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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第5節
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97.山からの便り

「今日は大事な話があって来たの」

「もしかして、証拠が見つか・・」

「おい、ちょっと待てよ!」


 私とクリミナさんの間に、怒りに声を震わせたリト君が割って入ってきた。

 二人の間には、殺気にも似た嫌な空気が流れている。


「何?私は今、リアと話をしてるんだけど?」

「大事な話だって?!お前たち商人ギルドが、この町をメチャクチャにしたんじゃないか!それを今更何だってんだよ!!」

「・・・そうね。でも、今の商人ギルドを何とかしたいのは、あなただけじゃないわ」

「そんな都合のいい話、信じられるわけないじゃないか!」

「信じる信じないは自由よ。でも今は、あなたのような子供が出る幕じゃないわ」

「なんだとーっ?!」

「ちょ、ちょっと二人とも止めてー!」


 喧嘩腰になっている二人の間に、無理やり割って入る。

 チラリとミラの方を見て『他の子供たちを別の場所へ』と視線で合図を送る。

 ミラはコクンと軽く頷き、子供たちを寝室の方へ連れて行く。

 もし殴り合いの乱闘になったら、小さい子には見せられないもんね。

 さて、こっちもなんとかしないと。


「リト君がすごく怒っているのは分かるよ」

「分かる、だって?他所から来たお姉ちゃんたちに、この町の何が分かるって言うんだよ!」

「・・そうだね。私はみんなに会うまで、この町のこと全然分かってなかった」

「だったら!」

「でも、この町の色んな場所を見ていくうちに思ったんだ。ここには楽しいこともあるけど、怖いこともあるんだって。今でもまだ怖いと思ってるところはあるよ」

「じゃあ、ほっといてくれよ!」

「ごめんね、それは出来ないよ。だって、このままこの町から逃げたら、絶対後悔すると思うから」

「リア姉ちゃん・・・」


 よし、とりあえずこれでリト君は落ち着いてくれそうだ。

 場の空気も戻ったし、あとはクリミナさんからの話を聞けば・・・。


「で、本音は~?」

「安心で安全な美味しいお菓子を、お腹いっぱい食べたい!・・・って、何言わせるのよ~~っ!」


 サラリと自然に入ってきたミラの質問に、思わず率直な答えを述べてしまった。

 慌てて言い直そうとするも、明らかに場の空気がおかしい。


「何だ、ただの食い意地の張った腹ペコ姉ちゃんかよ!」

「あー、うん。お菓子は美味しいよねー?」

「・・・阿呆」

「リア、それは言わなかった方が良かったと思うぞ?」

「えーっと、私は何を見せられてるのかしらー?」


 みんなの容赦のない言葉が、グサグサと胸に突き刺さる。

 痛い、心が痛い!!


「ちょっとぉ~~~、ミラ~~~~!!」

「ごめん、ごめ~ん。でも、その方がリアらしくていいかなーって思うよ~」

「はぁ・・なんか、怒っていたのがどうでもよくなってきた」

「ほらね~?」

「『ほらね~?』じゃ、なーーーい!」

「それは置いといて~、どこまで話をしたのかな~?」

「置いとかないでーー?!」

「そう、放置されるのが一番辛いの・・・って、危うく何をしに来たか忘れるところだったわ!」


 ああー、そう言えばクリミナさんは用事があって来たんだった。

 クリミナさんの調子も元に戻ったみたいだし、このまま話を聞こう。

 ・・・もちろん、後でミラに一言入れるのも忘れずにね。


「で、大事な用事ってことは何かあったんですか?」

「ええ。今朝、調査隊が返ってきたわ。場所はリアから聞いた通り”第7休憩所”だったわ」

「私が入れなかった場所ですね」

「四年前に調査に行ったときは、硬くて大きな岩があったから中まで調べられなかったんだけど、一部が劣化して崩れたみたいで、そこを足掛かりに中に入ることが出来たらしいわ」


 アレ?あそこにそんな場所あったかなぁ・・・。

 あ・・もしかして、私があの鱗を取る時に砕いた岩のことかな?

 でも説明するほどのことでも無いし、まあいいか。


「入り口を片付けたら、岩の一部に焦げた跡が見つかったわ。多分、爆弾を使ったんでしょうね」

「それ、奥の方は大丈夫だったんですか?」

「ええ、奇跡的に綺麗に残ってたらしいわ」

「それで、中には何かあったんですか?」

「それがね、あったのはこの手帳だけなのよ」

「手帳?」

「そう、調査隊から今朝受け取ったばかりのものよ。中身はまだ見ていないわ」

「俺達も確認させてもらっていいか?」

「・・・私のことを信じられない人には見せられないわ」


 そう言って、クリミナさんはリト君の方に視線を送る。

 その視線に引かれるように、みんなの注目もリト君の方に集中する。

 リト君は無言の圧力に少し苛立ちを覚えたようだけど、覚悟を決めたように重い口を開いた。


「・・・分かったよ、信じるよ!」

「なら決まりね。じゃあ、開いてみるわよ?」


 クリミナさんが黒皮の表紙の手帳に手をかける。

 さて、何が書いているのやら・・・。


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