弥生六日
膨らんだ 桜の蕾 小さくて
なぜだか涙が 滲んでくるの
桜の蕾が膨らんできた。
この桜が咲くころには卒業を迎えて、この桜が散る頃には、私たちが会うことは……もうなくなっているんだ。
いつだってあたりまえに一緒にいて、学校生活は永遠だと信じて、疑うこともなかった。別れがなんて訪れるとは、思っていなかった。
ここまで卒業式が近付いてきてから、やっと気が付くんだ。
もう、終わりなんだって。
卒業をしてしまったら、全てがなくなってしまうわけじゃない。
変わらずにこの町に住んでいる。どこかで会うことだって、きっとあるだろう。
だけれども、クラス全員が、学年全員が、集まって一緒に何かをするっていうことは、もうないんだろうな。
終わってしまうのは、変わってしまうのは、怖くて仕方がなかった。
一緒にいられる時間も永遠ではないけれど、離れ離れになっている時間も、決して永遠ではない。
いつかどこかで会うことができる。
それは信じるまでもなくて、真実と言いきれるだけの高確率だ。
そうじゃない。そうじゃないんだよ。
小さく膨らみを見せる桜の蕾を、私はきつく睨み付ける。
時間が止まってしまえば良いのに。いつまでも、一緒にいられたなら良いのに。
勉強は面倒だし、先生は五月蠅いけれど、私はまだもう少しだけ、学校にいたいよ……。
あぁ、なんでだろう。別れを惜しんで涙を流すだなんて、私らしくないってわかっているのに、溢れる涙を抑えられない。
涙で視界が滲んで、今すぐにでも咲いてしまいそうな、今すぐにでも散ってしまいそうなその蕾が、ひどく儚いものかのように見えるんだ。




