弥生十八日
キャンディーに 詰めた想いも 召し上がれ
もう、泣きそうだよ。
バレンタインのときから、ずっと不安だったんだ。怖くて、怖くて、目を合わせられなかった。前みたいに、自然に話すこともできなかった。
そんなだから、完全に、嫌われちゃったのかと思ったもん。
私から避けていたせいだけど、悪いのは私だけど、途中からは彼だって私のことを避けていたように思えたし。
だのに彼ったら、意味がわかっていて、このお返しなのかしら?
もしかしたら、私の勘違いなのかもしれない。彼は別に、私のことなんてなんとも思っていないけど、一応ということで、適当なお返しを持って来ただけなのかもしれない。
優しい彼だったらありえる。
だけれども、彼がそんなことをできるほど、器用な人だとも思えなかった。
そんなときに届いた、彼からの手紙。
まっすぐで真面目な彼らしい、素敵な手紙。
彼は、私のことを……。
泣きそうになるよ、もうっ、止めてよ、こんなことっ。
彼のことが愛おしくて、おかしくなってしまいそうで、当分は彼に会ったらいけないと自分で思った。
もっと冷静になれるようになったなら、また彼に会いに行こう。
そして最高の時間を過ごすんだ。彼にも、最高の時間を過ごしてもらうんだ。
私たちの仲を引き裂くものなど、何もなくなってしまうくらいに。そうしてしまえるように。




