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剣士 旅に出る  作者: ガオー
2/2

ママを救うお

えっちらおっちらと荷馬車を引きながら子供たちと話をした。いろんなことを聞いたがおもに

・ここは《西ノ魔境》らしい

・ずっと昔の先祖様が人さらいから逃げるためここに 来たらしい。  

・エルフ以外きたことないらしい

とまぁいろいろな聞いていたんだが俺は歓迎されるのだろうか?少なくとも歓迎されなくても寝られる所がほしい。馬小屋とか。

 しかし聞けば動物なんか一匹も飼っていないらしい。

 肉を食べないんだとか。

まぁなんとかなるでしょ。


「おーい、お前たち着いたぞ。」

 隠れ里の近くまできた俺は子供たちを自由に帰らせた。

どうやら人間嫌われているっぽいし。

「俺はしばらくここに寝泊まりしてるからお前たちの親に教えとけよ。」

「「「はーーい!」」」

そう言って子供たちは駆け出した。聞いていたかな?

「さてと、ってあれ?」

なぜか一人女の子が荷馬車に乗ったまんまだった。

「どうして君はここにいるの?」

「ママ、いない。どらごん、つれてった」

へー、ドラゴンか。恐らく生け贄にでもされたんだろうな。ドラゴン位ならこの子を守りながらでも倒せるな。

「今からママを助けに行く?」

「パパ、ママ助けてくれるの⁉」

「うん、パパに任せなさい。って俺はパパじゃない‼」

危ない。幼いエルフの可愛らしさについついパパと言ってしまった。これが娘にお願いされたパパの気持ちか。

「それじゃ、ママを助けるぞー‼」

「おーー」


 荷馬車を引きつつ目的地に向かう。ここに来る途中それらしい場所を見つけてたんだよね。

 

「「おーー」」

幼いエルフ、(名をフランというらしいが)フランは滝を見たのは始めてのようで目の前の滝にただ口を開けて呆けている。まぁ俺でも感動するくらいのスケールだ。

 高さ100メートル近くある。そこからたくさんの水がドドドドッと落ちて来るのだから壮観だ。

その滝の裏側に大きな空洞がある。とても大きい。

「おーー」

また俺の背中に背負われたフラウがその大きさに感動した。

「そうだな。でかいな。」

 俺は少し驚いていた。

 基本的にドラゴンと言えばワーバンじゃない空飛ぶとかげで少し暴れん坊、位の認識だった。

 しかし、この空洞を出入りするサイズとなると1000年以上生きた古級ドラゴンである可能性が高い。

こいつらは知性があり、かなり凶暴的だ。暇になったら人を襲うほどに。

「フラウ、この先少し危ないかもしれん。お前はここで待ってるか?」

「いや。フラウ、ママ、たすける」

「そうか。・・絶対にママを助けような」

「うん」

フラウの覚悟は本物だった。なら俺が余計なことを言わなくて言い。フラウは7才だが行くと言ったんだから行くんだ。

そのままずっと降りて行ったら、衝撃的な光景が広がっていた。


 なんと燃え盛るエルフの少女が巨大な古級ドラゴンと戦っていた。

「あっ!ママが燃えてる!」

 う~むあれは燃えているより火をまとっている感じだな。

 そして古級ドラゴンといい勝負をしている。いや若干押してるか?

「おい小僧!お主ならこのおなごも止められるだろう。我では加減ができん。このおなごの肉体もろとも消し飛ばしてしまう!」

 呆然と試合を観ていた俺らに話しかけてきたドラゴンさんいわくこの少女は膨大な魔素に侵食され魔物らしい何かと化しているらしい。

 しかし古級ドラゴンの力じゃ肉体ごと倒してしまうからずっと耐えていると。 

 あの少女の魔力、けっこうあるぞ。よくずっと耐えていたな。さすがは古級ドラゴン。

「わかった。俺に任せとけ」

「頼んだぞ、って小僧。貴様魔障壁も張らずにこれとどうやって戦うつもりだ」

「あー。大丈夫大丈夫。」

戦っていた少女はうっとうしいと思ったのかこちらに火を放ってきた。

 しかしその火は俺の前で霧散した。

「俺に魔法の類いは一切効かないから」

そしてそのまま素手で首トンをしようと背後に回り・・

「うおっ、まじか。このスピードに対応できるとは」

しっかりとこっちを見ていました。はい。

どうやら魔法だよりじゃないらしい。けどこれ身体が対応できてなくない?

