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365個の物語  作者: ひなた
弥生 ホワイトデーの涙
75/365

弥生十六日

  気が付いた 君の求めた お返しに


 君が何を欲しがっていたのか。

 それがわかったんだ。気が付いたんだ。

 今になって、やっと。

 気が付いた気がしていた。わかっていた気がしていた。

 それはきっと間違っていなかった。

 けれども足りない。もっと、もっとだったんだ。

 彼女が求めていた気持ちはその程度じゃない。

 あれだけじゃあ、伝わらない。

 もっと、もっと、もっとたくさんだ。

 彼女のために、僕の全てを捧げるくらいに。

 そう。それできっと、僕の気持ちは伝わるのだろう。

 僕は伝えた気になっていた、僕の気持ちが。

 そうして、今度こそはっきりと言わなくちゃ。

 僕は君のことが好きなんだ、って。

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