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365個の物語  作者: ひなた
睦月 始まり祝う時
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睦月七日

  冷えた足 炬燵に入れる 暇もなく

     去ってしまった 僕のナマケモノ


「おかえり」

 仕事から帰ると、愛しい君が出迎えてくれる。彼女の可愛いところは、僕の手から荷物を受け取ったあと、バタバタと走り去って行ったかと思えば、戻ってきて抱きついてくれるんだ。

 ゆっくりと荷物を片付けてくれても、僕は別にいなくなりはしないんだけど。

 でもそんな彼女が可愛いから、僕は指摘しないでいるんだ。

 だっていつもなんだよ?

 ぎゅって抱きついてくるのが、本当に可愛いんだ。

「ただいま」

 愛しいその感触を感じながら、僕は帰ってきたことを告げるように、安心させてあげられるように、優しく君に囁くんだ。

 正月休みももう終わって、本格的に仕事も始まって、今までの生活習慣にすっかり戻ってしまっている。

 僕をぐーたらさせていたナマケモノは、いつの間にやら僕の元から去ってしまったらしいね。

 冷えてしまった足を、炬燵に入れて温めたかった。

 だけど忙しなく駆け回っている君を他所に、僕だけ休んでいることもできないだろう?

 君があまりに一生懸命だから、つい僕も手伝ってしまうんだ。

 結局、炬燵に足を入れて体を休める暇もなく、洗い物やら洗濯やらしているうちに、寝る時間になってしまった。

「僕は、やってあげるじゃなくて、手伝ってあげるんだよ? それなのに、先に寝ちゃうなんてひどいなぁ」

 ベットで既に可愛らしい寝息を立てている君に、ちょっとした意地悪心でそういった。

 君は全く気にしていないようで、起こしてしまったら、なんて心配はするだけ無駄だったみたいだけどね。

 それに、可愛いから別に良いかな。

 こうやって可愛い寝顔を見られるのも、僕の特権なわけだし。

 さようなら、ナマケモノ。おかえり、忙しい日々。

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