如月十四日
チョコレート どこかにないか 探すけど
どこも空っぽ 妄想消ゆる
今日はバレンタイン。
今まで誰にもバレずに、上手く隠していたけれど、本当は僕のことが好きなんだという人が、勇気を出して想いを伝えてくれるかもしれない。
今日は告白されるチャンスなんだ。
まず登校して、下駄箱を確認。
チョコレートらしきものはない。食べ物を入れる場所として、下駄箱を選びたくなかったのだろう、きっとそうだ。
次に確認したのは、机の中。
ここにもチョコレートらしきものはない。気付かずに教科書類を入れてしまい、チョコレートが潰れてしまうのを、防ぐためだろうか。
それじゃあ、ロッカーは? もしかしたら、僕のバッグの中に忍ばせてあるのかもしれない。
ここにもない。ここにもない。ここにもない。ここにもない……。
でもそうなると、どこにあるというんだろう?
気持ちを隠すのが上手な人だから、チョコレートを隠すのも上手ってことなの?
この隠れた気持ちを知りたいなら、どこかに隠されたチョコレートを、見つけてみせてなさいってことなの?
ああ、僕には無理だよ。
なんの手掛かりもなしに、チョコレートを見つけ出すことなんて。
もうちょっと素直になっておくれよ。
え、わかっているよ? 僕宛のチョコレート、なかったんだろう?
認めたくなかったのさ……。消えて行く妄想に縋りたかったんだ、それくらい良いじゃないか。




