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365個の物語  作者: ひなた
弥生 春が近付く想いは膨らむ
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弥生六日

  膨らんだ 桜の蕾 小さくて

    なぜだか涙が 滲んでくるの


 桜の蕾が膨らんできた。

 この桜が咲くころには卒業を迎えて、この桜が散る頃には、私たちが会うことは……もうなくなっているんだ。

 いつだってあたりまえに一緒にいて、学校生活は永遠だと信じて、疑うこともなかった。別れがなんて訪れるとは、思っていなかった。

 ここまで卒業式が近付いてきてから、やっと気が付くんだ。

 もう、終わりなんだって。

 卒業をしてしまったら、全てがなくなってしまうわけじゃない。

 変わらずにこの町に住んでいる。どこかで会うことだって、きっとあるだろう。

 だけれども、クラス全員が、学年全員が、集まって一緒に何かをするっていうことは、もうないんだろうな。

 終わってしまうのは、変わってしまうのは、怖くて仕方がなかった。

 一緒にいられる時間も永遠ではないけれど、離れ離れになっている時間も、決して永遠ではない。

 いつかどこかで会うことができる。

 それは信じるまでもなくて、真実と言いきれるだけの高確率だ。

 そうじゃない。そうじゃないんだよ。

 小さく膨らみを見せる桜の蕾を、私はきつく睨み付ける。

 時間が止まってしまえば良いのに。いつまでも、一緒にいられたなら良いのに。

 勉強は面倒だし、先生は五月蠅いけれど、私はまだもう少しだけ、学校にいたいよ……。

 あぁ、なんでだろう。別れを惜しんで涙を流すだなんて、私らしくないってわかっているのに、溢れる涙を抑えられない。

 涙で視界が滲んで、今すぐにでも咲いてしまいそうな、今すぐにでも散ってしまいそうなその蕾が、ひどく儚いものかのように見えるんだ。

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