、メモだけだった。

 遺体はもちろん、凶器も不明なままだ。


「・・・申し訳ないが、理由については分かりかねる」

「そう・・・」

「だが遺体なら、腐敗を防ぐためにギルドの地下に隠してある」

「地下?もしかして、リアが閉じ込められてた場所かしら?」

「閉じ込められていた?あそこは、並の人間じゃ寒くて凍死してしまうような場所だぞ?!」


 確かにあれはちょっと・・いや、かなりヤバかった。

 クリミナさんが気付かなかったら、あのまま氷漬けになってたかも。

 ううっ・・思い出したら、急に寒気がしてきた!


「じゃあ、あの牢屋の中にあったのって・・」

「牢屋の中?いや、遺体は階段の下の隠し扉の中だが?」

「え?」


 じゃあ、私の隣にあったあの白い骸骨みたいなのって・・・?

 い・・ぎゃぁ~~~~~~~っ!!


「なあ、リア姉ちゃんが口をパクパク開けてるけど、大丈夫なのか?」

「ん~、放っておけばそのうち元に戻るんじゃないかな~?」

「そうなのか?」

「あそこから運ぶとなると、人手がいるわね。話が終わったら手伝って貰えるかしら?」

「ああ、いいぞ。ギーダもいいな?」

「・・・面倒だが仕方ない」

「さて、他に聞きたいことはあるか?」

「リア姉ちゃんも聞きたいことあったようだけど、こんな状態だから次は俺でいいかな?」

「いいんじゃないか?」

「なら、俺が聞きたいのは、教会と孤児院のことだ。取り壊すって言ってたけど、どういう意味だっ!」

「それは誰から聞いた話だ?」

「誰からだって?みんな言ってることだ!」

「・・・質問を変えよう。君の言っているみんなとは、誰のことかね?」

「質問を変える?さっきと同じじゃないか!」

「それは違うぞ、少年。少なくとも、君の言っている『みんな』の中にはワシは入っておらん。違うかね?」

「そ、そんなの屁理屈だっ!」

「そうか。なら君の言っていることは、他人から聞いたことを真に受けて妄想した、ただの屁理屈ということになるな。そうだろう?」

「くっ・・」

「リト。真面目に話をしているなら、聞かれたことにはきちんと答えるべきだ。それともお前は、自分の意見を押し通すことしか出来ない半端者なのか?」

「お、俺は半端者じゃない!」

「なら、するべきことは分かってるだろう?大丈夫だ、どうしようもなくなったら俺たちがいる。俺たちは血が繋がっていなくても、家族だからな」

「ブロウお兄ちゃん・・・」

「ほら、しっかりな」

「うん!」

「話は纏まったかな?」

「ああ。俺が言った”みんな”は、テレジアお姉ちゃんにブロウお兄ちゃんたち、それに神父様だ」

「・・・そうか。だが、君の世界はまだまだ狭いな」

「何だとっ?!」

「子供の世界とは狭いものだ。君が大きくなれば世界は広くなる。果てしなく、な」

「それはどういう・・」

「今は狭くとも、それが君の世界の中心になる。そしてそれを忘れずに変わらなければ、きっと強く大きくなれるだろう」

「それ、どういう意味だ??」

「まあ、今を大切にして色々な事を学べ、ということだ」

「それって、テレジアお姉ちゃんの勉強会とか、ブロウお兄ちゃんの剣の稽古のことか?」

「それでいい、今はな。・・・それと、教会と孤児院を取り壊すという話は聞いている」

「やっぱり壊すんじゃないか!」

「『ワシが』とは言っておらん。この話はトリスタン神父から聞かされたものだ」

「『神父様が』って、どういうことだよ?!」

「それは本人から聞く方が良いだろう。神父様は君の世界の人間だろう?」

「も、もちろんだっ!後でちゃんと聞きにいくさ!」


 ・・・はっ?!

 あれ、もう話が終わってる??

 よく分からないけど、リト君が納得したような顔をしているみたいだし、良かった良かった!

 ―――で、いいんだよね?

 結局、私の質問は最後になっちゃったけど、二人の質問でほぼほぼ聞くことは無くなってしまった。

 ・・・正直、私がこれからする質問の答えが返ってくる可能性は、ほぼゼロだ。

 それでも希望が僅かにあるなら、それを信じてみたいと思う。


 私がする質問は―――


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