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弥生十六日
気が付いた 君の求めた お返しに
君が何を欲しがっていたのか。
それがわかったんだ。気が付いたんだ。
今になって、やっと。
気が付いた気がしていた。わかっていた気がしていた。
それはきっと間違っていなかった。
けれども足りない。もっと、もっとだったんだ。
彼女が求めていた気持ちはその程度じゃない。
あれだけじゃあ、伝わらない。
もっと、もっと、もっとたくさんだ。
彼女のために、僕の全てを捧げるくらいに。
そう。それできっと、僕の気持ちは伝わるのだろう。
僕は伝えた気になっていた、僕の気持ちが。
そうして、今度こそはっきりと言わなくちゃ。
僕は君のことが好きなんだ、って。




