弥生二日
桃色は 女性らしさが 馨しく
桃の花が咲く時期だからだろうか?
この頃には、桃色があちらこちらに増えるような気がする。
ひな祭りが迫っている、そのことも関係するのだろうか?
女性らしく、女の子らしく、この可愛らしい季節が、僕は好きだった。
変な意味ではなくて、純粋に、こうした穏やかな雰囲気が好きだと言っているのである。
夏は少し暑くて、熱くて、夏を思い起こさせる人というのは、あまり僕と気の合う人とは言えない。男女を問わず、それに例外を感じたことはなかった。
冬は少しばかり、冷たいのではないだろうか。
寒いと言うと、おやじギャグでも言っているようで、それはそれで嫌なのだが、僕が思う冬らしさはそうではない。
冷たい。冷たい人間。
冬には雪や氷など、幻想的で美しい、虚無が広がっていることを僕は知っている。
けれどそこから感じられるのは、美しさ、――そして冷たさなのだ。
人間から感じられるものが、それだったらば、それは人間らしさというものを持ち合わせていないものであり、僕は臆してしまうかもしれない。
だから僕は、秋と春が好きであった。
季節においてもそうなのであるが、人においても、そう言った雰囲気の人が好きなのである。
そして秋よりも、春は命の芽吹きを感じさせ、穏やかで暖かなる印象を持つ。
全てを包み込み美しい、女性のようなこの季節が、僕は好きなのである。
咲く華の広がる、この馨しさもまた、春の春たるゆえんなのだろうか。心が癒されるような、素敵な季節だよ。