「おい、お前。この子は魔力の暴走でこうなっているのか?」

「む。言われてみれば魔力はあり得ん量あるが、制御はできているな。もっともこの身体の器じゃ魔力が溢れているが」

そうか。何かにとりつくかれているな。

ならば何にとりつかれているかだな。

フラウの守りに移ったドラゴンからターゲットを俺に変えて攻撃してきた少女の攻撃を避けながら観察する。

もう火が通用しないことを学習したのだからそれなりに上位の何かだな。

「しっかし、妙だな。時々動きに違和感を感じる」

なんか動いている腕を無理やり止めようとする感じ。

これはまさか・・

「ニ・・ニゲ・・・・テ」

「む。しゃべったな」

「オ・・オネガイ・・・ニゲテ」

 少しだけエルフの少女の意識が残っている。

 これは悪魔っぽいな。精霊なら同化するし、魔物ならまず理性が残らない。

 悪魔の倒し方は魔法剣で切る。  

「来い!《フルンティング》!」

 俺の持っているなかで最高の魔法剣を呼び出す。

 魔法剣で切れるのは実体を持たない悪魔や精神体の魔物のみ。

よって少女の体に傷はつかないのだ。

少し本気で動けばこの少女も反応できまい。 

そして無事悪魔を倒すことはできた。のだが

「うえーーーん こわがっだよー うえーーーん」

とずっと俺の胸の中で泣いている。

俺はきのきく言葉なんかわかんないし、ドラゴンはフラウと遊びだすしでただ落ち着くのを待っていた。

頭はポンポンしてたけど。


「えっと、先程は取り乱してしまい申し訳ありません」

「えっと、まぁ大丈夫だよ。泣けるくらい元気で良かったよ。」

ボンッて音が聞こえるくらい顔が真っ赤になってしまった。それにしてもかわいいな。


「あっ、まだ名乗ってなかった。初めまして。ぼくの名前はアストラです。よろしくお願いします。」

「こちらこそ初めまして。フラウの母親のフランです

 よろしくお願いします」

「あー、フラウの母親でしたか。ってえ?マジ?」

え、待ってこの子見た感じ15才位だよ。なのに母親⁉

「はい。参考までに何歳に見えますか?」 

「15くらいです」 

「ふふっ、ありがとうございます。私はエルフですからこれでも長生きですよ。」

「50くらいとか?」

「ふふっ」

これ以降は何を聞いてもはぐらかされてしまった。


「ところでフランさんはいつからここにいたんですか?」

「えーと。ドラゴンさん何年くらいでしたっけ?」

「我と戦っていたのは10年くらいだな」

「じゅっ、10年⁉」

「ええ。体力が無くなっても無理やり回復させられましたから。」

んちょっと待てよ。

「フラウ、お前が生まれたときママいた?」

「うん、いたよ。ちょっとまえまでいっしょにいたもん。」

てことは俺、フラウより年下じゃん。泣けてきた。


「のう、少しいいかのう」

「なんだよ。俺今少し悲しんだぞ‼」

「何故悲しいのだ。嬉しいはずだろうに。

 そうではなくて小僧、我の頼みを聞いてくれぬか?」

「お前、古級ドラゴンだろ。自分ででなんとかしろよ」

「そうは言ってもわしにも難しいのだ」

「あのアストラ様。私からもお願いします。わざわざ10年も相手をしてくださったのです。そのご恩返しがしたいのです」

「そうだぞ、小僧。朝夜問わず襲いかかってくるおなごの相手をしていたのだ。それくらい聞いてくれぬか」

確かに10年も相手にしていたのはすごいな。

それにフランさんもお願いしていることだし仕方ない。

決して俺がかわいいフランさんにお願いされて断れないへたれではないことをここに記しておく。





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