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第8話 コロポックルの能力

 

 『これを食べさせて……』


 「わぁ!」


 すると、蔓の上から卓球玉ぐらいの大きさをした丸いピンク色の実が蕾の目の前に落ちてきた。


 「うわぁ~……!なんか凄くいい匂い……!」


 蕾がクンクンと鼻を近付けて、実の匂いを嗅いでみると、実からは甘く、程よく完熟した桃みたいないい薫りが放たれていた。


 急いで蕾は実を男の元に運んでいく。


 「食べてぇ~……!」


 男の閉じた口元に蕾は力一杯、採れた実を押し込む。


 「うっ……」


 男は蕾の気配を感じ、朦朧とした意識の中で口元に運ばれてきた実をかじる、すると。


 男の体が淡い光に包まれる。


 「っ……!ここは……?」

 「!!よかった……!目が覚めた!」


 閉じていた瞼が開かれる。男はのそりと倒れていた体を起こす。

 体を蝕んでいた毒はいつの間に解毒されており、そして先程、受けたはずの刀傷も完治していた。


 「これはッ……!!一体……!?」


 一体何が起きたかが分からず、ただ自分の身に起きた『奇跡』に困惑する金髪の男。そして、手元に転がっている“ある実”に気づいた。


 「ん……?これは……ケシモモの実?」


 ケシモモと呼ばれた実を拾い上げる男。顎に手をつけ、脳を働かせ始める。


 すると男の顔は途端にいつも部下たちから、冷静沈着と呼ばれる由縁の、厳格な顔付きに戻った。


 『確かにこれは解毒効果のある実だが、ここまでの治癒力があるなんて聞いたことがない……。……これが小人コロポックルの能力ということなのか?』


 こんな枯れた大地に生えたケシモモの実の蔓。


 『でも、この実があれば……今ここで、俺と同じように毒にやられて苦しんでいる奴らを助けられるかもしれない!』


 金髪の男はそう思いつくと、早速行動に出る。

 しゃがみ込み、小人である蕾の目線に合わせた。


 「すまないそこの小人コロポックル……!助けてもらった身でこんなこと頼むのもおこがましいが……、少しこのケシモモの実を俺にわけてはくれまいだろうか?」


 「えっ、え……っ!」


 ゴゴゴォ……!っと背後になんとも言えぬ男の迫力オーラで迫られる蕾。


 『ひょ、ひょえー……!顔がめっちゃコワイ……!!』


 折角整った顔なのに、すっごい怖い顔で迫られ、怯える蕾。


 「ど、どうぞぉ……!」


 ガクガクと震える体と声で蕾は、ケシモモの実が生えた蔓を男に差し出した。


 「!!恩に着る!」


 明るくなった顔で金髪の男は礼を言うと、蔓に生えているケシモモの実を摘んでいき、戦場に倒れている同志に駆け寄る。


 「ほら、食べろ。ケシモモの実だ……!」


 そうして、次々に男は仲間にケシモモの実を食べされていった。

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