睦月七日
冷えた足 炬燵に入れる 暇もなく
去ってしまった 僕のナマケモノ
「おかえり」
仕事から帰ると、愛しい君が出迎えてくれる。彼女の可愛いところは、僕の手から荷物を受け取ったあと、バタバタと走り去って行ったかと思えば、戻ってきて抱きついてくれるんだ。
ゆっくりと荷物を片付けてくれても、僕は別にいなくなりはしないんだけど。
でもそんな彼女が可愛いから、僕は指摘しないでいるんだ。
だっていつもなんだよ?
ぎゅって抱きついてくるのが、本当に可愛いんだ。
「ただいま」
愛しいその感触を感じながら、僕は帰ってきたことを告げるように、安心させてあげられるように、優しく君に囁くんだ。
正月休みももう終わって、本格的に仕事も始まって、今までの生活習慣にすっかり戻ってしまっている。
僕をぐーたらさせていたナマケモノは、いつの間にやら僕の元から去ってしまったらしいね。
冷えてしまった足を、炬燵に入れて温めたかった。
だけど忙しなく駆け回っている君を他所に、僕だけ休んでいることもできないだろう?
君があまりに一生懸命だから、つい僕も手伝ってしまうんだ。
結局、炬燵に足を入れて体を休める暇もなく、洗い物やら洗濯やらしているうちに、寝る時間になってしまった。
「僕は、やってあげるじゃなくて、手伝ってあげるんだよ? それなのに、先に寝ちゃうなんてひどいなぁ」
ベットで既に可愛らしい寝息を立てている君に、ちょっとした意地悪心でそういった。
君は全く気にしていないようで、起こしてしまったら、なんて心配はするだけ無駄だったみたいだけどね。
それに、可愛いから別に良いかな。
こうやって可愛い寝顔を見られるのも、僕の特権なわけだし。
さようなら、ナマケモノ。おかえり、忙しい日々。




