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365個の物語  作者: ひなた
弥生 春が近付く想いは膨らむ
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弥生二日

  桃色は 女性らしさが 馨しく


 桃の花が咲く時期だからだろうか?

 この頃には、桃色があちらこちらに増えるような気がする。

 ひな祭りが迫っている、そのことも関係するのだろうか?

 女性らしく、女の子らしく、この可愛らしい季節が、僕は好きだった。

 変な意味ではなくて、純粋に、こうした穏やかな雰囲気が好きだと言っているのである。

 夏は少し暑くて、熱くて、夏を思い起こさせる人というのは、あまり僕と気の合う人とは言えない。男女を問わず、それに例外を感じたことはなかった。

 冬は少しばかり、冷たいのではないだろうか。

 寒いと言うと、おやじギャグでも言っているようで、それはそれで嫌なのだが、僕が思う冬らしさはそうではない。

 冷たい。冷たい人間。

 冬には雪や氷など、幻想的で美しい、虚無が広がっていることを僕は知っている。

 けれどそこから感じられるのは、美しさ、――そして冷たさなのだ。

 人間から感じられるものが、それだったらば、それは人間らしさというものを持ち合わせていないものであり、僕は臆してしまうかもしれない。

 だから僕は、秋と春が好きであった。

 季節においてもそうなのであるが、人においても、そう言った雰囲気の人が好きなのである。

 そして秋よりも、春は命の芽吹きを感じさせ、穏やかで暖かなる印象を持つ。

 全てを包み込み美しい、女性のようなこの季節が、僕は好きなのである。

 咲く華の広がる、この馨しさもまた、春の春たるゆえんなのだろうか。心が癒されるような、素敵な季節だよ。

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